いまや台湾はアジア屈指の観光大国となりました。ほんの九州ほどの大きさの島に、アジア諸国を中心に世界から観光客が来訪しています。
- なぜ、観光地として台湾が世界から注目されているのか?
- なぜ、偏狭の島国である台湾に観光客が集まる仕組みは?
- なぜ、ここ10年くらいで急速に観光産業が発達したのか?
上記のような疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は経営資源という切り口から、中学生でも分かる超簡単な言葉で台湾が観光大国として観光業が成功している理由を詳しく解説してみます。
経営をする上での経営資源とは?
経営をする上で最も重要な要素は、以下の4つだとされています。
- 人
- モノ(サービス)
- カネ
- 情報
以下は、上記の経営資源の一般的な解説になります(ので読み飛ばしてもらってもOKです)。
企業の経営で重要な要素の一つが人(ヒト)、つまり経営者と従業員です。経営者の方針が大きく間違っていなければ、優秀な人が集まる企業は成長していくものです。そのため、企業の成長の原動力となるのはヒトの力です。(AI業界は人材の奪い合い)
企業の成長の方向性を決めるのがモノ(サービス)です。どの時代も社会が欲しているモノやサービスを取り扱っていなければ、自然と淘汰され、その会社は衰退していきます。逆に、時流に乗ったモノやサービスを取り扱っている企業は急速に業績を伸ばします。(最盛期の仮想通貨の業界など)
会社を始める時や事業を急拡大する時に必要な要素が金(カネ)になります。いつの時代も企業規模を急拡大する時には資金が必要になります。そのため、借り入れか株式の発行でお金を調達することになります。また、お金の調達には信用力が必要になり、資金と信用力を管理する社会システムが必要になります。(金融機関の与信管理や株式市場)
以前は上記3つの経営資源が三大経営資源といわれていましたが、現在は情報も含めて主要な四大経営資源とされています。より早く、より正しく、より多くの情報が会社の経営に大きな影響を与える時代になりました。(インターネット業界ではグーグルが情報を集約する形で全世界の実権を握りました。)
台湾の観光産業での経営資源のヒトとは?
台湾の観光産業に経営資源のヒトを当てはめてみると、下記のようになります。
- 経営者:政府
- 従業員:観光産業に携わる人たち
上記の観光産業に携わる人たちは、航空会社、旅行会社、ホテル、レストランなどの様々な分野に及びます。
企業の経営者が従業員に社内教育や社外教育をしてヒトを育成するように、台湾政府も国策として観光産業を担うヒトを育ててきました。
ひとつの証拠として、近年(と言っても台湾民主化以降)に設立された多くの大学には観光に関連する学部や学科が設置されています。
これは台湾政府が国策として観光産業を発展させるために採った証です。観光産業の急激な成長の背景には国を挙げての人材育成があったということです。
台湾の観光産業での経営資源のモノやサービスとは?
台湾の観光と言うと、何を思い浮かべますか?
- 各種観光スポット巡り
- 夜市をはじめとした台湾グルメ
- 南国特有のフルーツ
- 歴史上の遺産(故宮博物院など)
- 澎湖島や金門島などの離島
- 墾丁公園や阿里山などの自然
- 原住民の民族文化
台湾は小さな島である上に、歴史は浅く400年とされているため、観光資源が多いとは言えないでしょう。
それにもかかわらず、観光客を魅了するのは、暖かい気候もさることながら、自然、歴史、文化の多様性にあるのかもしれません。
「食」文化をひとつ取り上げてみても、福建、広東、上海、中国東北部からの中華料理に、日本統治時代の影響を受けている日本的な料理もあります。
上記のような目に見える観光資源だけではなく、ヒトによるサービスという経営資源も大きく、台湾の観光産業にプラスに働いているように見えます。
台湾のホスピタリティは歴史が大きく影響しているという記事を書きましたが、その上に国策として観光のための人材育成をしてきたことも、観光産業に貢献しているのでしょう。
そして、更に、ここ数年の内に、日本と台湾間にLCC就航便が増加したことにより、旅行目的での交通アクセスが格段に容易になったことも、台湾への日本人観光客が増えた大きな要因です。
台湾の観光産業での経営資源のカネとは?
台湾の観光産業における経営資源の要素のひとつであるカネは、いかに生み出されてきたのか。
台湾にも台湾証券取引所があり、資金調達が可能な金融システムが整備されています。その中でも最も注目されるべき企業が半導体セミコンダクター分野では世界三位のTSMCであろう。また、鴻海精密工業も忘れてはならない企業です。
お金儲けが大好きで、投資意欲が高い国民性を裏付けるかのように、市場(国民を含む)からお金を集約するシステムも、台湾株式取引所という形で1962年に設立され、1980年代に急成長したという過去があります。
株式市場の中でも半導体関連と同時に存在感を示しているのが観光関連の企業です。航空会社、旅行会社、ホテル・レジャー産業の会社など多くの企業が上場しています。
台湾国民からお金を集め、調達したお金の一部は、国内の観光産業へと組み入れられます。そして、台湾の観光産業は海外からの外国人観光客による完全なインバウンド効果として台湾国内にお金が落ちる仕組みができています。
つまり、「国内で資金調達→国内観光産業に投資→外国人観光客がお金を使う→国内観光産業が儲かる→国内株主に配当金」となり、単純化すると、この無限ループによりお金が増える仕組みです。
台湾に来る外国人客が爆買いしない理由という記事でも書いていますが、基本的に台湾を訪れる外国人はモノの購入にはあまりお金を使わず、サービスにお金を使う傾向が強いです。その結果、観光産業に携わっている台湾企業や台湾人に直接、お金が回る仕組みになっています。
逆に言うと、(蛇足ですが)日本で中国人客による爆買いの経済効果が限定的なのは、「中国(又は他の外国)で製造された商品→日本に輸入→中国に持ち帰る」というモノの流れになるため、儲けているのは中国の製造業、貿易商社、日本の販売店のみで消費税も国には納税されない。
台湾の観光産業での経営資源の情報とは?
10年前、20年前には、テレビ番組で台湾観光をテーマにしたプログラムは皆無だったことでしょう。現在は、台湾に限ったことではありませんが、毎月のように海外旅行や観光ガイドのテレビ番組が放映されていますね。
このようなテレビ番組は、TVメディアと観光関連の企業がタッグを組み、旅行や観光に関連した広告を打って、海外旅行への誘引になっていることは間違いないでしょう。
そして、インターネットが普及したため、私のようなヒトが日本へ向けて、台湾の魅力を情報発信をしているため、このサイトを見た日本の方は間違いなく台湾の魅力にはまることでしょう(←言い過ぎ!?)。
冗談はさて置き、インターネットの普及により海外情報の伝達の媒体が利用しやすくなり、そのことで日本と外国(台湾)の距離を近くしたわけです。
台湾の観光産業と経営資源の関係のまとめ
台湾の観光産業というサイクルの中に、ヒト、モノ(サービス)、カネ、情報が見事に組み入れられていることが分かるかと思います。
台湾国内の観光産業のモノやサービスに携わる会社やヒトに直接、カネが落ちる仕組みが出来上がっています。
そして、近年、台湾への観光をはじめ、留学(語学研修を含め)、ワーキングホリデー、台湾での転職など、多くの日本人が台湾に注目して、台湾に来て、その魅力に惹かれていく…。
その背景には、台湾中央政府の数十年前からの観光業界の人材育成という国策があり、その上に近年のLCC就航により航空運賃の低価格化が進み、更にTVやインターネットによる情報媒体の発達が台湾への観光にも大きく影響しているものと考えられます。
今後も、日本から多くの日本人が台湾を訪れ、台湾から多くの台湾人が日本を訪れ、双方のヒト、モノ(サービス)、カネ、情報が更に活発に行き交い、親密な日台関係が続くことを望むばかりです。
コメント
ブルキナファソとの断交、これで、台湾と国交があるのは、
19カ国、さい総統も、我慢ならない、耐えることは、できないと、
反発していますね、
ここ数年、中国が台湾に、圧力を掛けているのは、独立阻止が目的なのは、
間違いありません、、
これだけは、言えます、そのような行動をすれば、するほど
台湾の人心は、中国大陸から離れて行くでしょう
決して、中国大陸を否定しません、
ただ、台湾の価値観だけは、永遠に存在して欲しいです
コメントありがとうございます。
蔡総統就任後、4カ国目の国交断絶となり、残念ながら今後も中国大陸のこのような外交は続きそうです。
以前書いたこちらの記事>>>台湾の国交締結国もご覧ください。
外交中心だった国民党の馬前政権と内政中心の民進党の蔡政権、台湾の国民が選挙で選んだ結果…。
台湾企業を中国大陸に誘導しておき、台湾は完全に弱みを握られており、逆に中国は何も弱みがない状況…、良い意味でも悪い意味でも中国は強かで外交が上手だと思います。