国際結婚をする際の法律上の手続きについて、実際の経験に基づいて、手続きの方法、届出に必要な書類、手続きでのポイントについて、解説します。
国際結婚をする際、多くの方が初めてのことになりますので、手続き方法が分からない人もいると思います。そのような方の一助となれば幸いです。
このような手続きは専門の行政書士に手続きを代行してもらうことができますが、行政書士への手続き費用が必要です。こんなことにお金を払っていられないという人は、自分で手続きをしましょう。
国際結婚する場合の重要な手続きは婚姻届とビザの取得
まず、外国人を日本に迎えて国際結婚をする場合、必要な手続きは大きく分類して2つあります。
- 婚姻届(この届出をしないと婚姻とは認められない)
- 配偶者となる外国人の在留証明(ビザ)の取得
婚姻届は国際結婚に関わらず、日本人同士の結婚でも必要ですので説明を割愛します。
ビザの取得は直接的には結婚の手続きとは関係がありませんが、相応のビザを取得しないと外国人配偶者は日本に一定期間しか滞在できない状況が続きます。
そのまま在留期限を過ぎて日本に滞在し続けると不法滞在となり、強制送還という事態になってしまいます。このような場合は、再度、台湾に一時帰国してビザ取得をしなればいけなくなります。日本人同士の結婚と異なり、国際結婚をする場合は、かなり複雑な手続きをする必要があることを知っておきましょう。
婚姻届は届出国の違いにより2つのパターンあり
届出国の違いにより婚姻の届出をする方法は2つあります。
最初に日本で婚姻の届出をする場合
- 日本で婚姻届の受理
- 配偶者となる外国人の出身国(台湾)へ婚姻の届出
最初に外国人配偶者の出身国(台湾)で婚姻の届出をする場合
- 外国で婚姻届の受理
- 外国で受理された婚姻証明書を日本へ届出
実は、婚姻届の方法は非常に稀なケースですが上記以外にもあります。2人の出身国以外の第三国で婚姻の届出をした後、それぞれの出身国へ婚姻証明書を届け出ても問題ないようです。例えば、アメリカで結婚をした後、日本と台湾の両国に婚姻証明書を届け出るというケースです。
最初に日本で届出をする場合の手続き方法と必要書類
私たちは、最初に「日本の役所に届け出る → 台湾の役所に届け出る」という方法で、以下の必要書類を揃えて市役所に届け出ました。
- 婚姻届書(市役所にある):保証人(2人)の署名捺印
- 日本人の戸籍謄本(戸籍の変更の場合)
- 外国人配偶者の戸籍謄本
- 上記戸籍謄本の翻訳(翻訳者の署名・捺印)
- 外国人配偶者のパスポート(外国人の身分証明書)
特に、外国人の配偶者と婚姻する場合に必要なものは、上記の3から5でした。上記の届出は私たちが結婚した時点の手続きですので、詳しくは居住地の役所に問い合わせてみましょう。
このような手続きを市役所に届け出た時に一悶着ありました。それは、日本において台湾は中国なのか、台湾なのか、という問題です。私たちは、妻の出身国を「台湾」と記載して届出したのですが、市役所のスタッフには、「中国」に書き換えるように言われました。
些細な違いなのですが、自分の国である台湾ではなく、中国と書き直させられたことは、台湾人妻にとっては少し気に障ることでした。日本にとっては台湾は国として認められていないため、中国の一部という扱いのようでした。
(現在は、役所への届け出時には、中国ではなく台湾と記載してもOKだそうです)
その後、私たちは日本の婚姻を証明する書類を台北駐大阪経済文化弁事処を通して、台湾での婚姻届の手続きをしました。その後、手続きに関して問題がある旨の通知はありませんでした。そのため、台湾での手続きは無地終わったものと思っていましたが…。
何と!台湾では妻の婚姻ステイタスが独身だった!?
国際結婚をして、台湾人妻の国民身分証が初めて更新されるということで、実家近くの「戸政事務所」に行ってきた時のことです。
戸政事務所とは、戸籍管理をする役所で、日本では市役所の住民課などの戸籍管理をする部署に相当するところのようです。身分証の更新はすんなり終わりましたが、ある問題が発覚しました。
台湾人妻が「中華民国国民身分証」を戸政事務所で更新したところ、驚愕の事実が判明しました。日本に嫁いで婚姻済みの妻の婚姻ステイタスが、どういうわけか台湾では「シングル」つまり戸籍上は「独身」ということになっていました。
私達はまず日本で婚姻手続きを済ませ、その後、台湾で婚姻手続きを進めたつもりでした。日本での婚姻手続きは、市役所で手続きを済ませ、更に住民票の欄外に妻の名前が記載されていることを確認しているため、私達2人が日本で婚姻関係にあることは間違いないなかったのですが…。
台湾での婚姻手続きに問題がありトラブル発生!
上述した通り、台湾での婚姻手続きは、台北駐大阪経済文化弁事処へ婚姻に必要な書類を送付することで完了したつもりでした。当時の弁事処担当者の話では書類の送付だけで手続き完了可能とのことでした。
その後、先方からは何の連絡もなかったため、台湾での婚姻手続きも完了したものと思い込んでいました。その後、実際には台湾本土へは私たちの婚姻の情報は転送されていなかったようです。
本来ならば、台北駐大阪経済文化弁事処に出向いて行き、手続きをする必要があると思っていましたが、担当者のアドバイス(必要書類の送付でも可能)を信じてしまったことが大きな間違いだったようです。台湾人妻も、台湾の役所はいつもこんなものだと憤慨していましたが、私は台湾のいい加減さにあっけにとらました。
その後、この件について弁事処に連絡を入れたのですが、担当者は確認して必要な書類一式を送付するとのことでした。ということは、以前、送付した婚姻に必要な書類は、どこに行ってしまったのか?
そして、結婚当初手続きをした台湾側の婚姻手続きのやり直しをしなければいけなくなってしまいました。
国際結婚の場合、夫と妻の両国の婚姻手続きをする必要がありますが、私達は日本人(夫)と台湾人(妻)の国際結婚であるため、日本と台湾の両国で婚姻手続きをする必要があります。
今回の台湾旅行の際に発覚した「妻の婚姻ステイタス=シングル」問題を早期解決するために、台北駐大阪経済文化弁事処に連絡をした結果、再度、台湾側の婚姻手続きをしなければいけなくなりました。
国際結婚する場合の台湾での婚姻手続きに必要な書類
弁事処から送られてきた書類によると、婚姻に必要な書類は以下の通りです。
- 結婚登記申請書(1枚)
- 結婚登記聲請書(2枚)
- 聲明書(2枚) ※認証費1,800円
- 黄色の登記カード ※台湾人のみ写真(1枚、4.5×3.5)
- 台湾の戸籍謄本(2通)
- 日本人の戸籍謄本(2通)※必ず結婚の記載があるもの
- フルネームの印鑑 ※日本人は実印
- 中華民国のパスポート
- 中華民国のパスポートコピー(2セット)
- 外国人登録証の表裏(2枚)
- 日本人配偶者のパスポートコピー(2枚)※運転免許証でも可
このまま国際結婚の手続き(台湾側の婚姻手続き)をしないで、身ごもっている赤ちゃんを産んでも、日本(日本では婚姻手続き済み)では、何も問題はありません。
しかし、台湾側の婚姻手続きが完了していないため、このまま出産すると、台湾では未婚の母になってしまう恐れがあります。ということは、台湾側では夫は生まれた子供の認知をしなくてはいけなくなるかもしれません。こういう点では、国際結婚は非常に手続きも煩雑で、両国の法律・慣習が違うため、本当に面倒臭いです。
基本的には、台湾側の婚姻手続きを完了させるためには、やはり、台北駐大阪経済文化弁事処まで出向く必要があるようです。台湾側の婚姻手続きのいきさつを振り返っておきます。
日本人夫と台湾人妻が国際結婚をして日本で台湾での婚姻の手続き(つまり台湾人妻の戸籍の変更)をする場合、基本的には、台湾駐日経済文化代表処に本人が赴く必要があります。
ところが、私たちの場合は、その当時、所用があり忙しく赴くことができない状況であったため、当局との交渉の結果、必要書類を郵送することで代表処のスタッフに手続きを委ねた形となりました。
その手続き後、約2年経過して、台湾を訪問した際に妻の実家近くの地方の役所で戸籍謄本を取得したところ、台湾人妻の婚姻ステイタスは戸籍上、なんと未婚となっていました。
台湾の戸籍上も婚姻ステイタスは既婚になった
台湾駐日経済文化代表処のスタッフが、仕事を怠っていたのかと思いましたが、その後(約1年後)、再度、台湾で妻の戸籍謄本を入手したところ、その戸籍謄本の備考欄のような部分に「日本人の私」と婚姻の旨が記載されていました。
そこで、今回の台湾訪問で白黒はっきりさせるために、地方の役所(戸政事務所)で今回の問題を問いただしてみると、地方役所のスタッフが戸籍の変更情報をコンピューターに入力することを怠っていたということが判明しました。台湾の田舎の公務員もいい加減なもので困ったものです。
以上のことから判明したことは、以下の通りです。
台湾駐日経済文化代表処のスタッフは、私たちの婚姻情報を「台湾の(市)区役所に婚姻届を転送」し、問題のなく仕事をしていたが、台湾の地方役所のスタッフが仕事を怠っていたのでした。
コメント
結婚手続きに関しては、いろいろと小さな事務手続きのトラブルが多いですね。
今後ともよろしくお願いします。
> 台湾ののんびり風土はいい部分もありますが、こういう事務処理に関して、
> のんびりだと、本当に困ります。
>
> そして、いろいろ参考にさせていただきました。
> ありがとうございます!