台湾と日本の政策金利と台湾元と日本円の為替レートを海外から考察してみました。そこから見えてきた日本の政策金利と円安傾向について、台湾現地からレポートします。
日銀の円安誘導と世界的に見ても最も低い日本の政策金利により、日本の銀行にお金を預金しておくと、どんどんお金の価値が下がっていく、というかなりの悪循環が続いています。
金融に関する話は少し難しくなりますので、具体的な例えを使って、下記の内容を中心に話を進めていきます。
海外から見た円安傾向のデメリットとは?
おっと、話を進めていく前に、台湾ではどんな通貨が使用されているのか分からない方は、下記の記事が参考になりますので、ご覧ください。
海外から見た円安傾向のデメリットと給料が微増したというトリック
日本に住んでいる方たちは、給料が少し上がった、あるいはボーナスに関して、大手企業は5%上がり2年連続の上昇との情報が踊っていますが、視野を広げてよく考えて見ましょう。
多くの資源を海外から調達している日本にとって、円安という通貨の変化がどのようなことを意味しているのか?
生活基盤の根底を形成している原油をはじめとしたエネルギーについては、日本は海外からの調達に依存している現状で、更にエネルギーはモノづくりには欠かせないものです。
そのため、円安により海外からのエネルギー調達コストは上昇することになります。最終的に、そのコスト負担を強いられるのは日本国民である消費者ということになります。
海外では太刀打ちできない日本円の価値の低下
数年前の超円高の時代は、1ドル=70円台だったこともありましたが、現在は1ドル=110円台となっています。
仮に、1ドル=80円が、1ドル=120円になったと仮定すると、ドルの価値が50%ほど上がり、日本円の価値が50%程度下がったことになります。
現政権になって以降の円安傾向は、ドル高による円安ではなく、日銀と政府による一方的な円安誘導のため、日本円に対して、ほとんど全ての外貨は上昇したことになります。
そのため、単純に計算すると(実際には多くの企業は通貨変動をファイナンスの手法で担保していますが…)、単純に考えると、モノ自体の価格が変わらなくても、海外調達の原料や商品は、50%程度上昇したことになります。つまり、1万円だったものは1万5,000円になったということになります。
このような物価上昇は、日本円が50%下落したところで、即座に商品に50%上乗せされ価格転嫁されるものではないのですが、今後徐々に価格に転嫁され物価上昇によるインフレに向かうことは間違いないでしょう。
つまり、ボーナスも含めた給料の手取りと物価上昇分の金額を天秤にかけて、総合的に判断して物価上昇分の方が高ければ、家計としてはマイナスとなってしまいます(収入増加分<物価上昇分)。更に税金負担が増加するとなると…。
円安と超低金利政策が保有資産にもたらす2つの悪循環
政策金利を低く設定することと市場に資金を大量に供給することにより、引き起こされる円安誘導の悪循環は、生活者視点の物価上昇のみならず、「お金の価値」にも大きな影響を及ぼします。
- 円安による日本円の通貨としての価値の低下
- 超低金利政策による利息収入の低下
主に、上記2つのマイナス要因が考えられますが、特に日本在住で日本にしか資金を寝かせていない方にとっては、利息収入もほとんどない中で、円安による通貨の下落で、資金を寝かせているだけで、自分自身は寝たくても寝られない状況だと思います。
単純に考えると、銀行に預金しているお金による収入はほとんどゼロで、外貨に対する日本円のお金の価値は、ほぼ半減したことになります。
日銀がインフレ率の目標を達成するまでは、今後も円安誘導を続けると言っている以上、今後も円安傾向は持続するでしょう。
そうなると、海外通貨との対比では、お金が生み出す収入も考慮すると、円安とマイナス政策金利という2つの視点で、日本円の価値がするだけではなく、日本にある全ての資産価値(不動産など)が下がっていることになります。
事実、日本への観光客は増加していても、日本人の海外への観光客は減っているのではないでしょうか。
お給料が2%増加したところで、海外旅行に掛かる費用が50%高くなってしまい、つまり、海外旅行で使えるお金は50%減ってしまうということ。このような状況では海外旅行どころではないでしょう。
(少し前にスイスが政策金利にマイナス金利を導入することになったというニュースがありましたが、このまま行くと日本もそのような政策に追随するかもしれませんね。←過去の記事)案の定、日銀はマイナス金利に舵を取りました。
つまり、銀行にお金を預けておくと、お金の価値は実質的に下がり、物価上昇以上の利息や配当を生み出す金融資産に振り向けておかないと、銀行預金のお金の価値は下がってしまいます。
日本と台湾の政策金利を比較してみた結果
現在、日本の現状の政策金利はマイナス金利ですが、台湾の政策金利はどれくらいでしょうか?
台湾の政策金利は1.375%(2018年6月時点)です。
台湾の政策金利も数年前と比べると、下がっている状況ですが、それでも1.375%と比較的高い水準です。
日本と台湾の定期預金の金利を比較してみた結果
それでは、1年物の定期預金の金利はどれくらいでしょうか?
- 日本の主な銀行の定期預金の金利:0.01%
- 台湾の主な銀行の定期預金の金利:1.035%
日本の銀行に1年間、100万円を定期で預金していても、受け取られる利息は100円(税引前)だけですが、台湾の銀行に同じように預金しておけば、10,350円(税引前)の利息を受け取ることができます。
つまり、台湾の銀行に定期預金で余剰資金を寝かせておけば、日本の銀行に定期預金として預金しておくよりも、100倍以上の利息が受け取られるということになります。
台湾と日本の国内外の金利差を有効利用
台湾の金利について調べてみると、お金の管理について、ヒントになりそうなことが頭に浮かびましたので、併せてご紹介したいと思います。
海外移住者にとって日本の学資保険は魅力的な保険商品か?
日本では、学資教育保険(こども保険)に加入しており、現在でも毎月積み立て形式で、保険会社に支払っているということを思い出しました。
以前、友人の保険屋さんに依頼されて、少しだけ子供の将来のために学資保険に加入してあげました。その当時の営業の殺し文句は、学資保険は積み立て型の保険ですので、毎年の確定申告では課税所得の控除にも使え節税効果も期待できるとのことでした。
そして、その返戻率と利回りを改めて確認すると、18年間の返戻率が110%未満で利回りも0.8%にも満たない水準でした。現在は、円安が進んでいるため、現時点で外貨ベースで考えると、その資産価値はかなり下落してしまっていると言えましょう。これは、海外移住者にとっては致命的なお金の管理方法です。
日本の低い金利+為替の円安=保険の資産価値は下落
海外移住者にとってのお金と資産の管理
そこで、海外移住をする者として、お金や資産の価値をどのように担保すべきかという、少し複雑なことを考えてみました。現在、日本は、為替の円安誘導をしており、その経済政策を大きく転換するような状況にはありません。
また、政権が揺らぐような状況でもないため、為替の状況も暫らく円安傾向が続くものと思われます。そこで現在、もし私が十分な資金があり、そのお金の管理をどうするか、少しだけ考えてみました。
為替が円安の場面で日本の低金利を逆に利用する方法
現在は為替の円安外貨高の傾向ですので、そのメリットを十分生かし、日本に投資をするのが最も効果的でしょう。そして、出来ることならば、日本の低金利を効率的に利用して、日本円で資金調達をするのがよいでしょう。その資金をどこに投資したらよいか?
以前、私は下記のような台湾から日本不動産への投資が人気でその理由も含め記事にしました。
将来の住居の確保と投資目的としてのマンション
現在は台湾に住んでいますが、将来的には日本に住む可能性もありますので、日本のマンションに投資をしておけばよいのではないかと考えました。
そして、そのマンションは可能であれば、賃貸マンションとして貸し出して上手に運用すれば、毎月の返済額の負担もかなり低く抑えられることでしょう。
そして、この日本の不動産への投資は、将来、状況が一変して為替が円高に転換した時には、ドルベースや台湾元ベースで考えれば、資産価値が上がるという状況も考えられ、そうなった時には売却すればよいでしょう。
そのような為替マジックがなかったとしても、将来、安心して日本で生活できる住居を確保できます。
日本の学資保険と台湾の定期預金の投資効果を検証
一方で、余裕資金があれば、日本の保険などには投資せずに、台湾の定期保険を購入しておいた方が長期的に見れば圧倒的に有利だという事に気づかされました。
18年間の学資保険で返戻率と利回りを計算して、その結果を比較してみました。税金などの節税効果は考慮していませんが、日本の学資保険で最も利回りの良い保険商品と台湾の定期預金の金利相当で複利積み立て形式の比較結果は、約3倍くらい台湾の方が受け取り金利が高いという結果が出ました。
日台金利差を有効に活用した資産とお金の管理方法
日本での不動産投資と台湾での金融商品への投資で、その投資額が同額程度であれば、為替変動による損得勘定は必要なくなり、借り入れる場合は日本の低金利という有利な状況を利用でき、投資する場合は、海外(台湾)の高金利という有利な状況を効率的に利用できると言うことになります。
将来の住居を確保しながら、将来、必要となるであろう資金を有効に運用するヒントは金利と為替ヘッジと投資する不動産や金融商品の資産価値にありそうです。とは言っても、私にはそれだけのお金がありませんが…(笑)。
コメント
初めまして。ブログ読者です。楽しくて勉強になる記事をありがとうございます。
こちらの記事を読ませていただいたのですが、少し質問があります。
http://clubtaiwan.net/blog/2014/12/22/post-0-147/
台湾の銀行で得た利息についてなのですが、もし台湾の非居住者である場合は利息に対する税金は台湾で申告する必要があるのでしょうか?無知な質問でお恥ずかしいのですが教えていただけると助かります。
コメントありがとうございます。
受取利息の取り扱いですが、日本でも台湾でも同じだと思いますが、受取利息は利子所得として所得税が掛けられます。
利息受け取り時に税金を差し引かれた金額が振り込まれる源泉分離課税制度が適用されています。
実際に、銀行口座の記録を見ると、(普通預金の)利子所得に対して20%の所得が掛けられていることが分かります。
定期預金の利子所得の場合でも同様に、源泉分離課税だと思われます。そのため、特に利子所得に関しては所得税の申告は必要ないと思われます。