台湾のPM2.5について、現地で経験するPM2.5の汚染状況を中心に、対策法と台湾旅行での注意点を詳しく紹介します。
台湾(特に台湾中部)では、秋以降は夏の時期までの降雨量と高い湿度とは、うって変わって乾燥した気候になります。
そして、台湾ではバイクやバスなどの車の排気ガスで空気が汚れている外気に、台湾の工場から排出される汚染された大気が加わります。
さらに、中国からシベリア寒気団の気流に乗って運ばれてきたPM2.5などの汚染した空気により、更に酷いことになります。
今回は、台湾でのPM2.5の現状と日本との比較、および冬季に台湾を旅行する方や台湾滞在の方で、特に汚れた空気などにアレルギーがある方のために、PM2.5への対処法と病気を引き起こさないために注意すべきポイントを台湾現地からレポートします。
都市部では排気ガスとPM2.5が酷い
そもそも、PM2.5とはどのようなものなのでしょうか?
大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質(SPM:10μm以下の粒子)よりも小さな粒子です。
PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。
(引用元:環境省)
日本語では、「微小粒子状物質」とも呼ばれることがあり、上記の通り、粒径2.5μm(2.5mmの千分の1)以下の粒子状物質のことを示しています。
髪の毛の30分の1もの小さな粒子で、ばい煙や黄砂などの土壌粒子、あるいは工場などから発生する粉塵など産業活動から生じることが主な要因となっています。
そして、PM2.5は日本でも気象庁が毎日観測していますが、台湾でも行政院環境保護署が常時観測しており、そのデータを公表して注意喚起しています。
台湾では、降雨が多く比較的湿度が高い台湾北部を除いて、台湾中部以南の都市で西海岸側の多くの都市では、特に11月以降は、PM2.5の濃度が高くなります。
台湾のPM2.5の濃度がどれくらい高いのかを知るために、日本のPM2.5の濃度と比較してみましょう。
(引用元:微小粒子状物質等曝露影響実測調査)
例えば、12月の日本では比較的高い地域の福岡でも30以下の場合がほとんどで、これくらいの濃度であれば健康に被害がないとされています。
一方、12月の台湾(影響の大きい西海岸の都市)のPM2.5の濃度は最も低い都市でも30以上です。
そして、最も高い都市では70を超える日も多くなっています。
台湾では、下記のように警戒レベルを10段階に分けて公表しています。
この記事を書いている現在でも、台湾中部以南の都市では、PM2.5濃度が50以上のエリアが多くあり、空気が乾燥した日が続くと、最高レベルの10「非常高」つまり濃度71以上になることも頻繁に起こります。
併せて下記記事も参考になりますのでご覧ください。
≫≫ 台湾の大気汚染
台湾でPM2.5が酷くなる時期
台湾で空気が悪化する時期は、いつなのか?
台湾で空気が悪化する時期は、11月~2月頃までです。
ただし、気候や環境が地域によって異なるため、必ずしも台湾全島で当てはまるわけではありません。
具体的には、冬の乾燥した時期でも台湾東部では、工場が少なく、車やバイクも少ないこと、それに台湾中央部にある山脈により大陸からの気流が入り込みにくいため、空気は比較的クリーンな方です。
一方、台湾の西側のほとんどの都市では、11月頃から空気が乾燥するため、排気ガスなどの煤煙が街を包むことになります。
冬の時期でも、台湾北部では小雨の日が比較的多く、湿度が比較的高いため、天気が良い日以外は空気の悪さを強く感じることはないかもしれません。
ただし、台湾北部では雨が多いため、他の環境汚染が気になるところです。詳しくは下記記事をご覧ください。
≫≫ 九份では雨に濡れたら危険!台湾で酸性雨が降り注ぐ都市はどこ?
PM2.5の健康への影響
PM2.5は髪の毛の30分の1くらいの微小粒子のため、肺の奥深くまで入ってしまいます。そのため、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患に影響を及ぼしたり、肺がんのリスクを高めたり、不整脈など循環器系への影響も懸念されています。
(引用元:日本医師会)
上記の通り、PM2.5による健康への影響として、下記のような呼吸器や循環器の症状が懸念されています。
- 喘息
- 気管支炎
- 肺がん
- 不整脈
また、特に小さなお子様や年配の方はPM2.5の影響を受けやすいため、さらに注意が必要だとされています。
冬の台湾でのウイルス感染
日本でも同様ですが、空気が乾燥する冬期の台湾では、特に風邪などのウイルス感染が多くなる時期です。
そのため、台湾では季節に関係なくバイクに乗っている方のほとんどはマスクを着用しています。
特に、冬の時期は街行く人はバイクに乗らない人でも、バスや電車に乗っている多くの人がマスクを着用しています。これが台湾の冬の時期の現状を物語っています。
そして、私も外出する時は、当然ですがマスクを着用しています。
「病は気から」と言うように最近ではマスクがないと、汚れた空気を吸い込んでしまうような気持ちになり、かなり気分的にストレスになります。
特に、人混みの密閉された空間、つまりバスや電車に乗車する時には、マスクなしでは乗れないくらいに警戒してしまうようになりました。
と言うのも、台湾のバスや電車のエアコンや換気口から出て来る空気があまりにも埃っぽく感じるからです。(たぶんバスのエアフィルターを交換していないのでしょう)
空気が乾燥して、PM2.5の濃度が高く、要警戒レベル(上記の表ではレベル7以上)の時には、頻繁に喉がイガイガしたり、鼻がムズムズしたり、目が痒くなったりします。
そして、酷い時には頭がクラクラするような場合もあります。
アレルギーがある方へ
私は、元来、ホコリや排気ガスなどに弱く、酷い場合はアレルギーの症状が出てしまいます。
例えば、ホコリっぽい場所に行っただけで、目が痒くなったり、その場所のホコリっぽい空気を吸い込んでしまった場合は、湿疹が出たりすることもありました。
そして、台湾移住当初は、マスクなしで街の排気ガスまみれの空気を吸いまくっていたら、喘息のような症状になり、咳が止まらなくなったことがありました。
それ以来、マスクを着用するようになったのですが、それでも先日、喉に違和感を感じて少し痛みも感じたため、病院に直行したところ、急性扁桃腺炎と診断されました。
元々、私の扁桃腺は大きいため、ウイルスに感染しやすいのかもしれません。
医者からは空気が乾燥しているため、就寝時もマスクを着用するようにとのアドバイスを貰いました。
私のようにホコリや排気ガスまみれの汚染された空気にアレルギーを持っているような方は、台湾旅行の際には、本当に注意したほうがよいでしょう。
急性扁桃腺炎とは、下記のような症状が現れます。
- 喉が赤く腫れ食べ物を飲み込み辛くなる
- 全身がだるく倦怠感を感じる
- 38度以上の発熱を伴う
- 頭痛や関節痛など
扁桃腺炎は風邪の症状に似ていますが、実は風邪ではないため、一般的な風邪薬を飲んでも回復しません。
本来は自然治癒力に任せる方が身体のためにはよいのかもしれませんが、症状が酷くならない内に、専門医に抗生物質を処方してもらい早期治療に専念した方がよいでしょう。
いつもは体調が悪い時には中医クリニックで診察してもらうのですが、今回ばかりは、内科の専門医(西医)に駆け込みました。
冬の台湾での予防法
人それぞれ、空気の悪さや病気への予防法は違うと思いますが、一般的な予防法と私が個人的に予防のために心掛けているポイントを簡単にご紹介します。
最低限の予防を心掛けていても、今回の私のように感染してしまう場合もありますが…
マスクの着用
冬期の台湾で外出する時にはマスクを着用して、出来る限りウイルスを直接体内に侵入させないように心掛けます。
ただし、台湾の市販のマスク(値段が安いもの)は、気休め程度にしかならないかもしれません。
鼻や頬や顎の丸みに密着するようなマスクが少ないです。出来れば下のようなマスクがあると気休め以上の効果が期待できそうです。
N95規格というのは、米国研究機関NIOSHに認可された、微粒子を95%以上防ぐことが出来る規格のことです。上記のマスクを見てピンッと来ました。
台湾で一般的に最も普及している、布ではなくペラペラの紙のようなマスクだけではなく、その内側に日本でよく使われているガーゼのマスクを当てて、マスクを二重にして利用するとかなり外部の汚染された空気を防ぐことが出来ます。
のど飴
冬の乾燥した時期に喉から感染する病気は、喉が乾燥することが一つの原因になっています。
そのため、喉に潤いを与える、のど飴やトローチを常備するとよいでしょう。
マスクとのど飴の二重予防で気分的にもストレスを軽減できます。
過労やストレス解消
疲れている時には免疫力が低下しますので、ウイルスに感染しやすくなってしまいます。
そして、ストレスが溜まってくると、これまたウイルスに対する抵抗力が落ちて、病気になりやすくなります(年齢的な事情もありますが)。
リラックスして身体と心に負担を掛け過ぎないようにし、適度な運動でストレスを解消しましょう。
充分な栄養補給
上記の免疫力を高めるためには、バランスの摂れた栄養満点の食事が基本です。
偏った食生活を避け、暴飲暴食はやめましょう。
私は、効き目があるかどうかわかりませんが、気休め程度に、疲れを感じた時にはポカリスエットを飲むようにしています。
人混みを避ける
最後にオマケとして、出来るだけ人混みを避けるようにしています。
時々、バスや電車に乗車した時に、くしゃみや咳をする時に口元を覆わずに平気な顔でしている人がいますが、勘弁してもらいたいです!(ガチで怒鳴り付けたくなります)
同じ乗り物の空気を吸っただけで、病気になってしまうようなストレスを感じます。
それと、私が乗り物に乗る時に心掛けていることは、出来るだけ、エアコンの換気口に当たらない席に座るようにしています。
冬のバス内の空気はホコリっぽくて、ウイルスや細菌を撒き散らしているようにさえ感じます。
まとめ
以上、台湾の空気の悪さについて、特に冬の時期には注意が必要だということ、台湾の現地事情、対策のポイントなどをまとめました。
秋の時期は台湾旅行には最適な時期ですが、空気の悪さにストレスを感じるタイプの人は冬の台湾旅行は少しハードルが上がる感じです。
最後に、台湾で私がしている対策のポイントを以下にまとめておきますので、参考にしてみてください。
この記事のポイント
- 台湾の空気の悪さは酷く、特に冬の時期は最悪の状況
- 人混みでは風邪やウィルス感染に注意が必要
- 冬の時期の台湾旅行ではPM2.5に対する対策も必要
- PM2.5対策としてマスクは絶対に必要
- 体調管理には、のど飴や栄養補給も重要
- 人混みを避け、ストレス解消も有効
台湾旅行の際には、下記記事も参考になりますので、よろしければご覧ください。
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