台湾社会の特徴を児童に焦点を当てて、台湾の街並みを考察することで見えてきた、こども達の行動を台湾現地からレポートします。
私は時間に余裕がある時は出来るだけ、台湾の町並みや台湾人の行動などを観察するようにしています。
このように、台湾での人々の生活を観察していると、以下のような特徴があることに気が付きます。
- 台湾では公園の絶対数は日本より多い
- 台湾では公園で遊んでいる児童をあまり見かけない
- 児童だけで遊んでいる光景を見ることは稀
- 台湾では塾(補習班や安親班)などの教育ビジネスが盛ん
台湾では公園の絶対数は日本より多い
台湾の街並みを観察していて気が付くことは、日本と比べて、台湾では寺廟と公園が非常に多いということ。(寺廟については別記事にするとして)
台湾では公園が至るところに設置されています。文字通り、歩けば公園に当たるというくらい、小規模の公園から比較的広い公園まで種類は様々です。
その中には、オトナが使用するための公園もありますが、子供のための公園も多いのが台湾社会の特徴の一つでしょう。
これだけ多く公園が街の至るところにあれば、多くの児童が集まって、遊んでいるのも不思議ではないのですが…。
台湾では公園で遊んでいる子供をあまり見かけない
不思議なことに、台湾では公園で遊んでいる児童を見ることは稀です。
平日はもとより、学校が休みの土日さえも、児童達の姿を見ることはあまりありません。
公園で遊んでいるとしても、家族連れで親と一緒に遊んでいることはたまに見かけることがあります。
日本では、(現在は地域によりどうか分かりませんが)私の子供の頃を思い出してみると、暇さえあれば、公園や広場で野球(ソフトボール)かサッカーをしていた記憶があります。
児童の休暇の遊びについては、そのイメージを強く抱いていたため、台湾で見た公園で児童の姿をほとんど見かけないのは、不思議でなりませんでした。
この理由を、いくつか考えてみました。
- 排気ガスなどで屋外の空気が汚れているため
- 屋外は気温が高く、日差しが強いため
- そもそも子供たちには屋外で遊ぶ場所があまりないため
- 子供たちには遊ぶ時間があまりないため
- 子供たち自身が屋外で遊びたくないため
どれも当てはまると思いますが、実際に私が台湾で生活してみた経験から言えば、上記1と2の理由だと感じます。
屋外の大気が汚染されている
つまり、大人でも都市部でバイクに乗っている人の半数くらいはマスク着用で運転しています。
また、バスに乗っている乗客でも何割かの方はマスクを着用しているだけでなく、バスの運転手でさえマスクを着用している方が多いです。
台湾であっても郊外では、それほど大気が汚染されているとは感じませんが、都市部ではバスやバイクからの排気ガスが酷いため、あまり屋外で子供たちを遊ばせたくないというのが親の気持ちかもしれません。
日中は気温が高く日差しが強い
台湾の昼間の時間帯は、特に4月~10月くらいまでは気温が非常に高く、太陽の日差しが強いのが気候の特徴です。
このような環境で、何時間も遊びまわったり、走り回ったりすれば、体力に乏しい児童は直ぐにくたばってしまうかもしれません。
熱中症や日射病のリスクもあるため、特に夏の時期は子供達を外で遊ばせたくないというのも頷けます。
屋外で遊ぶ場所が限られている
台湾には子供たちが屋外で遊ぶ場所があまりないのでしょうか?
実際に台湾で生活してみると、日本と同じように、あるいは日本よりも公園が多いことに気が付きます。
ところが、公園で子供がはしゃいで走り回って遊んでいる姿を見ることはあまりありません。
公園内を観察してみると、おじいちゃんやおばあちゃんの憩いの場になっていることが多くあります。
それは、子供のための遊具(滑り台、ブランコ、砂場など)よりも健康増進器具(鉄棒、ストレッチ、ツイストなど)が多いということが台湾の公園の現状をよく示しています。
とはいえ、子供たちが遊ぶ場所がないわけではないです。
やはり、上記1や2の理由で、屋外で遊ばせることは、親にとっては心配だというのが本音でしょう。
遊ぶ時間が限られている
台湾では両親の共働き家庭が多く、平日などは特に親が子供たちに付き添って遊ばせる時間がないのが現状です。
遊ぶ時間の話になりましたが、子供たち自身には遊ぶ時間がないのでしょうか?
特に、平日は学校を下校後、あるいは土曜日も、子供たちを塾や習い事に通わせている親が多いのは今までも何度も紹介してきました。
それは、先述した通り共働き夫婦では会社を帰社する時間までは塾(安親班)などに子供を預けておいたほうが安心です
そのため、塾に通わせて児童の安全を確保しているのかもしれません。(安心班:親を安心させるクラスとは上手なネーミングです)
つまり、時間が限られているのは両親の方で、必ずしも子供たちには遊ぶ時間がないわけではないようです。
言い換えれば、親の就業時間の都合、あるいは親の子供への将来の期待、いずれにしても親の都合で子供たちを塾に通わせているとも考えられます。
必ずしも、台湾の子供たちに遊ぶ時間がないとはいえないと思います。
子供達自身が屋外で遊びたくない
子供たち自身が屋外で遊びたいとは思わないのでしょうか?
自分自身の経験から言えば、子供の頃は、鬼ごっこから始まり、野球やサッカーなどをして毎日、屋外で遊んでいたことを思い出します。
例えば、上記のような遊びが台湾では成り立たない理由は、上記のような活動は単独では無理で複数の子供が集まらないと遊べないでしょう。
そのため、台湾の子供たちに限ったことではないですが、屋内でテレビやゲームをして遊んでいるのが実情でしょう。
周りの環境により屋外で遊ぶ選択肢が狭まり、屋内で遊ぶ選択肢が限られているため、子供が1人でテレビ、ゲームや漫画を見て遊ぶ習慣ができてしまっているようにも感じます。
台湾に来て街頭を観察してみると、日本とは異なる社会インフラの1つである街づくりや大人の働き方やその実情を写している安親班の存在が見えてきます。
そして、子供たちをターゲットにしたテレビやゲームの存在があり、そのような社会を構成している一つひとつが線で繋がり、児童が外で遊ぶという選択肢を狭めているようにも見えます。
児童だけで屋外で遊んでいる光景を見かけない理由は?
児童の安全が確保された学校内では放課後、子供たちが遊んでいるのをよく見かけますが、台湾では道路を歩いている児童をあまり見かけることはありません。
日本と台湾で最も異なることは、日本では登下校は子供たちがそれぞれ親の同伴なく帰宅します。
ところが、台湾では必ず親が自動車かバイク、あるいは自転車でお迎えをします。
初めて、このような実態を知った時は、台湾人の親はちょっと過保護が過ぎるのではないかなと思いました。
ところが、実際に台湾で生活してみると、台湾の交通マナーはあまり良くない上に交通事故の心配もあるため、児童だけで屋外で遊ばせるのはややリスクが高そうです。
また、台湾では親が最も心配していることは、誘拐などの犯罪です。特に身近なところで、子供が被害にあうというようなことを聞いたことがあるわけではありませんが、親の立場からすると何かあったら取り返しが付かないというのも頷けます。
日本では社会全体で子供を育てるという昔ながらの考え方も残っていますが、個人主義的な考え方が比較的強い台湾社会では、そのような社会の役割も期待できないのかもしれません。
そのため、自分の子供は親が守らなければならないという考えに行き着き、どうしても自分の子供には過保護になってしまうのでしょう。
台湾では塾などの教育ビジネスが盛ん
日本以上に、台湾では教育ビジネスが盛んだとつくづく感じます。小学校や中学校の周囲には、必ず補習班あるいは安親班と呼ばれる学習塾がひしめき合っています。
また、放課後は学校の校門辺りで学習塾専用のミニバスが待機しており、学習塾までの送迎用のミニバスを見かける光景も多いです。
放課後に運動場で走り回って遊ぶ児童の姿ではなく、放課後はミニバスに乗って学習塾に向かう児童の姿を見ると、歪んだ大人の事情と発想により、児童の遊びたいという欲求が押さえ込まれているのではないかと不安に感じることもあります。
コメント
台湾の大学数の増加
私が留学していた頃、相当前です。12万人が統一連合試験(大学)を受け、
合格は2万人だけでした。ラジオで、合格発表がされて、逢甲、静宜女子大等が
最下位ランクでしたが、合格できただけでも凄いと、思いました。
今はもっとランクの低い大学が増えました。今は聞くところによれば、誰でも
合格できると、大学の値打ちが下がったそうです。
大学生と言っても、エリートと言う感じがなくなったと、
いいぞさんはどう、お感じになりますか?
日本も同様ですが。
以上
以下、台湾の大学事情について記事にしてみました。
http://nippontaiwan.blog137.fc2.com/blog-entry-1123.html
> 台湾の大学数の増加
>
> 私が留学していた頃、相当前です。12万人が統一連合試験(大学)を受け、
> 合格は2万人だけでした。ラジオで、合格発表がされて、逢甲、静宜女子大等が
> 最下位ランクでしたが、合格できただけでも凄いと、思いました。
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> 今はもっとランクの低い大学が増えました。今は聞くところによれば、誰でも
> 合格できると、大学の値打ちが下がったそうです。
> 大学生と言っても、エリートと言う感じがなくなったと、
> いいぞさんはどう、お感じになりますか?
>
> 日本も同様ですが。
> 以上