台湾では外国人との国際結婚が減少している!?その実態は?

近年、台湾では台湾人と外国人との国際結婚の絶対組数は減少しているという状況とその実態について、台湾現地からのレポートです。日本と同様に、台湾でも社会のボーダレス化が進み、台湾社会には外国人が溢れています。特に、大都市であればあるほど、外国人の比率が高くなります。それにも関わらず、台湾では外国人との国際結婚が減少傾向にあります。その理由を統計データをベースに考えてみたいと思います。

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国際結婚と台湾での婚姻についての過去と現状

国際結婚とは、国籍が異なる者との結婚です。つまり、台湾で国際結婚と言えば、台湾の国籍を持った人と台湾以外の国籍を持った人との結婚のことになります。ここまでの説明で、台湾で国際結婚が減少している理由が分かる方は、かなり勘が良い人ですね。今頭に浮かんだ理由で間違いないでしょう。

実は、台湾では国際結婚のカップルの絶対数は、2003年頃までは右肩上がりで上昇し続けてきましたが、その時期をピークに減り続けています。その理由は、いくつかあると思いますが、その一つが婚姻に踏み切らない晩婚化や未婚率の上昇にもあるかもしれません。その辺りの台湾での現状は下記の記事をご参照下さい。
台湾の晩婚化と初婚の平均年齢ともう一つの問題(未婚率)

十年以上前から台湾での国際結婚を急激に加速させたのは、男性だと思いますか、女性だと思いますか?
下記の記事でも少し触れていますが、台湾でも日本と同じような現状があります。
台湾の少子化と出生率と男尊女卑的傾向が招いた国際結婚
つまり、台湾では伝統的に男児が生まれると両親が喜び、歴史的にも統計データ上、女児よりも男児の出生率が高くなっているという事実があります。その理由は改めて過去の慣習などを突くことは止めておきますが、悲しい現実があったことも事実でしょう。

歴史的には、台湾では男性が多く女性が少ないという歪な社会が形成されていました。そして、男児が成長し結婚適齢期になった時には、女性が少なく男性が多いため、結婚できない男性が世の中に溢れてしまうという結果になったのでしょう。そこで、結婚相手がいない男性は、外国からの嫁を迎えるという流れになります。これが、ある一時期に、台湾人男性と外国人女性の国際結婚が増加した大きな理由です。つまり、台湾では男性の国際結婚が極端に多いというのが大きな特徴です。(この辺りの状況は農家の家に嫁が来ないなど・・・日本と同じですね)

 

台湾人と外国人配偶者(エリア別)との結婚件数と離婚件数

国籍中国と香港人東南アジア人その他外国人
結婚離婚結婚離婚結婚離婚
単位
199812,4512,03110,454613--
199917,5892,98114,674849--
200023,6284,35021,3381,600--
200126,7974,70217,5121,9351,893571
200228,9065,49618,0372,1362,070507
200334,9917,94317,3512,3562,292669
200410,9727,84918,1032,9442,235597
200514,6197,13211,4543,3722,354538
200614,4067,1656,9503,7372,574688
200715,1466,6036,9523,8442,602643
200812,7726,5786,0094,1792,948664
200913,2947,7945,6964,6322,924731
201013,3329,6945,2124,7552,957784
201113,4638,7404,8874,7233,166691
201212,7138,2354,7844,4283,103772
201311,5427,2774,8234,1223,127692
(引用元:台湾政府統計データ)

上表の見方ですが、1998年から2013年までの台湾人と外国人配偶者の結婚件数と離婚件数が、下記のエリア別に集計しています。

・中国大陸出身の中国人と香港人
・東南アジア出身の各国外国人
・その他の国出身の各国外国人

 

中国人女性との国際結婚が主流で東南アジア女性との結婚には問題あり!?

圧倒的に結婚件数が多いエリアは、中国大陸国籍の中国人と香港出身の香港人になっており、直近の状況では全体の約60%程度の結婚件数を占めています。結婚件数に対して離婚件数も比較的多くなっています。

2013年に台湾人と国際結婚した中国人と香港人の比率
台湾人と結婚した外国人配偶者の総人数 : 19,492人
台湾人と結婚した中国人と香港人の人数 : 11,542人
中国人&香港人の人数÷外国人配偶者総数 :約60%

台湾人と中国人および香港人との国際結婚は、2003年までは急増していましたが、2004年以降はどちらかというと減少傾向にあり、結婚件数が最も多い区分の中国出身の方との結婚件数の減少が、台湾での国際結婚の減少の最も大きな要因だということが分かります。

次に、東南アジア出身の方との国際結婚も、2004年までは急増していましたが、2006年以降は急減しています。私の知る限りでは、ベトナム女性との結婚が多く、フィリピン女性やタイ女性あるいはインドネシア女性なども多く来台しています。

このような国際結婚に関して、ニュースなどを参考にすると、台湾人男性と東南アジア出身の女性との結婚では、文化や習慣の違いに起因する問題が発生しやすく、時には人生のパートナーという位置付けではなく、家政婦的な立場で働かせるという問題も発生していたりします。また、虐待的な問題も発生しているようです。そのような事情は、上記のデータに表れており、結婚件数に対する離婚件数に注目してみると、2006年以降は圧倒的に離婚件数とその比率が急増していることが分かります。

 

台湾人と外国人配偶者との国際結婚 VS 日本人と外国人配偶者との国際結婚

それでは、その他の国の国際結婚についてですが、日本人も最も結婚件数が少ない「その他の国出身の各国外国人」の区分になります。統計データによれば2001年以降、全体の結婚件数としては最も少ないですが、ほぼ一貫して微増を繰り返しています。2001年を起点にすれば、唯一、台湾人との国際結婚が増加し続けていることが分かります。2001年と直近の2013年を比較すれば、国際結婚件数は約1.65倍となり、65%程度増加していることを示しています。

台湾人と結婚した「その他外国人の人数」(2001年):1,893人
台湾人と結婚した「その他外国人の人数」(2013年):3,127人
上記人数で2001年と比較した場合の2013年の増加率:約1.65倍

一方、台湾人とこれらの外国人配偶者との離婚率は、微増と微減を繰り返していますが、十数年の間に、結婚件数が増加していることを考慮すると、ほぼ一定と言ってもよいでしょう。3組か4組の国際結婚カップルに一組が離婚していると見ることもできますが、ちょっと待って下さい。

そのように判断する前に、日本の国際結婚の実情について調べてみましょう。厚生労働省の統計データ(2012年)によると、国際結婚の離婚率は日本人男性と外国人女性の国際結婚では約70%、日本人女性と外国人男性の国際結婚では約50%です。

日本人男性と外国人女性の国際結婚での離婚率:約70%
日本人女性と外国人男性の国際結婚での離婚率:約50%

このように、日本人の国際結婚の状況と比較すれば、一目瞭然ですが、台湾人と外国人との国際結婚カップルの全体の離婚率は約60%となります。日本人が含まれる「その他の国出身の各国外国人」に限定してみれば、その離婚率は20%強となり、単純に考えれば、5組に一組の国際結婚カップルが離婚しているという現状が浮かび上がります。

2013年での台湾人と外国人配偶者の離婚率

台湾人と結婚した外国人配偶者の総人数 : 19,492人
台湾人と離婚した外国人配偶者の総人数 : 12,091人
台湾人と外国人配偶者の国際結婚での離婚率:62%

2013年の台湾人と「その他の外国人(日本人含む)」の離婚率

台湾人と結婚した「その他の外国人」の人数 : 3,127人
台湾人と離婚した「その他の外国人」の人数 : 692人
台湾人と「その他の外国人」の国際結婚での離婚率:22%

つまり、日本での日本人と外国人の離婚率は以外にも高く、台湾での台湾人と外国人の離婚率と比べても、それ程変わらないようです。日本との比較をすれば、特に、台湾人と外国人の離婚率が突出して高いわけではないようです。むしろ、中国人や東南アジア人と結婚をした台湾人の国際結婚カップルは離婚率は高いですが、その他の国の外国人と結婚した台湾人との国際結婚かプルの離婚率は、むしろ低い方ですね。

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