<台湾の春雨(春の降雨)

台湾の春雨(春の降雨)

台湾の春雨について、気象統計データ、台湾の現地事情、台湾在住の私の肌感覚を交えながら、詳しく紹介します。

みなさん、春雨という言葉を聞いたことがありますね。日本では春の時期に雨が降ることも多いです。

それでは、台湾では春雨はあるのか?実は、台湾でも春雨の気象現象がありますが、エリアや地理的な条件により少し異なることもあります。

ココに注目

  1. 台湾の春はいつからいつまで?
  2. 台湾の春雨とは、どんな雨?
  3. 台湾の春雨の特徴は何?
  4. 台湾の春雨の降水量はどれくらい?
  5. 台湾の春雨のエリアごとの違いは?
  6. 台湾で春雨が降る原因は何?

台湾の春雨について、上記のような疑問点を洗い出し、台湾の春雨について調べてみた気象データや気象情報(引用元:台湾中央気象局)に加えて、台湾で私が経験した春雨に対する肌感覚を交えて詳しく紹介します。

この記事の目次

台湾の春はいつ?

台湾の春はいつからいつまでなのか?

台湾で暮らしていても、台湾の春の時期はいつからいつまでなのか実感することは少ないです。

直感的に私が感じる台湾での春の時期は、3月上旬以降に外気が暖かくなり始めて、外出時に上着が必要なくなった時期となります。

一般的に、台湾で春を示す暦(こよみ)はいくつかありますので、下記に挙げてみます。

  • 天文学上の春:春分(3月21日)
  • 二十四節句での春:立春(2月4日)
  • 台湾での慣習:旧暦1月~3月
  • 気象統計上の春:3月~5月

上記のように、春はいつなのかということだけでも、定義しにくいのが台湾の暦や気候の特徴でしょう。

以下では、台湾での春雨という降雨の気象現象について詳しく解説していきます。

台湾の春雨

日本では春雨とは下記のようなことを意味しています。

3月から4月にかけて日本の南岸に停滞しがちとなる前線のことで、天気がぐずつき梅雨のような感じ(菜種梅雨(なたねづゆ))となる。気温は低めで、降る雨が雪に変わることもある。

(引用元:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ))

それでは、台湾での春雨はどのような雨なのでしょうか?

台湾では気候上・地理的条件により、毎年、春になると特徴的な雨が降ります。

この春に降る雨のことを、特に「春雨」(Chūnyǔ)と呼称しています。

台湾での春雨の時期は2月から4月までとされています。

台湾では春雨についての一つの定義として、「台湾全土の2月~4月までの雨のことを春雨と言い、特に台湾中部と南部については4日以上連続して降る雨のこと」としています。

台湾の春雨の特徴

台湾での春雨は、どのような特徴があるのか?

春雨は小雨がパラパラと降り続くことが最も大きな特徴です。台湾ではこの特徴のことを「春雨連綿」と言っています。

もう一つは、2月から始まる気候上の特徴を反映して、春雨の降雨時は肌寒いのが特徴です。これを中国語では「春寒料峭」と言っています。

また、2月から4月頃まで続く春雨の雨の降り方の特徴として、豪雨が少ないというのも特徴とされています。

そして、気象上の特徴として、「風切線」という気象現象が上空で発生します。簡潔に言えば、上空での降雨前線の一つとされ、これが春雨の一つの要因とされています。

台湾の春雨の降水量

上のグラフは台北、台中、台南、高雄、花蓮の月別の降水量(mm/月)の一年間の推移を示しています。

また、日本と台湾の降水量の違いが分かりやすいように、東京の降水量を併せて比較しています。

通年では、台湾の主要都市の降水量が非常に多くなっており、特に6月から9月までの時期が非常に多いことがグラフから確認できますね。

以下では、春雨の時期とされる2月から4月の時期に限定して、台湾での春雨の降水量を詳しく考察してみましょう。

観測地年間降水量2~4月5~6月7~9月10~1月
基 隆3664.8928.9(25%)566.9(16%)748.7(20%)1420.3(39%)
宜 蘭2746.9411.9(15%)428.6(16%)857.4(31%)1049.0(38%)
台 北2180.2474.5(22%)515.2(24%)827.0(38%)363.5(16%)
台 中1600.9265.5(16%)583.3(36%)663.5(42%)88.6(6%)
台 南1546.4127.9(8%)539.0(35%)812.3(53%)67.3(4%)
高 雄1619104.3(7%)549.5(34%)882.7(54%)82.4(5%)
花 蓮2176.3311.1(14%)448.1(21%)804.2(37%)612.6(28%)
台 東1847.2172.4(9%)423.9(23%)880.0(48%)370.9(20%)
陽明山4535.3667.4(15%)542.4(12%)1360.5(30%)1964.9(43%)
日月潭2355354.6(15%)868.9(37%)969.4(41%)162.0(7%)
阿里山3962.2482.0(12%)1280.9(32%)1876.6(48%)322.7(8%)

(引用元:台湾中央気象局)

上表は1961~1990年までの30年間の年間降水量(mm/年)の平均を示しています。

一年間を4つの時期に区分して、それぞれの期間の降水量(mm)がどれくらいか、年間降水量に占める期間ごとの降水量の比率(%)を示しています。

上表の結果から、年間降水量が最も多い観測ポイントは台湾北部の陽明山で、最も少ないポイントはタイなんだということが分かります。

その上で、それぞれの期間ごとの観測ポイントでの雨の降り方の特徴が見えてきます。以下では地理的な違いによる春雨の特徴を考察してみましょう。

台湾の春雨の地理的違い

台湾の春雨の地理的な違いから、春雨のエリアごとの特徴をまとめると、下記のようになります。

基隆では、春雨の降水量は年間の降水量の約25%となり,冬の時期の降水量に次いで多くなっています。

台北では、春雨の降水量は年間の降水量の約22%で梅雨の時期の降水量に匹敵する雨量となっています。

宜蘭や花蓮では、春雨は季節ごとの降水量としては最も少なく、15%程度となっています。ところが、年間降水量が非常に多いエリアですので、他都市と比較しても、雨の量は多いほうです。

台中では、年間降水量の16%ほどで、他都市と比べても比較的少ない雨の量となっています。

高雄や台南や台東などの南部のエリアでは、春雨の降水量は年間降水量の10%未満で、降水量は少なく、春雨の気象的な特徴はあまり影響しないエリアとなっています。

上記のように、春雨が特徴的に顕在化するエリアは、台湾北部が中心となり、特に、台北や基隆あるいは、花蓮や宜蘭に陽明山などでは雨がやや多くなります。

台湾で春雨が降る原因

降雨前線「風切線」

春雨の最も特徴的な気象現象は天気図上に「風切線」と呼ばれる降雨前線が確認されることです。

気流が複雑にぶつかり合うことで上空で雲が出来やすくなり、その結果、雨が発生するという気象現象です。

この前線は中国南部(華南)から台湾までのエリアの内、上空の高度1.5kmに発生して、この時期特有の降雨前線になります。

そして、この前線の南側が雨のよく降るエリアとなり、その場所こそ台湾北部のエリアに当たるということになります。

春雨と梅雨の違い

台湾では春雨の時期(2月~4月)が収束すると、すぐに梅雨の時期(5月~6月)に入ります。

ところが、春雨の時期と梅雨の時期は明確に区分できるわけではなく、雨が降るという現象は同じため、気が付いたら梅雨入りしていたという感覚です。

私が台湾で経験をもとに、台湾での春雨と梅雨の雨の降り方を比較すると、春雨は小雨が多く、梅雨はやや雨の降り方が強く、時には大雨になるというイメージを受けています。

春雨とエルニーニョ現象との関係

エルニーニョ現象が春雨に与える影響について、エルニーニョ現象の影響を受けると、台湾の西側のエリアでは2月~3月には雨が多くなり、4月はあまり雨が多くないとされています。

ところが、台湾の東側のエリアでは、3月は降水量が増えますが、他はあまり影響しないとされています。

まとめ

以上、台湾の春雨について、気象データ、台湾の現地事情のレポート、台湾生活の中で経験した私の肌感覚を交えて、詳しく紹介しました。

春雨についての経験的な実感は、台中以南で暮らしている場合は2月~3月頃までは雨が少ないため、天気のことを気にすることはほとんどなく、4月に入り、雨が降る日が多くなる印象です。

一方、台北などの台湾北部では、2月~3月は雨の量は少ないものの、雨の日が多いため、毎日、ジメジメとした湿度が高い日が続くというのが実状でしょう。

このような、台湾は北部、中部、南部、東部で気候が多様で、春雨を一つ採り上げても、それぞれのエリアで異なる気象現象が起こるというのが台湾の気候の特徴でしょう。

最後に、台湾の春雨についての上記のポイントをまとめておきますので、台湾旅行や台湾滞在時の参考にしてみてください。

この記事のポイント

  1. 台湾の春雨の時期は2月~4月まで
  2. 台湾の春雨の特徴は降雨が続き、肌寒いこと
  3. 台湾の春雨の降雨は豪雨にはならないが、雨の日が多い
  4. 台湾の春雨のエリアごとに雨の降り方が異なる
  5. 台湾北部は雨が多い中部・南部は雨が少ない
  6. 台湾で春雨が降る原因は風切線という前線

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