台湾での台湾人の個人情報保護に関する意識が低過ぎて驚いた4つの場面を台湾在住の日本人目線で台湾現地からレポートします。日本での個人情報保護法に相当する「個人資料保護法」と呼ばれる法律が台湾でも既に施行されています。
その一方で、日本では考えられないような、台湾人の個人情報に対する意識の低さを目の当たりにすることが多くあります。今回は、台湾で私が目にしたプライバシーを侵されている(あるいは簡単に侵される)ような場面を簡単にご紹介します。
郵便物は玄関前に投げ捨て放置が基本!?
台湾では郵便局のことを郵局と呼称して、郵局の配達も日本とほとんど同じような仕組みで運営されています。つまり、郵便配達員はオートバイに荷物を乗せて、各家庭へ郵便物を毎日配達してくれます。
日本では、郵便物は必ず郵便受けに入れてくれますね。以前、日本に住んでいた時に、全く知らない人の郵便物が郵便受けに投函されていた為、郵便局に電話をしたら、想定外に大変なことになりそうになったことを思い出します。
その時は、所轄郵便局の少しお偉いさんのような方が自宅まで来て、郵便物が誤配されたことに気が付いた日時などを記録して、非常に申し訳なさそうに感謝され、謝罪されたことを思い出します。(謝罪をするべき相手は私ではなく誤配された郵便物の所有者なのだが・・・)つまり、それくらい、日本では他人の個人情報に対して敏感になったということなのでしょう。
ところが、台湾では、郵便配達員は郵便物を玄関先に投げ捨てるように放置して行ってしまいます。厳密に言えば、普通郵便の場合はハガキでも手紙でもそのような対応をして、速達や書き留めなどの特別郵便物は別対応になります。
そして、普通郵便の場合は、風が強い日でも同じような対応になるため、時々道路上に郵便物が散乱していることもよく目にします。また、放置された郵便物が直ぐに受け取る場合はまだ問題ありませんが、途中で雨が降り出した場合は、ご想像の通り悲惨なことになります。
このように、街を歩いていると、民家の玄関先や午前中の開店していない店先には、郵便物がそこら中に散乱していることは日常茶飯事です。特に、拾って持って行くような人はいないのでしょうが、強風が吹けば舞って行ってしまいます。そのため、手紙やハガキなどの郵便物が手元まで届けられないという事態になることもよくあります。
個人情報保護という点から見ると、郵便配達員も一般的な台湾人の方も、日本と比べるとまだまだ個人情報には意識が低すぎる気がします。
公共スペースで個人情報を放置
個人宅には、各家庭の玄関には郵便受け(家庭用ポスト)が多くの場合は設けてありますが、郵便受けがない場合もあります。マンションなどの集合住宅の場合は、郵便受けはマンションの壁に各戸毎に設置されていたり、マンションの内部に設置されていたりしています。
私の住んでいるマンションではマンション内に郵便受けボックスが各戸毎に設けられています。そして、そのポストボックス付近にはDMやチラシなどが投函された場合に廃棄処分するためのゴミ箱が設置されています。
そのゴミ箱をよく見ると、個人情報が丸出しになっている郵便物が無造作に捨てられていたりします。例えば、銀行口座残高の明細書やクレジットカード会社から送付されてきた明細書などです。時には、生命保険の引き落とし通知書なども捨ててあったりします。
このような光景を目にする度に、台湾では個人情報保護法は施行されてはいるものの、個人情報丸出しで法律もヘッタクリもなく、個人レベルでは台湾人の個人情報に対する意識が低すぎだと感じます。
クリニックで個人情報を大公開
クリニックや歯医者へ診療を受けに行くと、診療の順番がわかるように、モニターなどで見られるようになっていたりします。比較的新しいクリニックでは、個人情報の保護をするために、名前を例えば「王*治」のような形でフルネームでは公開しないように工夫されています。
ところが、ある歯医者に行った時に、診療台に座ると、その日に診察を受ける受診者が全てモニターに映し出されておりました。そして、そのモニター上では、名前だけではなく、生年月日や年齢や性別、受診予定時間など個人情報が丸出しの状態で受診する患者が見られるようになっていました。
日本でこんなことをしたら、間違いなく訴えられるレベルです。この辺りもクリニックや歯医者の運営の仕方や院長の考え方によって変ってきますが、比較的多くのクリニックで個人情報が公開されていたりします(笑)。
特に、病院などでの病気に関する個人情報は極秘情報と考えられている日本の状況から考えると、あまりにもかけ離れた台湾の状況にビックリしました。やはり、このような場面でも台湾では、個人情報に対する意識が法律に追い付いて行っていないように感じます。
ATMは外に設置され盗撮可能
日本では、銀行のATMは銀行内に設置されていますね。あるいは、銀行外であっても公衆電話ボックスのような、必ずドアが付いているボックス内にATMが設置されています。
ところが、台湾では、銀行内にATMが設置されている場合もありますが、銀行の建物の外の道路に面した場所に設置されていることの方が多いです。つまり、台湾のATMはインドア派ではなく、アウトドア派です。
そのため、このような外部に設置されたATMを利用する場合は道行く人や偶にはバイクが通過する気配を背中で感じながら、キャッシュカードを挿入したり、暗証番号を押したり、現金を受け取ることになります。初めて台湾のアウトドアATMを利用した時には、小額な金額なのに緊張感を持ってお金を引き出しました(笑)。
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最近は、このような台湾特有の習慣にも少しは慣れて来たのですが、台湾人の行動をよく観察してみると、かなり脇が甘いように感じます。私がこのようなATMを利用する時には、ATMに身体をすり寄せるようにしたり、上から片手を被せるようにして暗証番号を他人に見られないように、かなり気を遣っています。
ところが、台湾人の方は、そのような緊張感もなく、斜め後ろに立っていたら、暗唱番号が見えてしまうくらい無防備です。特に、外部に設置されているATMの場合は、斜め後方の道路を挟んだ向かい側の建物の2階くらいから、拡大望遠レンズのカメラを設置しておけば、簡単に暗証番号を見破られることでしょう。こんなところにも、台湾人のユルさや個人情報に対する意識の低さを感じます。
まとめ
法律の施行年月を調べてみると、下記のように個人情報保護法は日本の方が7年ほど早く施行されたことが分かります。
- 日本:2005年 4月に施行
- 台湾:2012年10月に施行
日本をよく知っている台湾人の方と話をしたりすると、日本と台湾を比較すると、台湾は日本よりも多くのことで10年くらい遅れているという意見を聞いたりします。
個人情報保護に関することは、法律の施行時期でも、それくらいの期間のズレがありますが、それ以上に国民の意識の低さは日本よりも10年くらいは遅れているように感じます。丁度、日本も10年か15年位前から頻繁に個人情報に関することに官民一体となり意識が高まってきた記憶があります。
台湾でも、これから個人情報を悪用するような事件が頻発するようになり、政府が注意喚起するようになると、国民の意識がもう少し高まってくるのかもしれません。あるいは、プライバシーに関する意識の問題ではなく、台湾人のおおらかな国民性が根底にあるのであれば、今後も個人情報に対する対応は変わらないかもしれません。
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