台湾の中秋節の頃になると店先を賑わす果物の定番が文旦です。日本にも文旦はありますが、台湾の文旦と日本の文旦は種類が異なるため、両国の文旦の違いも簡単にご紹介します。
台湾では中秋節の頃になると各家庭や食品スーパーや街角の果物屋さんで溢れるほど置かれているのを目にする果物が文旦です。
中秋節は台湾のカレンダーでは旧暦(農暦)で決められますので、毎年、日にちが異なりますが、だいたい9月下旬から10月上旬頃になります。
文旦? 柚子? 日本人には呼び方がヤヤコシい
台湾では文旦(Wéndàn)と言ったり、柚子(Yòuzi)と呼んだりしています。少しヤヤコシイ話になりますが、台湾では文旦の種類も複数あり、しかも呼び方も複数あります。
しかも日本では柚子(ゆず)というと黄色の香りがよい柚子ドレッシングの「ゆず」を思い浮かべますね。ところが、台湾人の認識では柚子(ヨウズ)と言えば、先が細長くなっている形の文旦が一般的です。
つまり、日本人が柚子(ゆず)として認識している果物と台湾人が柚子(ヨウズ)として認識している果物は異なるということです。ただし、どちらも柑橘系フルーツであることは共通していて、種類が異なるということになります。
日本の文旦と柚子の種類は?
一般的な認識として、文旦と言えば「土佐文旦」が有名で、別名をザボンと呼んだりしていますね。
実は、ザボンも元々は日本原産ではなく、東南アジアや台湾から持ち込まれたものとされています。グレープフルーツを二回りくらい大きくして、外皮を厚くしたような果物です。
そして、柚子というと柚子ポンなどで有名な黄色の外皮に独特の香りがあり、レモンのようなフルーツになりますね。私も柚子の香りは大好きで、実家では柚子風呂や柚子紅茶などでよく使用しています。
台湾の文旦(柚子)の種類は?
それでは、台湾で文旦や柚子と言うとどのようなフルーツになると思いますか? 実は、日本のザボンもゆずも台湾にはありますが、呼び方が違ったり、文旦でも種類が同じものや異なるものがあります。
まずは、文旦ですが日本のザボンは台湾でも文旦と呼びますが、同時に柚子(Yòuzi)という呼び方をすることの方が多いです。そして更に、台湾で最もよく見かける文旦(柚子)は日本のザボンではなく、先が尖った形状をしている種類のものです。
それでは、台湾では日本でゆず(柚子)に相当する果物はどのように呼ぶと思いますか? 香橙(Xiāng chéng)です。つまり、台湾でゆずドレッシングが欲しくなり、柚子を下さいと店員に言うと、大きな先が尖った文旦が出てきてしまうことになります(笑)。ヤヤコシイわ~。
台湾の文旦の種類と特徴
台湾の文旦の種類は複数ありますが、店頭で最もよく見かけるものは先が少し尖っている品種のもので、産地により下記のようなものが最も有名です。
- 麻豆文旦:台南市麻豆
- 鶴岡文旦:花蓮縣瑞穗鄉鶴岡村
(画像は台南の麻豆という産地のブランドの文旦)
毎年、中秋節の時期が近づくと旬の時期になり、台湾人はこのような祝い事ではギフトを贈り合うことがよくありますが、この時期は文旦が大活躍する時期です。
友人や知人の家を訪問したり遊びに行く時には、文旦を贈ったりしますが、贈られた方も自宅に文旦がたくさんあり、食べきれなくなった文旦の行き場がなくなり、また他の知人へお裾分けするなんてことがよく起こります(笑)。
そして、私が今回、スーパーで購入してきた文旦は「鶴岡文旦」です。上記の通り、この文旦は台湾東部の花蓮の比較的有名な産地で作られたものです。お値段は28元/個でした。直径は15cm程度で、特に大きいものではなく、一般的なサイズになります。
外皮が大きいため、子供の頭に被せて帽子のようにして遊んだりします。実は外皮の厚さは2cmくらいあるため大きく見えますが、果実は外皮ほど大きくなく、重量は1個あたり500~600g程度です。
文旦の味は、夏みかんやハッサク、あるいはグレープフルーツと比べると甘みや酸味がマイルドで、果肉がジューシーなのが大きな特徴です。柑橘系フルーツに独特な、食べた時に舌がピリピリするような感覚も、たくさん食べると感じたりします。みずみずしく、味も強烈な刺激があるわけではないため、丸々1個くらいならペロッと食べられます。
上の画像は「大白柚」という品種の文旦です。1個あたりの重量は1kgくらいあり、幼児の頭くらいの大きさです。ご覧の通り、値段は1つ59元でショッピングセンターの果物売り場で販売されていました。ちなみに、最盛期は路上販売では20元/個くらいで販売されています。
是非、9月~11月頃に台湾旅行に来られた時には、食品スーパーか果物屋さんを覗いてみてください。直ぐに食べたい場合は、外皮がシワシワになりかけているモノの方が完熟して酸味が少ないはずです。外皮に張りがありテカテカしているものは採ってから、あまり時間が経過していないため、見た目は良いですが、少し酸味が強いかもしれません。
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