<台湾の大気汚染

台湾の大気汚染

台湾の大気汚染について、どのような状況かご存知でしょうか?

台湾で暮らしたことがない方や台湾の大気汚染がそれ程酷くない時期に旅行をされた方は現地の事情が分からないかもしれませんね。

ココに注目

  1. 台湾の大気汚染の現状はどう?
  2. 台湾の大気汚染の原因は何?
  3. 台湾の大気汚染に対する政府の対策は?
  4. 台湾で大気汚染が悪化する時期はいつ?
  5. 台湾での大気汚染に対する個人レベルの対応策は?

台湾の大気汚染についての以上のようなポイントに絞って、行政院環境保護署の統計データ、台湾の現地事情のレポート、台湾在住の私の肌感覚などを交えながら、詳しく現地の状況を紹介します。

台湾の大気汚染

台湾の大気汚染の現状

台湾の大気汚染はどれくらい酷いのか?

言葉で表現するのは難しいですが、台湾で空気汚染が最も酷くなる時期では、大型ダンプカーが大渋滞を起こした時に、トラックとトラックの間を散歩するぐらいです。

更に分かり難くなったと思いますので、別の表現を使えば、台湾では下記のような事態になっています。

  1. 屋外で洗濯物を干すことができない。
  2. 学校の屋外での活動が停止され、屋内での活動だけに制限される。
  3. 立法委員選挙や統一地方選挙の際の政策論争の争点の一つになる。

これだけでは台湾の大気汚染の現状があまり伝わらないかもしれませんので、台湾での大気汚染に関する指標、客観的な公的データを引用します。

台湾の行政院環境保護署では汚染物質を下記のように挙げています。

  • PM2.5/細懸浮微粒(PM2.5)
  • PM10/懸浮微粒(PM10)
  • SO2/二氧化硫(二酸化硫黄)
  • NOx/氮氧化物(窒素酸化物)
  • CO/一氧化碳(一酸化炭素 )
  • O3/臭氧(オゾン)

そして、それぞれの汚染物質に対して、空氣品質指標(AQI)という指標で6段階に区分して公表しています。(日本語では空気質指数または大気質指数)

※各国で算出法が異なりますが、台湾はアメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)の指標を採用しているようです。

空気質指数のそれぞれのレベルとは、下記のように定義されています。

  1. 良好:良い
  2. 普通:並
  3. 対敏感族群不健康:敏感なグループにとっては健康に良くない
  4. 対所有族群不健康:全ての人の健康に良くない
  5. 非常不健康:極めて健康に良くない
  6. 危害:危険

上表のように、空気質指数のレベルごとに、健康への具体的な影響や国民への対応が簡潔に決められています。一部を挙げると、下記の通りになります。

オレンジ色のレベルになると、アレルギー性の疾患に罹患している人は目や喉に痛みが出るとされています。

赤色レベルになると、全ての人に同様の症状が出始めるとされています。

そして、紫色レベルになると、学校での屋外活動が即座に停止され、屋内のみの活動になります。

最後の栗色レベルになると、全ての窓を閉じて防塵用のマスクをするくらいまでになります。もちろん、屋外での活動は禁止。

赤色レベル(対所有族群不健康)以上の大気汚染になった場合は、出来る限り、外出は控えたほうがよいでしょう。

下表が台湾の大気汚染に関する空気質指数(AQI)の年平均の統計データになります。

 2014年2015年2016年2017年
北部70636059
竹苗72666461
中部86797472
雲嘉南90818080
高屏89818083
宜蘭54504246
花蓮41413938

グラフにすると、直近の4年間ではほとんどのエリアで大気汚染の状況が良化されているのが分かります。

  • 北部 :70→59、11ポイントの改善
  • 竹苗 :72→61、11ポイントの改善
  • 中部 :86→72、14ポイントの改善
  • 雲嘉南:90→80、10ポイントの改善
  • 高屏 :89→83、6ポイントの改善
  • 宜蘭 :54→46、8ポイントの改善
  • 花蓮 :41→38、3ポイントの改善

グラフと表のAQIデータから見えてくることは、各エリアごとの大気汚染状況です。

  1. 台湾北部では大気汚染の状況は他エリアと比べ比較的良い
  2. 台湾南部と中部では大気汚染の状況は悪い
  3. 台湾東部では大気汚染の状況は良い

現在の大気汚染についての空気質指数は下記からご覧いただけます。

≫≫ 行政院環境保護署

台湾の大気汚染の要因

台湾の大気汚染の原因は何か?

台湾での大気汚染の主な要因は大きく分けると、国内要因と国外要因に区分され、大気汚染の70%が国内要因で、30%が国外要因だとされています。

以下の記事がありましたので掲載しておきます。

冬天到了,霧霾嚴重襲擊中國大陸京津冀,台灣西岸也隱沒在一片灰濛霾霧中,空汙嚴重前所未見。要求降低空汙已成為當前選戰首要話題,不論中央到地方,相繼要求火力電廠減碳降煤以減低空汙威脅,

台灣空汙為什麼越來越嚴重,許多人將罪魁禍首找向「惡鄰」中國大陸。行政院長賴清德說明台灣空氣污染來源與組成比例,三分之一來自「移動污染源」,即民眾平常使用汽機車,另外三分之一來自「固定污染源」,特別是工業發展,其中火力發電約占2.9%;剩下三分之一來自境外,特別來自中國大陸。

(引用元:世界日報World Journal)

行政院長(当時)賴清德は台湾の大気汚染について、下記のように述べています。

  1. 台湾の空気汚染の1/3は「移動汚染源」つまり、車やバイクの排気ガス
  2. もう1/3は「固定汚染源」つまり、工場などの工業からの排気ガス
  3. さらに、もう1/3は台湾国外の要因で、特に中国大陸からの影響

つまり、上記の通り、台湾の大気汚染の要因の2/3は国内要因で、工場から排出される排気ガスと自動車やバイクから排出される排気ガスが主な要因となっているとのこと。

さらに、下記のような記事がありましたので掲載しておきます。

PM2.5濃度高,全台各地皆紫爆,引起不少健康疑慮,究竟為何空氣汙染這麼嚴重,其實南北成因不同,但一樣複雜。

而以地區來細分,在台灣北部的PM2.5濃度改變主要是受到中國大陸季風的影響,部分的汙染源與霧霾隨風吹來台灣

而台灣南部則是與火力發電、工業發展、排放廢氣有關

台灣特有的風俗習慣,像是金紙燃燒、焚香及燃燒蚊香也是汙染源之一

(引用元:TVBS官網TVBSNews)

エリアごとに細分化すると、台湾北部のPM2.5濃度が変化する主要な要因は中国大陸の冬季季節風の影響を受けて、部分的に汚染物質とスモッグが台湾に飛来するため。

台湾南部では火力発電や工場などからの排気ガスが主要な要因とされる。

台湾特有の慣習である、冥銭(来世のお金)を燃やすことや線香や蚊取り線香の影響も大気汚染の一部。

台湾の大気汚染に対する政策

台湾では政策として、大気汚染に対して、どのような政策を打っているのか?

台湾では選挙の時期になると、大気汚染の問題がクローズアップされ、与野党を巻き込んで議論がされます。

既存陣営は大気汚染が改善されたことを主張し実績をアピールし、反対陣営は大気汚染が深刻だということを訴えて批判をするというのが現地事情です。

このように台湾では重大事項として社会問題化している大気汚染問題ですが、中央政府や地方政府は国内要因に対して施策を行っています。

上述したように大気汚染の主な国内要因は、下記の2点が大きな問題として認識されています。

  • 工場から排出される排気ガスの削減
  • 車やバイクから排出される排気ガスの削減

現状の大気汚染に対して政府はどのような対策を進めているのか?

(引用元:行政院環境保護署)

4つの国営事業(中龍、中鋼、中油、台電)での大気汚染を削減することに力を入れる政策を打ち出しており、その中でも火力発電所の古い設備を停止するなどの対策を採るとされています。

また、港湾エリアでの船舶によっても大気汚染が悪化しているとされ、港湾では船舶の減速や大気汚染への負担が少ない燃料を使用するなどの対策が進められています。

車やバイクからの排気ガスを削減するために、10年以上経過する自動車の排出量を制限するため、乗り入れ禁止エリアなどを設ける。あるいは2030年、2035年、2040年と年度を区切り段階的に電気自動車への切り替えを実施する目標を設定しています。

その他では、飲食店などには大気汚染対策として補助金を出して支援、排気ガスの少ない車やバイクの買い替えに対して補助金などを出して支援することを継続するとされています。

具体的には、工場からの排気ガスの内、比較的大きな比重を占めている火力発電所に依存するシステムから太陽光発電や風力発電への移行を進めようとしているのが現状です。

また、上記の通り、排気ガスの排出が少ない車やバイクへ買い替える際には、補助金などが支給される制度を設けて低排気ガス車への買い替えによるCO2削減にも力を入れているようです。

あるいは、最近では市内バスは電気車を採用して、排出されてきたCO2量を削減し大気汚染を抑制する対応をしているバス会社もあります。

市民レベルの視点から見ると、近年では電動バイクのショップが増えており、エンジン音がしない電動式バイクを見かけることが多くなりました。

このように、台湾社会は大気汚染の問題に対して、政府と国民が一体となり徐々にですが、国民の健康を守るために、予算をつけて社会を変えようとしているのが現状でしょう。

ただし、日本人の視点からすると、どうしても日本の現状と比較してしまうため、「改善」部分よりも「汚染」部分に目が行ってしまいがちです。

なお、台湾での空気汚染に関する法規は下記のような法律により規定されています。

  • 空氣污染防制法(日本の「大気汚染防止法」に相当)
  • 空氣污染防制費收費辦法

台湾で大気汚染が酷い時期

以下では、自分の経験を交えながら、台湾で大気汚染が酷くなり顕在化する時期について、現地事情を詳しく紹介します。

台湾の大気汚染を目の当たりにする瞬間は、黒色の車のボディーを見た時です。

ホコリのような粒子に覆われた車体は小雨が降った直後は斑模様に汚れてしまい哀れな様子になります。

そして、毎日、このような光景を目にすると、自分の身体にも知らない内に、このような微粒子や塵粉が肺の中に入っていると思うとゾッとする時があります。

それでは、台湾の大気汚染を体感的に感じる時期はいつなのか?

台湾で大気汚染が酷くなる時期は、私の肌感覚で言えば、10月頃から2月頃までです。

その理由は、雨が少なくなり、空気が乾燥するため、屋外にいても屋内にいても、目や鼻がむずむずしたり、時には痒みを伴うことも頻繁に感じる時期です。

一般的な台湾を取り巻く気候は、下の画像のような大気の変動に影響を強く受けています。

台湾の気候の変動要因

≫≫ 台湾の気候

つまり、夏は南からの湿った夏季季節風、冬は大陸性の冬季季節風の影響を強く受けることになります。

上のグラフは台湾の主要都市の月別の湿度の一年間の推移を示しており、台湾南部や中部では10月~2月までは湿度が下がっていることが確認できますね。

なぜ、台湾では秋から冬に掛けて、涼しくなったり一時的に寒くなったりするのか?

それは、冬季季節風により乾いた冷たい大気がシベリア上空の冷たい大気が中国大陸から台湾へ吹き付けるからです。

そして、乾いた大気はシベリア寒気団と言われ、中国内陸部から流れ込むため、台湾では特に雨が降らない日は11月頃からは大気が乾燥して、大気汚染の一つの要因となっているということです。

ちなみに、東アジアの空気質指数について、冬のある日の状況を調べてみると、下の画像の通りでした。

画像のように、日本は非常にクリーンな状況であるのに対して、台湾(○印部分)は西側が酷く汚染していることが分かります。この画像からも台湾と日本の大気汚染の違いがよく分かりますね。

そして、さらに中国の大都市では空気の状況が非常に悪く、内陸部では異常事態が発生していることが一目瞭然です。

現在の大気汚染に関する空気質指数は、下記よりご覧いただけます。

≫≫ World Air Quality

台湾で個人が出来る対応策

上記のような台湾での大気汚染に対して、台湾で暮らしてみて、どのような肌感覚で空気の悪さを感じるのか?

現状の空気汚染に対して、個人レベルで出来ることとして健康を守るための対応策は何かについて考えてみます。

先に述べた通り、台湾北部エリアでは一年を通して天気があまり良くないため、湿度も高く、ジメジメとした天候が続きます。結果、空気が乾燥しないため、それ程強く大気汚染を実感しないかもしれません。

一方、台中、台南、高雄などの台湾中部や南部エリアでは、毎年、10月くらいから大気が乾燥し始めるため、次第に大気汚染を肌感覚で実感するようになります。

そして、11月くらいからは最も酷い時期になり、朝起きた時に目が開けられないくらい空気の悪化で瞼がくっついてしまっていることもあります。

さらに、鼻やムズムズして喉がイガイガして、最も酷い時には扁桃腺が腫れてしまい、そのまま病院へ行くこともありました。

このような大気汚染の状況が11月~2月くらいまでは続く感じです。それでも、曇りの日や小雨が降る前後は状況はややマシになります。

それでは、台湾現地ではどのような対応策をとっているのか?

常套手段ですが、外出する時にはマスクを着用することです。

それと、気管支が弱い方やアレルギー体質の方の場合は室内では空気洗浄機を使用している家庭もあります。

台湾の現地事情は下記記事も参考にしてみてください。

台湾のPM2.5の現地事情対策・予防策と注意点について詳しく解説します。台湾では空気品質指標(AQI)という空気の品質状況を毎日公表しており、特に11月~2月頃まではPM2.5などにより空気の質が酷くなる時期です。台湾旅行前に是非ご覧ください。

まとめ

以上、台湾の大気汚染について、空気質指数や季節ごとの気候の特性を考慮しながら、台湾現地の状況を具体的に紹介しました。

台湾の大気汚染についての現地事情を少しは実感できるくらいまで伝わりましたでしょうか?

秋や冬の時期に台湾南部や中部を旅行して、空気の悪さに幻滅した方もいるかもしれませんね。

実際には、台湾全体で大気が悪いわけではなく、人口密集都市や工場が多い都市、あるいは季節要因と外部要因により、一部の都市で秋から冬の時期に大気汚染を実感することになります。

最後に、台湾の大気汚染についての上記のポイントをまとめておきますので、旅行や滞在中の参考にしてみてください。

この記事のポイント

  1. 台湾の大気汚染は主に台湾島の西側の都市で顕在化する
  2. 台湾の大気汚染の時期は11月~2月頃が最も酷い
  3. 台湾の大気汚染の要因は国内要因と国外要因がある
  4. 国内要因では工場や車やバイクからの排気ガスが原因
  5. 冬季季節風により中国大陸からのスモッグの飛来も汚染要因
  6. 近年は排気ガス抑制の政策により徐々に大気汚染レベルは良化
  7. 台湾で大気汚染を実感する時期にはマスクや空気洗浄機が必要

台湾へ秋から冬に掛けて旅行、滞在予定の方は下記記事もご覧ください。

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