台湾の全民健康保険のまとめ|月額費用と加入条件や規定

日本人が台湾に移住する場合の台湾の全民健康保険についてのご紹介です。全民健康保険とは、日本の国民健康保険に相当するものです。台湾中央政府の衛生福利部中央健康保険署が管轄しています。

台湾の全民健康保険の制度も、日本の国民健康保険とほとんど同じ制度です。日本でも外国人が国民健康保険を利用できるように台湾でも外国人が加入できる仕組みになっています。実際には、加入可能というわけではなく強制加入となっています。台湾の全民健康保険の仕組みと利用に関することを簡単にご紹介します。

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全民健康保険の加入ルールを知ろう

まず、台湾移住を希望する方が知っておかなければならないルールは、加入条件です。この保険制度が適用される法律は全民健康保険法となっています。外国人が加入する場合には、台湾の外僑居留証がなければ加入対象外となってしまいます。

それでは、その居留証を取得するためには、どのようにしたらよいのでしょうか?
居留目的に応じて、簡単にまとめておきたいと思います。

  • 家族の呼び寄せ(台湾人の配偶者など)
  • 招聘を受けて就労(台湾の企業に就職など)
  • 留学(語学留学も含む)
  • 投資(外国人投資家や機関)
  • 宗教活動(布教目的)

 

一般的な例として、台湾の企業に就職した場合のケースを考えてみましょう。外僑居留証が取得できた外国人の場合は、下記のような基準に合致した場合には加入することになります。

全民健康保険法の規定に従い、居留証を所有する外国籍の方(香港、マカオ、大陸地区の方を含む)については、特定の事業主を持つ被雇用者が雇用された日から全民健保に加入するほか、居留証の交付から、台湾滞在が満6か月(台湾での滞在が連続6か月または1回の出国が30日に満たず、実際の居住期間から出国日数を差し引いた日数が6か月)の日より全民健保に加入します。

 

つまり、居留証の交付日から連続6ヶ月間の滞在が経過した日から加入する義務と権利が発生することになります。その際、日本に一時帰国をする場合は、30日以上の台湾からの出国期間は、連続6ヶ月間の滞在とは見做されなくなるようです。つまり、1週間の日本への一時帰国ならば、外僑居留証の交付から6ヶ月と1週間が経過した日に全民健康保険への加入が可能となるようです。

実際に、私は、外僑居留証を取得してから、10日間ほど日本に帰国したのですが、ギリギリ6ヶ月(180日間)と10日間(つまり190日後に加入)を満たしたため、全民健康保険に加入ができました。また、台湾での就業の場合は、事業主(会社)を通して、保険加入の手続きをすることになります。

それでは、台湾でロングステイなどの目的で、特に就業ではない場合はどうしたらよいのでしょうか?
この場合は、上記の満6ヶ月を経過した日以降に、居留地の役所(区公所など)で加入手続きをすることになります。台湾での滞在期間を確認するため、パスポートと居留証の提示が必要になります。

言うまでもありませんが、居留証がなくビザなし渡航で3ヶ月台湾に連続滞在後、一旦出国してから再度入国して、さらに3ヶ月連続滞在のケースは加入条件に当てはまりません。逆に考えると、語学留学やワーキングホリデーで、ビザを取得して居留証も台湾で取得した場合は、台湾に6ヶ月以上滞在する方も対象になりそうです。

 

全民健康保険の月額保険費用を知ろう

それでは、台湾の全民健康保険に加入することになった場合の保険費用は、いくらなのでしょうか?
台湾で就職していたり仕事をしている場合は、その月額報酬により、月額の保険費用が決まります。
ところが、台湾で仕事をしていないロングステイなどの場合は、どうなるのでしょうか?
全民健保保険料負担比率表では給与所得がない者を地区人口と分類して、以下のように1ヶ月あたりの保険費用が決められています。

2010年4月より、第六類地区人口の平均保険料は1,249元とし、自己負担60%、政府負担40%とする。
よって1人あたりの毎月の納付保険料は749元。

 

つまり、台湾で就労していない方(外国人も台湾人も同様)の全民健康保険の月額費用は、一人当たり749元ということになります。(この金額は年により増加しています)

被扶養者数が増えた場合は、その分加算されますが、被扶養者数は3人までと決められています。そのため、例えば、家族5人の場合は、4人分の保険費用だけの支払いで済み、1人分は免除されます。

全民健康保険の月額費用の支払い方法ですが、台湾当局から2か月分の請求書が2ヶ月に一回郵送されてきます。指定された支払期限までに、銀行やコンビニで支払うことになります。

 

全民健康保険を上手に利用しよう

以上が台湾の全民健康保険に関する加入条件と保険料に関する情報です。全民健康保険に加入していると、医療費だけではなく、虫歯の治療など歯科治療費も、非常に安い自己負担費用で診療を受けることが出来ます。

また、日本ではあまり受診することが出来ない中医クリニックでの診療も受けられます。また、中医受診の際は、台湾では一般的な医薬品として位置づけれら、処方されている漢方薬にも適用されるため、全民健康保険に加入した場合は、そのメリットを十分に活用しましょう。

全民健康保険の適用を受けた受診時の自己負担金について、下記のように受診する病院により負担額が少しだけ異なります。

  • 大病院~診所(クリニック)まで病院の規模により負担金が異なる
  • 病院の規模が大きいほど負担金は高くなる
  • 急診の場合は更に高くなる
  • なんと漢方薬(中医など)まで保険が使える

具体的に利用した時の負担額は下記のようになっています。負担額は毎年見直され、近年は上昇傾向です。

  • 外来診療の場合 : 50~360元
  • 急診の場合   : 150~450元
  • 歯科診療の場合 : 一律50元
  • 漢方診療の場合 : 一律50元

下記の記事で私が歯科医に診察してもらった時の領収書を公開しています。
台湾の歯医者で虫歯を治療した結果|治療費は?方法は?
その時の領収書でも、自己負担金は50元となっていました。

医薬品の自己負担金について、医師からの診療後、処方箋がある薬に関しては自己負担金0~200元のみで済みます。処方の方法は、医療機関により、院内処方の場合もあれば院外処方の場合もあります。

つまり、台湾で軽い病気になった場合は小規模なクリニックで薬を少し処方して貰うだけであれば、100元~200元くらいで済みます。病院・クリニック側がどれくらい診療報酬を受け取っているのか分かりませんが、台湾では随分安い費用で医療サービスを受けられます。

 

台湾の国民年金保険月額費用の減額が適用される

台湾で配偶者の国民年金保険費用が減額されました。事の発端は、妻のママ友が国民年金保険の減額について教えてくれたことに始まります。

日本では、学生であったり、一定の所得以下であったり、失業をしてしまった者は、国民年金の月額支払額が免除になったり、減額してもらえる制度があります。

台湾でも同様に、保険費用を免除してもらったり、減額してもらったりできる制度があります。

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上記の一覧表にもありますが、収入の低い世帯、心身障害者、所得が低い者などが減額の対象になっています。減額分は政府の補助によって賄われるようです。

今回の支払い請求分は、昨年の11月と12月の2か月分の国民年金保険費です。
前回の支払い分(9月と10月)の保険費用は以下の通り、1556元(778元×2ヶ月)でした。

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そして、今回の支払い分(11月と12月)の保険使用は以下の通り、1166元(583元×2ヶ月)でした。

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結果的には、妻の国民年金の保険費用は1ヶ月あたり195元(390元/2ヶ月)の減額です。

それでは、この減額適用対象となる所得がいつの所得を基準にしているのかを、妻に聞いてみたのですが、分からないようです。

今年度の所得はまだ決定しているわけではないため、たぶん昨年度の所得を基準にして支払い保険費用の減額査定をしているのでしょう。

海外移住1年目は形式的には台湾での所得はゼロであったことを考えると、もう少しの期間は減額適用がされるのかなと思います。

減額適用になる所得水準もどれだけなのか不明ですので、何ともいえませんが、少なくても来年度は減額適用がなくなりそうです。

ついでの情報ですが、今年度(2015年)からは保険比率などが少し上がるため、台湾の国民年金保険費も少し上がるとの但し書きが付け加えられていました。

これらの保険費の算定基準は消費者物価指数によって、毎年改定されているようです。
私の配偶者の場合は、1ヶ月あたり30元ほど改定されて支払い費用がアップします。

 

日本と台湾の医療負担額を比較してみよう

日本の医療・診療費用と比較してみましょう。日本で風邪をこじらせて、クリニックに掛かった場合、初診の場合は健康保険適用でも3,000円程度は負担した記憶があります。

それに対して、台湾では初診や再診にかかわらず100元(または150元)だけで済みます。歯医者で虫歯の歯科治療を受けた場合でも、たったの100元です。100元=350円程度・・・駅前の立ち食い屋のうどんの値段ではないですよw なんと、台湾では病院・クリニックや歯科クリニックで1回に掛かる費用は、たったの100元です。

それに対して、毎月の全民健康保険の費用は1人700元位です。実際には、この費用は給料によって4.25%分、あるいは自営業の場合は、また別の計算で決定されるため、所得によりもう少し高くなり、その計算は複雑です。

1カ月当たり700元という健保費は台湾の平均年収から考えると少し高いのかもしれません。国民全員+一部の外国人に少し高めの健保費を負担させる。(プラス税金も?)その一方で安い医療サービスを提供するような仕組みになっているのでしょう。

 

《追加情報》

全民健康保険加入の私の経緯と加入時のアドバイス

台湾に移住後7カ月を過ぎた頃に台湾全民健康保険の案内が届いていたのですが、その後1ヶ月間くらい放置しておきました。そして、9カ月目位に行政院衛生署の地域支部へ加入手続きのため出向いてみました。

2月に台湾に入国して8月に1度出国した後、9月に再入国したのですが、丁度ぎりぎり6ヶ月間の滞在を満たしていました。その結果、全民健康保険に強制加入となりました。

そして、全民健康保険加入申請後、実際に健康保険証を受け取ったのは11月初旬でした。しかし、月額保険費用の支払いは9月からとなり、加入義務のある時期に遡って徴収されました。9月と10月分の2ヶ月分余分に支払った敗北感は半端ないw

この経験から、台湾に到着した日から6ヶ月間が過ぎた時点で、直ぐに行政院衛生署に相談に行った方が良いでしょう。ここで疑問のなのですが、6か月過ぎても無視し続けて、そのまま日本へ帰国したらどうなるのでしょうね?やっぱりブラックリスト入り?

コメント

  1. あみ より:

    初めまして。

    今、台湾に語学留学していて、来年の夏くらいからワーキングホリデーしたいと考えています。

    ワーキングホリデーの為に、台湾の国民保険に入りたくて、調べててここにきました。

    居留ビザに変わってから、満6ヶ月たったら保険にはいれるということはわかりました。

    たとえば、居留ビザに変わってから、1週間日本に帰るとします。 その3ヶ月後にまた1週間日本に帰るとします。

    合わせて日本に帰った期間は30日未満ってことなので、交付から6ヶ月と2週間たてば申請ができるのでしょうか?

    それとも、国外にでれるのは1回だけで、その1回が30日未満なら申請できるということなのですか?

    1回しか国外にでれなくて30日未満なのか、
    1回が30日未満であれば、何回でもいいのかどちらでしょうか?

    帰国する予定が、旧正月と夏で2回の予定なので、、、。

    長くなりましたが、わかる範囲で宜しいので回答して頂けたら嬉しいです。

    • いいぞっ より:

      コメントありがとうございます。
      全民健康保険の加入については、台湾政府・衛生福利部中央健康保險署が発行している「全民健康保険ハンドブック」に書かれています。
      「居留証の交付から、台湾滞在が満6か月(台湾での滞在が連続6か月または1回の出国が30日に満たず、実際の居住期間から出国日数を差し引いた日数が6か月)の日より全民健保に加入します。」
      もう少し噛み砕いて言うと、居留証の交付日から台湾に滞在した日数が180日を経過した日から加入が義務付けられるとのことだと思います。その間の出国回数が問題のようですが、特に明記されていないため、詳しくは分かりませんが、文面から判断すると30日未満の出国であれば、2回の出国でも問題なさそうな気がします。心配であれば、関係機関に問い合わせてみて下さい。
      私の場合は、日数換算でギリギリ180日間継続して台湾に滞在していたため、上記のような問題とは無関係でした。その際の教訓は、「6ヶ月間」と言うのは月数換算ではなく、パスポートの出入国日をチェックして、厳密に日数換算をして判定されました。

      • あみ より:

        詳しくありがとうございます!
        そうですね!一応聞いてみます(^^)

        ワーホリやる前に保険に入りたいのでしっかり日数計算で逆算しときます!

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