台湾で就職できる仕事について詳しく解説します。
海外で就職する場合にまず必要なことがビザの取得になります。
台湾では就労ビザの取得に関しては、外国人従事就業服務法という法律で細かく規定されています。
このように、法令ではビザ取得の条件のみならず、ビザの申請ができる職種や業種も規定されています。
現地ではどのような仕事が求められているのかを法令から台湾政府側の意図を読み解きていきます。
実際に、現地での求人で多い職種や業種も簡潔に紹介します。
台湾で働きたい方へ向けて、現地での仕事探しの参考になれば嬉しいです。
この記事の目次
台湾で働いている日本人
台湾で合法的に働いている日本人のビザの種類別にパターン化すると、下記のようになります。
- 現地駐在員
- 現地採用者
- 配偶者ビザ
- 起業家ビザ(創業家ビザ)
- 投資家ビザ
- 宗教活動ビザ
- ワーキングホリデービザ
- 学生ビザ
上記の内、ワーキングホリデービザと学生ビザはアルバイトでの従事に限られます。
また、配偶者ビザは台湾人と結婚をした場合に取得できるビザで台湾人と同様に制限なく仕事をすることができます。
以下では、現地採用として台湾で働く場合の仕事について考えてみましょう。
台湾での就職が許可される仕事
台湾政府の表現を使うと、外国人の雇用に関しては、ブルーカラーではなくホワイトカラーの外国人を招き入れるとされています。これは、台湾国内の雇用機会を守るためでしょう。
実際に、台湾で働くことができる仕事は外国人従事就業服務法という法令で規定されています。
まずは、法令の該当部分を抜粋して確認してみましょう。
專門性或技術性工作
本法第四十六條第一項第一款所稱專門性及技術性工作,指外國人受聘僱
從事下列具專門知識或特殊專長、技術之工作:
一、營繕工程或建築技術工作。
二、交通事業工作。
三、財稅金融服務工作。
四、不動產經紀工作。
五、移民服務工作。
六、律師、專利師工作。
七、技師工作。
八、醫療保健工作。
九、環境保護工作。
十、文化、運動及休閒服務工作。
十一、學術研究工作。
十二、獸醫師工作。
十三、製造業工作。
十四、批發業工作。
十五、其他經中央主管機關會商中央目的事業主管機關指定之工作。(引用元:外国人従事就業服務法)
上記の中国語を見て分かる方もいるかもしれませんが、日本語でポイントをまとめると、下記のようになります。
専門職や技術職の仕事
- 建築・土木関連職
- 交通事業職
- 金融・税務関連職
- 不動産関連職
- 移民サービス関連職
- 弁護士・弁理士
- エンジニア職
- 医療・保健関連職
- 環境保護関連職
- 文化・スポーツ・レジャー関連職
- 学術研究職
- 獣医師
- 製造業関連職
- 卸売業関連職
- 当局が許可したその他の仕事
上記のように、どの国でも共通して言えることは、外国人に就労ビザを発給する場合は、自国にプラスとなる人材を迎え入れるというスタンスです。
上記を見て、全く当てはまる仕事がなく、台湾で就職するのはかなり狭き門だなと感じた方もいるかもしれませんね。
以下では、現地で求められている職種や業種について、もう少し深掘りしてみましょう。
台湾で就職できる仕事
以下では、一般的に、台湾で日本人が就職する際に待遇が良い仕事と就職できる仕事の中で狙い目の仕事にスポットを当ててみます。
台湾で待遇が良い仕事
台湾での外国人の給料は法令で規定されています。詳しくは下記記事をご覧ください。
その中でも、台湾で働いている外国人が比較的高い待遇とされている職種を紹介します。
エンジニア
台湾は半導体関連企業が経済を牽引しているビジネス事情を反映して、エンジニアの求人が非常に多いのが現状。
台湾のシリコンバレーと言われる新竹の平均年収が非常に高くなっていることがエンジニアの高待遇をよく示しています。
台湾ではエンジニアの平均年収は他の職種と比べても非常に高いのが特徴。詳しくは下記記事をご覧ください。
≫≫ 台湾の平均年収と平均月収はいくら?【最新】統計情報を基に検証
専門職
ここで専門職というのは、民間企業の企業内の専門職というのではなく、医師、弁護士、会計士、建築士などのことです。
このような資格を保有していると、高待遇で迎え入れられることは周知の事実でしょう。
台湾で生活する日本人が増加することを考えると、今後は日本語ができる医師や看護師の需要も高まりそうです。
また、台湾では日系大手企業が多く進出していますので、弁護士や会計士の需要も安定しているのが現状です。
研究職
ここでの研究職とは民間企業の研究職と大学などの教員のことを示しています。
実際に、全世界的にAIの研究が活発化していますが、台湾でもAIの研究に力を入れており、このような分野の研究職は高い待遇が期待できます。
また、以下で案内する狙い目の仕事とも関係しますが、大学教員も給料が比較的高いとされています。大学院の修士以上の学歴があれば、日本語教師として大学教員になる道も開かれています。
≫≫ 【保存版】日本語教師になる方法(キャリアアップのルートマップ付)
台湾で狙い目の仕事
台湾で就職する際に就職できる仕事と狙い目の仕事を現地事情を交えながら紹介します。
以下は、法令で外国人が働くことが認められている仕事の中で、日本人にマッチしそうな業種や職種を抜粋したものです。
- 交通事業:觀光事業:觀光旅館業、旅館業、旅行業之經營管理、導遊、領隊
- 財稅金融服務工作:協助處理會計師法所定業務之工作
- 不動產經紀工作:不動產仲介或代銷業務
- 律師工作:外國法事務律師
- 文化、運動及休閒服務工作:出版事業:新聞紙、雜誌、圖書之經營管理、外文撰稿、編輯、翻譯、編譯
- 文化、運動及休閒服務工作:休閒服務業:遊樂園業經營及管理之工作
- 製造業工作,其內容應為經營管理、研究、分析、設計、規劃、維修、諮詢、機具安裝、技術指導等
- 批發業工作,其工作內容應為經營管理、設計、規劃、技術指導等
上記法令ののポイントをまとめると、下記のようになります。
- 観光関連:ホテルや旅行会社の管理、旅行の添乗員
- 金融・税務関連:会計士
- 不動産関連:不動産仲介業、不動産セールス
- 法律関連:弁護士業
- 出版関連:新聞・雑誌などの出版業の管理、翻訳・通訳
- レジャー関連:レジャー施設の経営管理
- 製造業:経営管理、研究、技術指導
- 卸売業:経営管理、企画、技術指導
上記の内、弁護士や会計士などは上述した専門職にあてはまるものですので省略します。
以下で就職する場合の狙い目の仕事を上記を参考に挙げていきます。
ホテルや観光業の仕事
日本からの観光客が増加している昨今、ホテルや観光業での仕事も増加傾向となります。
日本人が多く訪れるホテルや観光案内の仕事になりますので、お客さんは日本人になり、日本語ができればこなせる仕事と考えがちです。
ホテルの場合は日本人相手だけではなく、台湾人やその他の外国人の旅行客もいますので、中国語や英語の語学力があれば尚よいでしょう。
レジャー施設の仕事
三井アウトレットパークなど日系企業が資本の施設も増えています。
まだまだ、台湾ではレジャー施設は少ないため、今後は日台関係が親密になり、投資環境が整えば、日系レジャー施設が増えそうな予感です。
そうなれば、現地での管理や指導の機会が増えるため、日本人が求められる機会も増えることでしょう。
不動産仲介業・販売業
台湾での日本人のビジネスやロングステイなどの目的で滞在者が増える傾向にあります。
このような現地事情を踏まえ、現地での不動産仲介業として、日本人相手に案内をする仕事も増える傾向。
また、台湾人による日本の不動産への投資の関心が高まっており、日本での台湾人への不動産売買物件の案内ができる人材も求められています。
翻訳・通訳
今も昔も台湾にいる日本人の仕事としては定番なのが翻訳や通訳の仕事です。
台湾には日本語ができる台湾人は多くいますが、完璧な日本語で文章を書くことができる人は少ないのが現状。
日本人にとって読みやすい文章は、最終的には日本人の校正が必要になります。
中国語で交渉ができるくらいの語学能力が高い人材は、現在でも現地で求められています。
製造業・卸売業
製造業や卸売業などは日系企業の現地駐在員が当てはまりますが、現地採用でも求人があることもあります。
ただし、この場合は現地コーディネーターのようなポジションで高い中国語能力が求められます。
営業の仕事
日系企業の現地法人に最も多い仕事として、営業の仕事があります。
日系企業への商品やサービスの現地でのセールスが主な仕事となりますので、日本語だけで営業の仕事が完結します。
そのため、見方を変えれば、日本で営業の仕事をしていた方は住む場所を台湾に移して、実務経験をそのまま生かすことができる点ではおすすめです。
教育機関・学校の管理
日系企業の中には台湾で教育施設の運営をしている会社もあります。
このような会社の現地法人では現地でマネージメント業務ができる人材を募集している場合があります。
日本語教師
最後に、上記抜粋の法令では挙げていませんが、日本語教師は日本人であれば、最も就職しやすい仕事と言えます。
ところが、日本語教師の経験がない方は、簡単に日本語教師の仕事ができると考えがちですが、実は日本語教師の仕事は日本語を知っているだけでは務まりません。
日本語学や日本語教授法などのベースの上に、日本語を教えた経験があって、ようやく教壇に立てると考えておいたほうがよいでしょう。
まとめ
以上、台湾で就職できる仕事について、現地の法令をもとに、現地で求められている人材について解説しました。
台湾ではある程度は外国人が働くことができる仕事が法令で決められているということが少しはイメージできたのではないでしょうか。
日本では求人数が多いため選択肢が幅広いですが、台湾ではあまり多くの職種の募集はありません。
そのため、現地採用で仕事を選択して応募するという状況は少ないかもしれません。
逆に言えば、自分の実績、経験、スキル、技術などの武器を、戦場の現地台湾でどのように生かせるかをよく考えて、台湾での就職活動を始めたいものです。
最後に、この記事のまとめとして、台湾で就職をする場合の仕事探しについてのポイントをいくつか挙げておきますので参考にしてください。
この記事のポイント
- 専門職や技術職は高待遇で求人が多い
- 日系企業への営業職の求人も比較的多い
- 中国語を生かした仕事として翻訳・通訳も狙い目
- 中国語ができればホテルや観光の仕事も狙い目
- 日本語教師は最も求人が多いが給料は低い
- 現地駐在員は製造業や商社などが多い