一時帰国中の国民健康保険の加入の可否と手続きと注意点

日本への短期間の一時帰国中に国民健康保険の加入の可否についてのレポートです。一般的に、1年以上の海外移住をする場合には、住民票を抜いて海外で生活をするため、移住先の国の健康保険に加入することが多いと思います。

例えば、台湾であれば、日本の国民健康保険に相当する「全民健康保険」という制度があり、外国人であっても一定の条件を満たせば加入することが出来るようになっています。

例えば、お子様がいる家族の場合は、夏休みは2ヵ月程度の休暇になりますので、子供を連れて日本へ帰国することもあるかもしれません。また、台湾をはじめとした中華文化圏の場合は、春節(旧正月)の時期は冬休みになるため、約1ヵ月程度はほとんどの学校は休暇になります。

このような長期休暇を利用して、一時帰国をした場合は、たった1ヶ月や2ヶ月だけであっても、日本の国民健康保険に加入して、制度を利用できれば、安心して日本へ一時帰国することが出来ます。

 

なぜ一時帰国中でも国民健康保険に加入するのか?

一時帰国中に国民健康保険に加入する理由を考えてみましょう。

そもそも、国民健康保険とは?

国民健康保険(国保)とは、病気やケガをした場合に安心して医療を受けることができるよう、加入者が普段から保険料(税)を納め医療費の負担を支えあう、助け合いの制度です。

(引用元:公益社団法人 国民健康保険中央会)

以上のことから、一時帰国中に国民健康保険のメリットとデメリットを少し深掘りして、まとめておきます。

一時帰国中に国民健康保険に加入するメリット

一時帰国中に国民健康保険に加入するために住民登録の転入届をするメリットは、下記の通りです。

  1. 一時帰国中の病気や怪我の医療費の負担が軽減される
  2. 一時帰国中の出産の際には出産一時金の受給が出来る
  3. 自治体の助成で健康診断が無料で受診出来る(40歳以上)
  4. ※健康保険とは無関係ですが、お子様がいる場合は児童手当が受給できる

一時帰国中に国民健康保険に加入するデメリット

一時帰国中に国民健康保険に加入するために、住民登録の転入届をする場合のデメリットを挙げます。

  1. 収入に応じ、家族の人数分の国民健康保険料の負担
  2. 住民税の負担(住民登録が1月1日を含む場合)
  3. ※健康保険とは無関係ですが、国民年金の強制加入
  4. ※健康保険とは無関係ですが、お子様がいる場合は学校への通学(デメリットではないですが…)

 

一時帰国中だけ国民健康保険に加入することは可能か?

それでは、海外から日本へ一時帰国した場合、日本の国民健康保険に加入することが出来るのでしょうか?

更に、加入することが出来るのであれば、その条件はどのようなものでしょうか?

結論から言えば、一時帰国の場合であっても、日本に生活拠点がある場合は国民健康保険に加入することはできるようです。生活拠点とは、日本に住む家があり、実際に生活する実態があるということ。

ただし、あまりにも短期間の日本滞在で、尚且つ一年間で一時帰国を何度も繰り返すような状況では、役所によっては拒否されることもあるかもしれません。例えば、一週間だけの一時帰国でホテル住まいの場合では自治体によってはNGとされるなど。

というのも、一般的に、海外転出届けを出すケースは海外拠点での生活が1年を超える場合というのが目安となっています。その理屈を逆に言えば、日本への転入届けを出すのは、日本での生活が1年を越える(予定)ケースと言えなくもないです。

原則的には、海外移住をする場合は、事前に海外転出の届出をしますので、海外転出届により国民健康保険の加入義務がなくなり脱退することになります。

逆に、海外から日本に帰国した場合は、たとえ一時帰国の場合であっても、住民票の転入届を出すと、国民健康保険に加入することが可能になります。

ただし、役所によっては一時帰国の期間、国民健康保険に加入するかどうかを聞かれる場合があります。つまり、特に必要がなければ加入をしないという選択も出来る場合があります。やはり、日本滞在中に何があるか分からないので加入した方がよいでしょう。

 

国民健康保険の加入日と脱退日に注意しましょう

手続きの方法は、各地方自治体で異なるかもしれませんが、一般的には市区町村役場の窓口で手続きをすれば、その場で国民健康保険証を貰えます。

場合によっては、後日、郵送で届けられる場合もあるかもしれません。届出のタイミングについてはパスポートの入国印から14日以内にする必要があります。

国民健康保険の加入日は日本への一時帰国で入国した日(パスポート上のスタンプ印がある日付)になります。そのため、届出をする時には子供のものも含めてパスポートを持参しましょう。

そして、再び日本から出国する時には必ず海外転出手続きをしましょう。海外転出手続きをしないまま、日本から出国してしまうと、国民健康保険料が請求され続けますので注意しましょう。

脱退手続きをするまでの届出日または出国予定日までは国民健康保険証は有効です。国民健康保険証は役所の窓口に返却することも出来ますが、郵送で返却することも可能です。

どうしても、海外へ出国する直前まで保険証を手元に保持しておきたい時は、出国日当日に空港の郵便局のポストに投函することも出来ます。

 

一時帰国中の国民健康保険料はどのように決まる?

一般的に、国民健康保険料は各市区町村により異なりますので、その保険料の計算方法も若干異なります。基本的には、どの市区町村も前年度の所得などにより決められます。

日本で確定申告をしている場合は、申告額に基づいて計算されます。海外からの転入手続きの場合、聞いたことはありませんが場合によっては、海外での所得証明書などの提出を求められることがあるかもしれません。

国民健康保険料金の支払いは月割であるということに注意しましょう。上述したように一時帰国中の国民健康保険の加入日は強制的にパスポートに押印された日本への入国日になります。

そのため、例えば、月末(6月30日)に入国した場合は、たった1日だけであっても、6月の1か月分の保険料を支払うことになります。逆に、脱退日は出国予定日になりますので、9月1日に出国となると、たった1日だけであっても1か月分の保険料を支払わなければならなくなります。

そのため、日本への一時帰国日で迷った場合は出来るだけ月初に帰国して月末に日本を出国した方が費用が抑えられますね。

そして、盲点は帰国日(転入日)と出国日(転出日)が月を跨がないケース、つまり異動日が同月内の場合は保険料が発生しないこと。例えば、日本への一時帰国日が8月1日 → 日本からの出国日が8月31日の場合は、国民健康保険料は請求されないとのこと。

 

海外からの転入手続きで注意したいこと

転入手続きで注意しておきたい重要な点をご紹介します。

海外転出手続きをして、自分が転入しようとする市区町村に過去5年以内に住んでいたことがない場合は、住民票除票がないことになります。

更に、その市区町村が本籍地ではない場合は、戸籍と戸籍の附票を添付しないと、海外転入の手続きはできませんので気をつけましょう。

逆に言えば、5年以上の期間、住民票を抜いた状態で、一時帰国した場合は、本籍地で転入手続きをするのであれば、海外転出から何年経過していても、添付する書類は必要なくスムーズに手続きが進められます。

 

Point!

  1. 一時帰国の際の国民健康保険は生活拠点があれば加入できる
  2. ただし、加入の可否の最終的な判断は自治体によって対応が異なる
  3. 加入日はパスポートの帰国日、脱退日は住民票の転出日
  4. 月末と月初で月を跨る場合はそれぞれ保険料が請求される

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