台湾でのタバコ事情と喫煙に関するルールについて、台湾現地からレポートします。結論から言ってしまうと、台湾では日本よりも喫煙に関する法律が厳格で、喫煙場所や罰金が高く設定されています。
台湾に観光やビジネスで旅行をする場合には、台湾の喫煙マナーについて、よく知っておいた方がよいでしょう。旅行中に喫煙ルールを知らなかったために罰金刑を受けることになってしまったら、観光どころではなくなってしまいますからね。
また、台湾のタバコに関する現状を日本との対比をしながら、タバコと台湾社会を少しだけ覗いてみましょう。
こちらの記事では、台湾旅行をする方や台湾で暮らす方へ向けて、下記の内容を中心に台湾のタバコに関する法律とルール、台湾社会でのタバコ事情を詳しく解説します。
- 台湾でタバコの喫煙を禁止されている場所はどこ?
- 台湾でタバコの喫煙が可能な場所はどこ?
- 台湾での喫煙に関する罰金はいくら?
- 台湾のタバコ一箱の値段はいくら?
- 台湾でタバコを吸うことが出来る年齢は何歳?
- 台湾人と日本人の喫煙の意識の違いは?
喫煙を法律で厳しく規制する台湾社会
台湾では、日本以上に喫煙に関する法律が多くあります。下記で述べる「煙害防止法」をはじめとして、タバコに対する税率を規定している「菸酒税法」などの他に各条例もあります。
上記のタバコの箱に印刷されている写真でも分かる通り、台湾では妊婦が喫煙することを法律で禁止しています。また、喫煙の年齢制限は、日本と同様に成人に限られますが、日本とは成人年齢が異なり、台湾での成人年齢は18歳以上となります。
台湾では、一般的な飲料などを販売する自動販売機が少ないのですが、日本とは異なり、自動販売機でのタバコの販売は法律で禁じられています。そのため、タバコを購入する場合は、主にコンビニかビンロウ屋で購入することになります。
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電子タバコの扱いと台湾への輸入は?
台湾では電子タバコの扱いも一般的なタバコと同じ扱いとされていますが、法整備が進められており、健康被害を理由に台湾国内での製造、輸入、販売が禁止される方向です。
現状では、外国から台湾への輸入は台湾入国禁止物品に該当するとされています。そのため、機内持ち込み荷物、受託手荷物を問わず、台湾への持ち込みは禁止されています。電子タバコの愛煙家の方は日本から台湾へ入国する際は注意しましょう。
台湾で喫煙できるのは非常に制限された場所のみ
日本より台湾では喫煙率少ないのは事実ですが、最も大きな理由の一つは、喫煙する場所が非常に限られているからかもしれません。
日本では喫煙しても問題ない場所でも、台湾では法律で喫煙が禁止されている場所は非常に多くあります。例え外国人旅行者であっても、法律を犯してしまった場合は、罰則を受けることになりますので注意しましょう。
台湾で喫煙が禁止されている場所
台湾で喫煙が禁止されている場所の中でも、愛煙家の方が知っておくべき場所は、下記のようなところです。ちなみに、台湾では2009年より煙害防止法(菸害防制法)という法律でタバコの喫煙場所などが厳しく制限されています。
第15條 下列場所全面禁止吸菸:
一、高級中等學校以下學校及其他供兒童及少年教育或活動為主要目的之場所。
二、大專校院、圖書館、博物館、美術館及其他文化或社會教育機構所在之室內場所。
三、醫療機構、護理機構、其他醫事機構及社會福利機構所在場所。但老人福利機構於設有獨立空調及獨立隔間之室內吸菸室,或其室外場所,不在此限。
四、政府機關及公營事業機構所在之室內場所。
五、大眾運輸工具、計程車、遊覽車、捷運系統、車站及旅客等候室。
六、製造、儲存或販賣易燃易爆物品之場所。
七、金融機構、郵局及電信事業之營業場所。
八、供室內體育、運動或健身之場所。
九、教室、圖書室、實驗室、表演廳、禮堂、展覽室、會議廳(室)及電梯廂內。
十、歌劇院、電影院、視聽歌唱業或資訊休閒業及其他供公眾休閒娛樂之室內場所。
十一、旅館、商場、餐飲店或其他供公眾消費之室內場所。但於該場所內設有獨立空調及獨立隔間之室內吸菸室、半戶外開放空間之餐飲場所、雪茄館、下午九時以後開始營業且十八歲以上始能進入之酒吧、視聽歌唱場所,不在此限。
十二、三人以上共用之室內工作場所。
十三、其他供公共使用之室內場所及經各級主管機關公告指定之場所及交通工具。出典:菸害防制法 第15條
上記の喫煙を禁じている場所の重要ポイントをまとめると、以下の通りになります。
- 高等学校以下の学校
- 大学、図書館、美術館など文化的施設の屋内
- 医療機関、福祉施設、養護施設
- 政府機関、公的機関の屋内
- 公共交通機関
- ホテルやレストラン等の屋内
- 3人以上が共用する屋内
上記は屋内の場合ですが、屋外でも喫煙が禁止されており、指定されたエリア以外は喫煙を禁止されていることが多くあります。
上記の場所の中でも、最も注意したいことは「3人以上が共用する屋内」ですが、建物の中などの屋内ではほとんどのスペースは喫煙が禁止されているということになりますね。
特に、観光などの旅行で台湾を訪れた時には、ホテル内は全面的に禁煙で、レストランも日本のように喫煙席というものはなく、レストラン内部も全面的に禁煙となっています。
私が台湾移住後に驚いたことは、小吃と言われる小さなローカル食堂でさえも、タバコを吸っている人がいた時に、女店主がタバコを吸っている人に注意をしていたのを思い出します。
肉体労働者が集うような小さな食堂だったのですが、タバコを吸いながら椅子に座ったとたんに、外で喫煙するようにと注意していました。これくらい、台湾での禁煙場所では全ての人が法律の適用に気を使っているのだと実感したものです。
台湾でタバコを吸うことが出来る場所
台湾旅行中に愛煙家の方はどこでタバコを吸ったらよいのでしょうか?
あらゆる公共の場や室内は禁煙のため、建物の外部になります。例えば、ホテル宿泊の場合はホテルエントランスの外に喫煙用に灰皿が置かれている場合もあります。
コンビニの店外に設置してあるイートインコーナーやカフェのオープンテラス席では喫煙をしてよいことになっています。
普段の生活での喫煙では、ビジネスマンたちが仕事の合間に、建物の外で立ち話をしてタバコを吸っている光景をよく見ます。
また、台湾では歩きタバコは禁止されていますので、こちらも愛煙家の方は注意した方がよいでしょう。ただし、時々、歩きタバコをしている台湾人を見かけたりします。
喫煙ルールに対する罰金
それでは、上記のような禁止されている場所で喫煙をすると、どのような罰則を受けることになるのでしょうか?
結論を言えば、2,000元から10,000元の罰金刑です。
実際に、上記のような喫煙が禁止されている多くの場所には、喫煙禁止と罰金を示すステッカーが貼られています。
公共の場ということで地下道でも、たばこを吸うと最大で10,000元の罰金が課されます。
ちなみに、日本では、たばこ税の増税は進んでいますが、法律レベルでの規制は、「路上喫煙禁止条例」程度で、罰金も条例のある自治体だけで、それぞれの自治体によって異なります。
その罰則は、1,000円から20,000円の過料となっています。罰金の過料を比較しても、台湾の禁煙に対する厳しい姿勢が分かります。
たばこを購入できる場所は制限されている?
日本では自販売機があるため、気軽にタバコを購入できますね。
それでは、台湾ではタバコの自動販売機はあるのでしょうか?
実は、台湾ではタバコの自動販売機を見かけることはありません。
そもそも、ジュースやコーヒーの自動販売機も少ないのが台湾の特徴。
それでは、台湾ではどこでタバコを購入することが出来るのか?
たばこを購入するのに、最も身近な場所としてはコンビニになります。
その他では、一部のスーパーやビンロウ店などでタバコを販売していたりします。
日本よりも台湾の方がタバコを購入することを取り上げても、事情が少し異なることが分かります。
台湾でのたばこ一箱の値段は?
日本ではタバコに掛けられる税金は約65%で1箱当たり400円強のものが多いです。それでは、台湾では一箱のタバコの価格はいくらくらいだと思いますか?
私はタバコを吸わないため、タバコの銘柄には詳しくはないですが、台湾では多くのタバコは一箱75元~90元程度の価格帯が多く、値段が最も高い輸入品のタバコは一箱150元で販売されていました。日本のタバコ一箱当たりの価格と台湾の価格を比較すると、日本のタバコの方が少し高く感じます。
ところが、米国などと比較すると日本の方が、かなり安いと言えましょう。そう考えると、台湾のタバコ価格は世界的標準から考えれば、安い方だと考えられますね。
もちろん、台湾と日本との物価の違いなどがあるため、一概には言えませんが、日本ではタバコ価格の約65%が税金ということを考えると、価格の違いは、主にたばこ税ということになりそうです。
台湾では、非常に人気がある嗜好品であるビンロウの価格が約100元ということを考えると、一般的には1箱70元~80元程度のたばこは、価格だけに注目すると、それ程高いという感覚はないように感じます。そのため、タバコの価格は、台湾人の喫煙率が比較的低い理由にはならないだろうと思います。
※2017年6月に法律(菸酒税法)改正され、施行後は台湾ではタバコ税を11.8元/箱(現状)を20元/箱の増税を実施して、31.8元/箱になる模様です。
台湾人にとっての喫煙の意識は?
日本では最近、2010年にタバコ税が増税されるなどの要因で喫煙率が下がり、タバコを吸う人の絶対数は下がってきています。
それでは台湾ではどのような状況なのでしょうか? 台湾では喫煙に関して、日本よりも愛煙家が少ないように感じます。
私の台湾人の友人や知人にもビンロウを噛んでいる人はそこそこいますが、タバコを吸っている人は比較的少ないです。
一つの例ですが台湾の2016年の喫煙率を示す統計データでは下記のようになっていました。
- 台湾の喫煙率(2016年):15.3%(出典:行政院(内閣)主計総処)
- 日本の喫煙率(2016年):19.3%(出典:日本たばこ産業株式会社)
一般的に、外出時にタバコを吸っている人を見ることは比較的少ないです。ただし、台湾では10年間のスパンでは喫煙率は減少しています。
台湾人の喫煙率(男女別)の年度別推移
年度 | 合計 | 男性 | 女性 | 原住民 |
---|---|---|---|---|
2004 | 24.1 | 42.9 | 4.6 | 27.5 |
2005 | 22.7 | 40.0 | 4.8 | 26.2 |
2006 | 22.1 | 39.6 | 4.1 | 25.8 |
2007 | 22.3 | 39.0 | 5.1 | - |
2008 | 21.9 | 38.6 | 4.8 | - |
2009 | 20.0 | 35.4 | 4.2 | 26.7 |
2010 | 19.8 | 35.0 | 4.1 | - |
2011 | 19.1 | 33.5 | 4.4 | 24.7 |
2012 | 18.7 | 32.7 | 4.3 | 26.6 |
2013 | 17.9 | 32.5 | 3.3 | 21.7 |
(引用元:台湾行政院)
上表は過去10年間の台湾人の喫煙率について、男女別および原住民に区分した時系列推移です。台湾人全体としては、ほぼ一貫して喫煙率が下がり続け、10年間で約25%ほど減少したことが分かります。男女別でも、男女共に喫煙率は減少しています。これら喫煙率の減少傾向は、法律規制による政策的な影響が最も大きく影響を与えてきました。
台湾のタバコのパッケージが怖い
台湾の一般的なたばこ外箱のイメージも恐ろしい程に、タバコの悪影響を喚起するような写真を使っています。
(胎児が異常になったり早産に)
まとめ:台湾では愛煙家には厳しいがタバコ嫌いの人には優しい観光地
日本ではレストランに行くと喫煙席か禁煙席かの選択を聞かれますが、台湾では愛煙家の方はホテルでもエントランスの外の隅の方にある喫煙エリアで寂しそうに喫煙している方をよく見ます。
また、路上でも足を止めて喫煙するのであれば問題ありませんが、歩きタバコは禁止ですので注意しましょう。私の勤務する大学でも禁止されているエリアで喫煙をした学生で、違反者は戒めのためにフルネームで掲示板に公開されています。
旅行者でも法律を犯した場合は罰金を課されますので注意しましょう。最後に、台湾での喫煙について、まとめておきましょう。
Point
- 台湾では喫煙できるエリアは非常に限定されている
- 多くの屋内(自宅以外)では全面的に喫煙は禁止
- 台湾で喫煙する場合は屋外や店外
- 台湾でのタバコ一箱の値段は80元~90元
- 罰金は2,000元~10,000元と比較的高め
《追加情報》
2016年7月から新たな禁煙に関する法律が施行されました。
赤信号で信号待ちしている時、車でもバイクでも喫煙をすると罰金(600元)を課せられますので、ご注意を。
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