台湾で初めて鍼灸治療を受けてきました。鍼灸治療とは鍼(髪の毛ほどの針)と艾(もぐさ)を使った灸による東洋医学の治療法です。
私は日本では鍼灸治療を受けたことがなく、台湾に来て、中医クリニックを何度か受診したことがありますが、鍼灸治療は今回が初めてでした。
今回は台湾での鍼灸治療の受診方法、鍼灸治療ができるクリニックを探し方、実際に受けた鍼灸治療の内容、鍼灸治療を受診してみた感想、鍼灸治療の効果、台湾での鍼灸の治療費などを詳しく紹介します。
台湾での鍼灸事情
まずは、台湾での鍼灸事情について、台湾生活を通して見えてきた現実と台湾での鍼灸の制度に関することをまとめておきます。
1954年以前は「師徒伝承」の個別伝授法
1955年に台北市鍼灸学会が政府機関の認可を獲得した後,研修会を介した体系的な習得法にかわった。
1975年に「新医師法」が実施され、今までの鍼灸師は無資格となった。
1989年に中医師の試験に鍼灸の科目が加わり、筆記試験だけで実技試験はない。現在、台湾には鍼灸に関する資格制度が無く「中医師」 の試験に合格した者は、“漢方薬の処方も、鍼灸師の資格と開業を許される”
(引用元:全日本鍼灸学会雑誌56巻2号)
台湾での針灸治療の受診方法
日本では鍼灸師や鍼灸院が無数にある印象ですが、台湾では鍼灸師も鍼灸院も見かけません。
その理由は、上述した通り、台湾では鍼灸師や鍼灸院が認められておらず、鍼灸治療をする場合は中医師のライセンスが必要になるからです。
また、全ての中医診所(中医クリニック)の中医師が針灸技術を習得しているわけではないため、針灸治療が施術できる中医師は一部だけという状況もあります。
このように、台湾は鍼灸治療の本場と思われる方もいるかもしれませんが、実は鍼灸治療を受けられる場所はかなり限られているのが現状です。
そのため、台湾で針灸治療を受診しようとすると、まずは中医クリニックを探し、中医クリニックでは針灸科や針傷科などの針灸治療が出来る医師が所属しているかを確認することになります。
基本的に、特に初診の場合は予約をする必要はありませんが、人気が高く患者さんが多いクリニックの場合は予約なしの飛び込み受診の場合は、順番待ちで長時間待たされることがあるかもしれません。
また、台湾では受診システムがクリニックにより異なり、予約をしていても、早く来院した患者から受診するというところも多いですので、飛び込み受診でも問題なかったりします。
台湾で針灸治療が受けられるクリニックの探し方
それでは、台湾で鍼灸治療が受けられるクリニックはどのように探せばいいのでしょうか?
今回、私が探した方法を紹介します。
- Googleマップを利用します。
- 探すエリアを指定します。
- クリニックの種類を入力・検索します。
具体的には、台北市内で探す場合は、下記のようにします。
- グーグルマップのサイトを表示します。
- 検索欄に「台北 中医診所 針灸」と入力します。
- 評価やクチコミをもとにクリニックを選びます。
鍼灸治療の様子を画像とともに紹介
針灸治療の流れは以下のようになります。
- 問診
- 視診
- 触診
- 針灸治療
私が今回受診したクリニックでは鍼と電気治療による治療を専門にしているようでして、灸による施術はしていないようでした。
まずは、患部を治療するため、ツボに先端の太さが髪の毛ほどの鍼を皮膚に刺していきます。
その後、微量の電気を流すためプラスとマイナスのプラグのようなものを鍼に挟み込みます。
金属の鍼を伝った微量の電気が筋肉を通して神経を刺激して、手や指がピクッピクッと反射的に動くのが不思議です。
また、私の場合は鍼を刺している患部に赤外線治療器を当てる施術も同時に受けました。不思議に思ったので調べてみると、遠赤外線を照射することで、患部を温めて、筋肉をほぐし、血流を促すなどの効果があるとされてます。
このように、鍼治療として鍼と電気と赤外線で15分間程度受けた後、患部に漢方薬剤が塗布されている湿布を当て、包帯でぐるぐる巻きにされて一回の治療は終わります。
数時間後に包帯を解いてみると、湿布には漢方薬がたっぷりと塗布されており、下の画像のように、掌に漢方のニオイが染み込んでいました。
4回目の治療から右手の治療のために頭頂部左側のあたりに針を入れての鍼治療が始まりました。
画像のように3本の針が頭皮に刺さっています。
頭皮に鍼を入れてもらい分かったことは頭皮は神経が集中しているのか、手や腕とは異なり、針が刺さる瞬間にもチクッとした痛みがあります。
さらに、頭と顔の皮膚が繋がっているため、口を動かしたりすると、同時に頭皮も動くため、その度ごとに針の刺さっている部分に刺激が伝わります。
鍼治療は痛い?台湾で鍼灸治療を受けた感想
はじめて針灸治療を受けたわけですが、鍼治療を受けたことがない人は、何本も針を皮膚に刺し込まれて痛そうと思いますね。
実際に、鍼治療を受けた経験から分かったことを含めて、鍼治療に関する個人的な感想を紹介します。
鍼が刺さる時の痛さは?
中医師の先生は親切で優しい人だったため、痛いツボに鍼を刺す時は事前に言ってくれました。
鍼が皮膚に刺さる時の痛みはどれくらいあるのかを言葉で表現するのは難しいですが、蚊に刺された時の10倍くらいの痛さ(痒さ)、あるいはミツバチに刺された時の1万分の1くらいの痛さです。(分かり難い!?)
つまり、鍼が刺さる瞬間はほとんど痛みはありません。実は、鍼治療では鍼が刺さった後、更に鍼を上下してツボを刺激するような施術をします。
鍼を刺した後、医師はちょっと痛いかもしれないよ~と言いながら、鍼を上下に動かすと、鍼の先が1cm~2cm程度ズボズボと筋肉を刺激するように上下され、この時に痛みのような痛気持ち良さの感覚を覚えます。
筋肉や細かい神経が最も集中していると思われる親指の付け根はさすがに、ツボを刺激する気持ち良さはなく、ズキズキッとする針が刺さっている痛みを一瞬感じます。
このように、鍼治療は症状や患部により鍼を入れる場所が異なるため、一概に、痛いあるいは痛くないとは言い切れないでしょう。
ちなみにですが、別の症状のために、手ではなく脚に鍼を入れてもらったのですが、この場合は鍼の痛みは全くなく、鍼が刺さった感覚さえもありませんでした。
台湾での鍼治療の効果はどう?
今回、この中医クリニックを選んだ理由は、針灸治療を受けられることと患者からの評価が比較的高かったからです。
問診の際には、私から鍼灸治療を受けに来た旨を伝えました。
その際に医師から言われたことは、鍼灸治療での施術は何度か通院してもらう必要があるということでした。
つまり、鍼灸治療は一度だけ、鍼や灸で治療をするだけでは治らないということを告げられました。
実際に受診してみた経験から言えることは、一回目の鍼治療後には全くと言っていいくらい症状は改善していない感覚でした。
若干、疑心暗鬼になりながら、2度目、3度目の受診をすると、少しずつ症状が和らいでいき改善しているように感じられました。
例え話で表現すれば、錆び付いて全く開けられなくなってしまったドアを無理やり一回でバールでこじ開けるのではなく、一つひとつのネジに浸透潤滑のためのネジの緩め剤を吹きかけて緩めていく感じです。
何度か鍼治療を受診している現在の状況から言えることは、一回の鍼治療で劇的に症状が改善することは稀かもしれませんが、数回の受診で完治することは可能。また、数週間あるいは数ヶ月の治療で完治することが一般的なのではないかな。
今後、受診を続けていく中で、症状が完治した際には、その後の状況をこの記事で報告していきます。
台湾の鍼灸治療に掛かる費用はいくら?
台湾で鍼灸治療に掛かる費用はいくらくらいなのか?
実際に支払う診察料は全民健康保険(日本の国民健康保険に相当)に加入しているかどうかにより異なりますので、まずは保険適用のケースを紹介した上で、無保険の場合の診察代も参考として紹介します。
基本的に、台湾では全民健康保険に加入をしていれば、保険適用の場合は初診では150元で受診が可能です。
薬を処方された場合などは、プラス数十元の負担になりますので、合計で150元~200元程度でクリニックの受診ができることになります。
2回目の受診の際には一回の鍼治療で100元の掛號費(受付費)だけでOKでした。
つまり、健康保険の適用の場合は、一回の鍼灸治療の費用は100元~150元のみでした。(ちなみに今回の鍼灸治療では薬は処方されませんでした)
それでは、無保険の場合の診察費はいくらになるのか?
診察費の明細書をみると、初診時には合計で診察費と診療費で540元、掛號費で100元、基本部分負担50元と記載されていました。
結論を言えば、下記の通りになり、640元となりますので、無保険の場合の費用は若干高くなります。
- 初診時 :540元(診療費)+100元(掛號費) = 640元
- 2回目以降:215元(診療費)+100元(掛號費)= 315元
とは言っても、日本円に換算すれば、1,200円~2,500円程度になり、それ程高いわけではないですね。
例えば、10回の通院が必要な症状の場合は、12,000円~25,000円の治療費で済むことになります。
私が通院したクリニックでは肩こりや腰痛で受診している患者が多いようでしたが、肩こりや腰痛で困っている方は、これくらいの費用で痛みや悩みが消えるのなら、受診してもいいかなと考える方もいることでしょう。
ただし、鍼灸治療で完治するかどうかは、病気の種類、症状の重さ、医師のスキル、どの医師を選ぶかなどの複合的な博打でもあります。
鍼治療を受ける場合は症状が改善され、必ず治ると思って受診するのではなく、治らない前提で鍼灸治療を受けたほうが完治の喜びは大きくなるでしょう、という感想を持ちました。
まとめ
台湾の鍼灸事情
台湾での鍼灸事情については鍼灸師の資格制度がないため、鍼灸は医療行為になり、施術には中医師ライセンスが必要です。そのため、日本のように鍼灸院や鍼灸師が多くないのが現状です。
台湾での鍼灸クリニックの探し方
グーグルマップで都市・エリア、クリニックの種類、「鍼灸」などでクリニックを探すことができます。過去の患者の評価やクチコミなどを参考に受診するクリニックを選びましょう。
台湾での鍼灸受診の方法
クリニック受診の際は予約をしてもいいですが、予約なしで飛び込みでも、(相当な人気の高いクリニックでなければ)当日に受診することができます。受付後、問診後に医師の判断で鍼治療を受けます。問診時に鍼治療を受けたい旨を医師に伝えましょう。
鍼治療の効果
私の経験のみから言えることとして、鍼治療の効果は一回の治療で効果が出るものではなさそうです。数回~数ヶ月の治療で効果が現れるものだと感じました。
鍼灸の治療費
台湾の健康保険に加入している人は一回100元~150元で鍼治療を受けられます。無保険の場合は旅行者でも受診は可能ですが、初診の場合は一回あたり640元(2,500円程度)から受診が可能でしょう。
コメント
日本で住民票を抜き、台湾で住所の登録をWEBで行い、
交流協会で、賃貸契約書を持っていき、住居の実態を示し、
在留証を340NTくらいはらい、発行してもらいます。
これで日本で、パスポートと一緒に示し、
免税が受けられるか、調べてみました。
出来るようです、スーパー等で、非居住者とわかれば、
免税は出来るとの事で、一時帰国の期間が6か月を超えていないか、の
確認を受けるようです。
コメント&情報、ありがとうございます。
ビザランをしている人が日本では非課税で買い物が出来たというWEB情報もありますね。
台湾に居住することになれば、日本での買い物は消費税分は課税されずに済みますね。
ちなみに、実際に店舗で買い物をする時には、店員スタッフはマニュアル通りに手続きをするだけで、ほとんど確認していませんでした。(私が買い物をした時)
上記の在留証で、ジャパンレールパスも帰るそうですが
これは、住所登録から10年経過していることが条件だそうです。
私のような働かない者は、安いLCCで充分です。
コメントありがとうございます。
ジャパンレイルパスは数年前にJRが規定を変更したため、日本人の場合は海外在住10年以上という条件に変更されましたね。
あと、労働ビザで、少し悩んでいますが、
例えば、28000元、月収だと、
台湾が定める最低賃貸を満たしませんが、
実際、定められた金額で、労働ビザを申請し、
取得し、働いて、28000元、月収だとしても、
問題ないと思うのです、
どう思われますか?
コメントありがとうございます。
台湾での外国人の最低賃金は約50,000元と定められています。
ただし、日本語教師を含めた一部の職種は除かれています。
そのため、日本語教師として働く予定の場合で、労働ビザを申請・取得する際には、特に問題がないです。
ありがとうございます。
お詳しいですね
外交部のホームページを見ましたが、
理解できませんでした、
淡水に住み始めたら、頑張って、
履歴書を送って、模擬授業をして、
職探ししようと思います
日本語教師の仕事は経験があって、勤務先を選ばなければ(相性が合えば)、すぐに見つけられると思います。