台湾の貧富の差は大きい!?所得格差が更に拡大【実態とデータ】

台湾の所得格差が近年は更に拡大し続けているということと台湾社会の貧富の差が酷すぎる現状を台湾現地からレポートします。

台湾に移住して以降、一貫して感じていることの一つは、台湾は貧富の差が非常に大きい社会だということです。台湾社会に対する私の印象を裏付けるようなデータが発表されましたので、その情報もシェアしようと思います。

 

台湾社会の貧富の差に対する過去と現在の私の印象

私が最初に台湾を旅行したのは、当時、大学生だった数十年前(?)になります。その当時、私が台湾社会に対して受けたイメージは、今と変わらない印象もあれば、台湾の社会は変わってしまったなという部分もあります。例えば、夜市で屋台や店が並び賑やかで激アツで騒がしい社会だなという印象が強くありました。

そして、そのような当時の印象は、今も変わらず台湾社会の中に残っています。具体的には、台湾各地で夜市が存在し、賑やかな街並みがあり、さらに交通面では当時と変わらずバイク王国という点では、数十年間全く変わっていない部分です。

一方、市民目線で、当時と比較して台湾社会の変化を挙げれば、「車」です。当時の台湾では、外車は偶にしか見かけなかったのを覚えています。また、物価も今とは比較にならないくらい非常に安く感じたものです。

その当時の私の記憶では、屋台などで売っているモノの値段は、日本の3分の1から4分の1程度だったように思います。台湾原産の果物は、もう安過ぎて目が飛び出そうな強い印象が残っています。それでは、現在はと言うと、そこまで台湾の物価は安くなく、屋台などでの庶民の食べ物や飲み物なども日本のモノと比べると2分の1程度にまで上昇し、高くなったなという感じがします。

つまり、交通手段である車やバイクに注目すれば、当時と同じようにバイク王国と言われるくらいバイクの所有率は同じように高い状況です。ミニバイクは発展途上国では贅沢なものかもしれませんが、先進国では庶民の象徴のようです。
台湾で原付バイクが多い理由|交通手段として不可欠

また、車に関しては、当時はごくごく一部の富裕層しか乗れなかったベンツなどの高級車は、現在の台湾では日本では信じられないような比率で、超高級車であるベンツやポルシェが走っています。しかも、若年層がそのような超高級車を乗り回しています。(たまに、彼らが事故を起こして、超高級車がグチャグチャになっているニュースを見ます)

ここまでの話をまとめると、庶民の消費の対象であるミニバイクの所有率や屋台などの飲食物は物価の上昇はあれど、その当時のまま残っており、低所得者層の消費の対象として、現在も根付いているのだろうと思います。一方で、一部の富裕層は、さらにお金持ちになり、富裕層も拡大傾向にあるといったところでしょう。

 

過去10年間の所得税申告の統計データが所得格差の拡大を示す

とうとう、台湾社会の貧富の差が大きいことを示すデータを突き止めました。そのデータによれば、過去から現在まで、ほぼ一貫して所得格差が拡大し続けていることを示しています。

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2014年度の所得税申告の統計データによると、高所得層と低所得層の所得格差が拡大し続けており、その所得格差は過去最大の112倍にまで拡大したというものです。所得税申告データに基づき、所得の大きさを5%づつの20等分にして、所得が最も高い上位5%の高所得層と最も低い下位5%の低所得層を比較すると、高所得層では平均525.6万元(約1,650万円)であったのに対して、低所得層では平均4.7万元(約15万円)となったため、その所得格差が112倍になったということを表しています。

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データをよくチェックしてみると、高所得層(上位5%の富裕層)の所得は2013年の439.8万元から、2014年では一気に525.6万元の急上昇しているのが分かります。一方、低所得層(下位5%の最下層)の所得は約10年前が7.2万元から、所得が35%も少なくなり、4.7万元と過去10年間でも最も低い水準で低迷していることが分かります。

ここまでの話をまとめると下記のようになります。

・高所得層:396.9万元(2005年)→525.6万元(2014年)
・低所得層:    7.2万元(2005年)→   4.7万元(2014年)

ちなみに、10年程前の2005年では、上記の所得格差は約55倍ということになります。ということは、10年前と比較すると、2005年での所得格差が55倍だったものが近年の2014年での所得格差は112倍に倍増していることがうかがえます。

更に、富裕層は節税対策に躍起になっており、低所得層には所得が低く過ぎるため非課税世帯となっている家庭も多いため、実際には上記に示されたデータ以上に所得格差は大きいと予測されています。

 

街を歩いて見た台湾社会の実態は正に「貧富の差」の広がり

実際に台湾の街並みを歩いて台湾社会の実態を覗いてみると、所得格差が拡大し続けて、貧富の差が大きくなっていることをヒシヒシと感じます。

例えば、過去に私は下記のような記事で、台中駅前地下道ではホームレス(路上生活者)が(特にこのエリアは冬の時期に)増加している実態をレポートしました。
台中駅前地下通路のホームレスから見えてくる現在の台湾社会

少し話は逸れるかもしれませんが、台湾には少年や少女が物売りやゴミ(資源)収集をしている光景を見たことはありませんが、年配の方がこのようなことを生業にしている場面をよく見かけます。
資源ごみ収集と物売りの社会学

例えば、ダンボールやペットボトルなどの再利用可能な資源をリアカーを引きながら歩いている高齢者、交差点の信号付近で芳香用の花びらの加工品を売っている高齢者、駅前で物乞いのように空き缶を前に座っている老人などをよく見かけます。低所得層やホームレスの高齢化も激しいのですが、一方で路上生活者の顔ぶれを見るとホームレスの若年化も進んでいる状況です。

上記の所得格差の拡大を示す統計データの結果は、実際に私が街を歩いて気が付いた台湾社会の実態である「貧富の差」の広がりを裏付けているものだと思います。

 

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