台湾生活の中でも台中での暮らしについて、実際に台中での生活を数年間経過した今だから分かった台中在住日本人の視点から、その生活のおすすめポイントと苦労する点について、台湾現地からレポートします。
台中は台湾人が最も生活したい都市でNo.1だと言われてきました。台湾の主要都市で生活した経験がある台中在住の日本人の多くの方から、やはり台湾で生活するなら台中が一番だという声をよく聞きます。
台中の魅力ばかり書いている記事は多くありますが、敢えて、日本人には苦労するであろう点も挙げながら、台中暮らしの良し悪しを解説していきます。
観光ではなく「生活」する目的では、台湾の中では台中が最も評価が高い理由を、短期間の旅行者では分からない台中暮らしのメリットとデメリットを挙げながら詳しく解説します。
台中市の概要
- 中華民国の直轄市
- 台湾第三の都市
- 人口 :約280万人(2018年時点)
- 台中市長:盧秀燕
- 野球 :義大ライノズ
台中は一年を通して気候が温暖?
生活する上で、先ず真っ先に考えるべきことは、天気や気候です。
台中の気候は年間を通して温暖
一言で言えば、台中は温暖な気候で、尚且つ、降雨量も台湾の都市の中では少ないほうで、生活しやすい都市になります。
台中の年間を通した気温や降雨量などに関しては、下記記事をご参照下さい。
台湾は南国のため日本より夏は暑く、冬も暖かいのだろうと思っている方がいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。私の出身である名古屋と比べると、7月と8月に関しては、名古屋も台中も真夏の暑さは変らないという印象です。
ただし、日本の真夏と言えば、梅雨明けから8月末くらいまでと真夏の期間は短いですが、台湾の真夏の期間は日本よりも3ヶ月間くらい長くなり、6月~9月くらいまでは真夏の暑さの勢いがあります。
台中は真冬の時期は寒い
沖縄よりも南にある南国のため、冬の時期は温かいと思いがちですが、台湾南部(高雄や台南)を除いて、台湾にも真冬の寒さは存在します。私の印象では台中の真冬の寒さは寒波が襲来した時に限り肌感覚では日本と同じくらいです。
統計的な気温だけを比べると、最も寒い1月の台中の気温は13度程度と暖かそうですが、これは1ヶ月間の最低気温の平均値になります。実際に、寒波時にはさらに気温は低く寒くなります。
そのため、ダウンジャケットにマフラーと手袋が必要になる時期があります。しかも、台湾には暖房機器は少ないため、室内では重ね着して、温かいものを食べたり飲んだりして、ただひたすら耐えることになります。また、台湾の住居の床は石タイルとなっている部屋がほとんどのため、底冷えすることも多いです。
台中は台風の直撃が少ない
年間を通した天気について、もう一つ付け加えておくと、台中は地理的に東側は山で覆われているため、台風が直撃し難いというメリットも大きいです。台風が台中を直撃することは少なく、台湾北部や南部へ逸れて行くことが多いため、台風の被害は受け難いのは台風が多い台湾にあっては飛び抜けて良い都市でしょう。
台中の生活費は安い?
生活費については当ブログでも、幾度か情報をシェアしてきましたので、下記記事もご参照下さい。
台湾の台中で外こもりした場合の生活費試算!1年間でいくら必要か?
日本人が台湾で暮らすための生活費はいくら?
台湾の生活物価
要点をまとめると、下記のようなことがポイントになります。
- 住居費は安い
- 食堂や弁当は安い
- スーパーの食品は安くない
- 伝統市場の食品は安い
- 水道光熱費は非常に安い
- 家電製品は高い
生活費の主な費用は、家賃と食費になりますが、日本で、どのような生活をしていたかにもよりますが、現地の一般的台湾人並みの生活をすれば、随分と生活費が抑えられます。
台中は住居費が安い
台中の住居費については1ヶ月の家賃はアパートであれば4,000元程度からあります。マンションの場合は、1Rマンションで5,000元程度からあります。マンションの場合は、ワンルームタイプであれば、5,000元~7,000元程度が相場になります。
1Rよりももう少し広い部屋で2人用のキッチンがないタイプの部屋であれば、7,000元~9,000元程度でしょう。これらの家賃には管理費などが含まれていないため、マンションタイプの場合は、更に数百元から1,000元程度が必要になります。それにしても、台中の家賃は物価の違いを鑑みても格安ですね。
台中の食費は安い
食費に関しては、毎日、弁当やローカル食堂(小吃店)で済ませれば非常に安く抑えられます。また、油っこい台湾料理に耐えられなくなり、自炊などをする場合は食品スーパーなどで食材を購入することになります。
この場合、意外にもスーパーの食材は日本とほとんど変らないため、食品は高く感じるかもしれません。そんな時には、伝統市場と呼ばれる八百屋が寄せ集まったマーケットに行きましょう。新鮮な野菜、果物、肉や魚、惣菜などがスーパーよりも安く手に入れられます。
台中の水道光熱費は安い
水道光熱費は、日本と比べると非常に安く感じます。
台湾の電気代と水道代はいくら?日本と比較|請求・支払方法まとめ
家電製品はの値段は高いが買わなくてOK
上記のような生活費に欠かせないコストは安いと感じますが、家電製品、バイクや自動車などは中古でも意外にも高いです。ところが、対中に限ったことではなく、台湾の賃貸アパートやマンションには、基本的に、家電製品を含めた家具一式は標準装備ですので、新たに購入する必要はないでしょう。
台中では交通費が無料でOK!?
このブログでも何度も記事にしていますが、台中では悠遊カードを利用すれば、市内バスが10km以内は無料で利用できます。そのため、台中市内で生活している限り、交通費は実質的に無料で済むというわけです。
また、最近では台中市政府が管理する「YouBike(UBike)」を上手に利用すれば、30分以内の使用(悠遊カードが必要)であれば無料で利用できます。
ただし、台湾の交通事情を知らないと、思わぬトラブルに巻き込まれたりする場合があります。台中だけではなく、台湾全土に言えることですが、台湾の交通マナーは非常に悪く、毎週のように事故を見かけるありさまです。
自転車を利用する時も車道を走らなければならず、バイクや自動車が自分の自転車の直ぐ横を風を切ってビュンビュン走っていくため非常に危険です。出来れば、市内バスを利用した方が安全で安心でしょう。
台中は田舎ではないが「のんびり」している
台中という都市が田舎だと思っている方がいるかもしれませんが、一通りの都市機能や文化的施設は全て整っています。現在はまだ工事途中で開通しておりませんが、2019年にはMRTも開通することでしょう。
また、台中には日本への直行便がある国際空港もあります。日本人をターゲットにした日本の食品スーパーもあれば、和食レストランも至るところにあります。
唯一、台北にはあるけれど台中にはないものを挙げれば、気軽に入れるバーやクラブは台中にはないことくらいです。ただし、お姉さんが接待してくれるナイトクラブやサウナは、台中は台湾の中でもメッカと言われるくらい多いです。それなりの予算と覚悟を持って、突入してみて下さい。きっと楽しいことが起こるはずです(笑)。
多くの台湾人や台中在住の日本人が言うように、台中は何となくのんびりした雰囲気があります。例えば、台中駅前を歩いている人を眺めてみれば一目瞭然です。
彼ら台湾人の歩くスピードは非常に遅く感じます。のんびりしている私でさえ、信号が青になった後は、いつも最後尾からゴボウ抜きで単独トップで横断歩道を渡っています。温暖な気候のせいでしょうか、セカセカしている人が少ない印象です。
関連記事:台湾の田舎暮らしはどう?-日本の田舎との違いと特徴をザックリ解説
観光スポットが少ないことはプラスかマイナスか?
台中は台北、高雄、台南などの都市と比べると、圧倒的に観光スポットが少ないマイナー都市というイメージがあります。実際には、隠れた観光スポットはあるのですが、有名な観光スポットは確かに少ないというのが事実です。
それでは、観光スポットが少ないことは、生活する上でマイナスポイントなのでしょうか。あくまで生活をする目的では台中は比較的暮らしやすい都市だということを述べてきました。
個人的には、観光スポットがあってもなくても、生活には何ら関係ないと思います。そもそも観光スポットは、一度訪れてしまえば、その後、観光スポットではなくなることの方が多いです。
逆に言えば、台中からは台北へも、高雄や台南へも台湾東部への温泉郷へも、地理的にはバランスよく行くことが出来るエリアになります。早朝出発なら日帰り旅行でも出来ます。生活するとなると、観光スポットよりも、安くて美味しく、気軽に行くことが出来るローカル食堂の方が重要になります。
もし、私がゲストハウスのオーナーであれば、観光的なメリットを生かせない中途半端な都市である台中を拠点にすることはないでしょう。観光客で、ごった返す激戦区の台北か、まったく日本人相手の商売をしている人がいないような台湾東部の都市を拠点にするかもしれません。観光スポットが少ないことで台中を避けると言うのは、少し勿体ない発想だと感じます。
コレだけは知っておくべし!台中暮らしで苦労する点
台中の大気汚染
台中の空気は激悪。私が台中で暮らしていて最も苦労したことは、市街地の空気です。バイクやバスなどの車から出される排気ガスが半端ないです。
そのため、台中では外出する時には多くの人がマスクを着用しています。バイクを運転している人の96%くらいはマスクを着用しています。そのため、様々なデザインのマスクを扱っているマスク専門店が存在したりします。
台中のPM2.5と黄砂
それに加えて、中国大陸からPM2.5や時期によっては黄砂が舞い降りてきます。そのため、特に乾燥している季節は、鼻や喉あるいは気管支を患ってしまうことが多くなります。詳しくは下記記事をご覧ください。
私は埃や排気ガスに弱いのか、マスクなしで外で30分もウォーキングをすると、必ず鼻がムズムズして耐えられなくなってしまいます。画像はある日の台湾のPM2.5の状況ですが、台中市は最も飛散量が多い都市になっています。
台中生活の騒音
台中に限ったことではないかも知れませんが、台中市街地で生活する場合は、交通の騒音とごみ収集車の間の抜けた音楽は、日常生活の中では避けては通れない騒音です。
高級ホテルのような防音効果が高いマンション以外の部屋では隣人や外部からの騒音も気になることもあるかもしれません。私の場合は、マンションの窓を開けておくと、朝と夕方のラッシュアワー時のバイクなどの車の騒音やクラクションの音は日本では考えられないくらい気になります。
台中生活の害虫
食堂でゴキブリが出没するのもやむを得ないと諦めましょう。一年中、温暖だと言うことは、それなりに虫にとっても居心地が良い環境だということになります。
日本ではレストランでゴキブリが出てきたら、写メ後のツイッター炎上で廃業に追い込まれるかもしれませんが、台湾ではごく普通に「こんにちは。」です。
定期的に市政府の環境保護局が噴霧器で消毒を撒き散らしていますが、直後には側溝などから出て来る出て来る、背中がピカピカした大きな虫が痙攣しながら続々と顔を現します。
台湾人の方に聞いた話ですが、大して管理もしていない小吃店では深夜になれば、店舗内で続々と活動を始めるとか…。台中に限ったことではないですが、そのような衛生面の環境も受け入れなければなりません。
台中ではヤクザが多い?
台中は水商売とヤクザが多くて危険な街なのか?
よく言われることですが、台中は台湾で最も大人の娯楽が繁栄しているそうです。その裏社会に暴力団的な存在があり、仕切っているのだそうです。
彼らの末端的な人が大人の快楽を誘導しているような場面に遭遇したことがありますが、自らそのような場所に足を向けなければ危険な目に遭うことは皆無でしょう。
実際に、違法なキャバクラの拠点が摘発されたと言うニュースも見聞きしますが、無関係の一般人が巻き込まれたというニュースは聞いたことがありません。
まとめ
基本的には、台中生活の暮らしやすさを中心に述べてきました。ネット上の台湾の魅力ばかりを当てにして、幻想を抱いて台中での生活を始めるのもいいですが…。
実際に住み始めてみたら、こんなつもりではなかったということが起きないように、敢えて日本人が困るであろう台中での生活の現実も挙げてみました。
たとえ地理的な条件などで生活しやすくても、その街で出会う人や様々な嬉しいハプニングやとんでもないトラブルによっては、随分と住んでいる都市の印象も変ってしまいます。
その意味では、各都市の生活条件は生活のし易さの一つの尺度でしかなく、その時その場所での人との繋がりや人間関係の一期一会の方が重要な意味を持つかもしれません。
どの都市で暮らしたとしても、よい出会いがあり、怪我や病気、事故や事件に巻き込まれたり、人間関係のトラブルに遭われないで平穏に生活することが何よりです。
実際に、台中で数年間住んでみて分かったことは、空気と騒音には、なかなか慣れることが出来ません。その他には苦労することがないため、暮らしやすい都市だと思います。特に、台中の温暖な気候には助かっています。
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