一般的なカルチャーショックと台湾移住者にとっての異文化理解とカルチャーショックについて、海外現地からレポートします。
私がカルチャーショックについて考えるようになったのは、海外移住してから現地で生活し始めて6ヶ月くらいが経過したことでしょう。
一般的に、ほとんどの人が意識するかしないか、感受性が高いか低いかにより、大きなカルチャーショックを受けるかそうでないかに関わらず、環境の全く異なる海外で生活する場合はカルチャーショックを受けるとされています。
実際に、私の海外生活での経験を踏まえながら、その経験を学術的な理論に当てはめながら、以下ではカルチャーショックと異文化理解のプロセスを紹介します。
日本人の視点では「ユルい」「いい加減」と感じる台湾社会や台湾人
台湾に来た当初は食べ物、景色、市場(夜市)など何もかもが新鮮に映り、しばらく旅行気分で楽しんでいました。
その後、少しずつ自分の目に映るものや光景に対し、現地のものや景色に新鮮味がなくなってきます。
そして、台湾人の行動や対応や考え方などに違和感を感じるようになってきます。
例えば、日本人の視点からみると、台湾人の行動や対応はあらゆる面で「ゆるい」と感じます。
言い方を替えて、悪く言えば、日本人にとって、台湾人の国民性は「いい加減」に映ります。
自分の今までの経験と外国ではじめて経験することのギャップを感じることがあることでしょう。
そして、そのギャップをいくつか経験すると、違和感として感じるようになります。
これこそが、外国で感じるカルチャーショックの一つなのです。
日本人が台湾人と接する中で感じるカルチャーショックの事例
台湾人は自分が言ったことに対して責任を持つという考え方は日本人と比べると薄いように思います。
多くの台湾人の方はビッグマウスのため、最初は調子の良いことを言ってきますので、それをまともに受けてしまうと結果は良いものでない場合が多く、結果的に人間不信に陥ってしまうこともあります。
こちらが何か手助けがほしい時に、台湾人に相談したら、任せておいて協力するからと言っていたとしても、それを100%信じて頼っていると…
彼らは、何も協力してくれないし、問題が良い方に進展することもないということがよくあります。このようなことは、日本人と台湾人の国民性の違いだと思います。
つまり、この違いに気付いていても気づいていなくても、精神的なダメージを受けストレスを感じます。これがまさに現地台湾で受けるカルチャーショックです。
例えば、電車やバスに乗る時など、昔よりは順番を待つという規律やモラルは変わってきていると思います。
しかし、順番を待っていても横から割り込んでくる台湾人は多くいます。こんな時にも、ある種のストレスを感じたりします。
また、台湾人の話す内容は日本人にはストレートです。例えば、日本人であれば、どのような仕事をしているかということを聞く時には遠回りに躊躇しながら聞くことが一般的だと思います。台湾人の場合は、疑問に思ったら、初対面であってもTPOを考慮せず、ストレートに聞いてきます。
そして、当たり前のように年収や給料はいくらかということも聞いてきます。それに対して、台湾人はストレートに答えたりします。
(つまり、月収は5万元です。いい仕事があったら紹介して。笑)
異文化コミュニケーションでのカルチャーショックとU字曲線
異文化に対するカルチャーショックはあらゆる場面で実感したり、無意識のうちにストレスに感じたりします。
以上のような異文化間カルチャーショックということは異文化間教育という分野では、ある程度学術的に理論が確立されつつあるようです。
その理論はカルチャーショックのU字曲線(Uカーブモデル)と言われています。
- ハネムーン期:環境の全てが新しく楽観的に異文化に対応することができる時期
- ショック期 :新しい文化に敵対心を持ち異文化をステレオタイプ的に捉える時期
- 回復期 :言語や周りの環境にも慣れて徐々に文化変容がみられてくる時期
- 安定期 :異文化適応がほぼ完成してストレス、心配などがなくなり、新しい習慣を受容し楽しめられる時期
※上記以外にも「らせん状図」という理論もあるようです。
カルチャーショックのU字曲線モデルと台湾生活
カルチャーショックのU字曲線モデルを台湾での生活で遭遇するであろう事情に当てはめて、典型的なカルチャーショックの例え話をしてみましょう。
カルチャーショックのハネムーン期
台湾での夜市を歩いていると、何か臭いニオイがする。
台湾人に臭豆腐を食べるように勧められる。
何これ! クッサーッ!? 鼻を摘みながら大爆笑。(キャハハハ~ッ!)
台湾人から日本にも臭い「納豆」という食べ物があるじゃないと言われ…。
満面の笑みで、「うん。」そうだね。日本と台湾は同じ食文化だと思っていたけど、違うんだね。何だか面白い~。
カルチャーショックのショック期
台湾の生活での真新しさもなくなりました。
珍しい台湾料理も、一通り食べつくしました。
台湾と日本の食文化の違いもある程度分かりました。
毎日毎日、台湾人はよく油っぽい料理ばかり食べられるなあ。
もう、油まみれの台湾料理は食べ飽きたよ。
たまには、新鮮な野菜サラダも食べたいし、いつも薄いスープじゃなくて、味噌汁が飲みたいよ。
台湾料理はどれもこれも、同じ醤油味ばかりで、つまらないわ。
カルチャーショックの回復期
街を歩いていると、自助餐と呼ばれるセルフサービス形式の食堂を見かける。
どんな料理が食べられるのだろう…ちょっと入ってみよう。
うわ~、たくさんの料理が並んでるなあ。
アレッ! 何だか日本で食べていたような料理がある。
満面の笑みで、サンマ焼き、野菜炒め、漬物、更に…ちょっと薄いけど味噌汁まである!?
これ日本の料理に、そっくりだなあ。
台湾でも、こんな和食のような料理があったんだ。
実際に食べてみると、何だか日本の懐かしい味を思い出した。
これから、油っぽい料理に飽きた時には、自助餐で自分の好きな料理を食べよう~。
カルチャーショックの安定期
台湾移住後にいろいろな面の台湾社会を見てきたけれど、やっぱり海外だから、同じ文化もあれば、異なる文化もあるんだな。
食文化も日本と同じ部分もあれば、全く異なる部分もあるんだな。
台湾のスープが薄いのも、その背景には食文化の違いあるということも分かった。
台湾では野菜は炒めて食べるというのが基本だという背景にはそれなりの事情があることも何となく分かった。
それぞれ、社会も環境も違うのだから、それぞれの国の違いを知ると、その国の本質的な生活の背景にある歴史や文化が見えて来るもんだな。
海外移住にはカルチャーショックがあり異文化理解が必須
このような理論を理解していても、未だに幾ばくかカルチャーショックによるストレスを感じることがあります。
ということは、まだ私はショック期から回復期に移行してないのかもしれません。
言語コミュニケーションに問題がなくなるにつれ、異文化理解が進み回復期に向かうように感じます。
ちょっと学術的な話になりますが、このような理論があるということを知っておくだけでも、台湾をはじめとする、海外移住をする時の一助になるのではないかなと思います。
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