台湾には干瓢がない!?扁蒲とは?ユウガオからかんぴょうを作ったよ

台湾での干瓢(かんぴょう)のポジションと日本との違いを台湾現地からレポートします。かんぴょうの原材料がどのようなもので、どのように製造されているか知っていますか?

私は台湾に移住するまでかんぴょうの正体も、かんぴょうの作り方も知りませんでした。かんぴょうを作る元となる野菜を台湾で初めて知って、インターネットで検索して始めて知った次第です。

そこで、そもそも干瓢が意味するものは何か、干瓢の原材料は何か、台湾では干瓢があるのかないのか、台湾では干瓢(の原材料の野菜)をどのように食しているのか、などを簡単に紹介します。

干瓢の作り方を調べていたら、実際に自分でも作りたくなったため、干瓢を作ってみました。干瓢作りは上手に出来たのでしょうか…?

 

干瓢とは何か? かんぴょうの正体とは?

かんぴょう(干瓢、乾瓢)は、ふくべ(ウリ科ユウガオの品種)の果実をひも状に剥いて 乾燥させた食品である。(出典:Wilipedia)

つまり、干瓢はユウガオという野菜から加工された食品だということが分かりますね。

一般的に、かんぴょうと聞くと、かんぴょう巻きの巻き寿司を思い浮かべてしまいます。かんぴょう巻きは干瓢を水に戻して、醤油などで味付けしたものを酢めしと焼き海苔で巻いた寿司です。こんな風にして干瓢を食べるのは日本人だけかもしれないということも台湾に来てから知りました。

干瓢の「瓢」とは「ひさご」と読んで瓢箪(ひょうたん)を意味する言葉だとされています。そこでピンッと来るのが、瓢箪とふくべが同じ種だということですね。ただし、実際には瓢箪は灰汁が強く食中毒症状を起こす成分を含んでいるため食べられません。

  • 干瓢(かんぴょう):ユウガオを原料とした乾物食品
  • 夕顔(ユウガオ) :ウリ科の長球形の野菜

つまり、普段、かんぴょうと言っているものの正体はウリ科の植物を乾燥加工した乾物だということ。日本では食品スーパーでユウガオを見かけることはほとんどありませんね。

 

台湾には「かんぴょう」はない!?ユウガオはある!

結論から言えば、私の知る限り一般的には、台湾には干瓢を食べる習慣はありません。一般的な食品スーパーで干瓢を探してみても、干瓢を店頭で販売しているのを見たことがありません。ただし、日本の食品専門スーパーに行けば、日本からの輸入品があるかもしれません。食材専門店では寿司用の味付け干瓢があります。

そのため、台湾人は日本の干瓢の食べ方は知らないのではないかなと思います。それでは、台湾には干瓢の原材料となるユウガオはあるのかないのか…?

台湾ではユウガオは中国語で「扁蒲(biǎn pú)」と呼ばれています。本来、日本ではユウガオの最盛期は7月~8月の真夏の時期ですが、台湾ではほぼ一年中、食品スーパーや食料品市場で扁蒲が販売されています。

日本では生のユウガオをスーパーで見ることはほとんどありませんが、台湾ではごく一般的な食材として扁蒲を見かけます。日本と台湾の食品スーパーなどでの干瓢とユウガオのポジションを大雑把にまとめると、下記のようなアベコベの状況になります。

  • 日本: 干瓢(ある)、ユウガオ(ない)
  • 台湾: 干瓢(ない)、ユウガオ(ある)

 

台湾ではユウガオ(扁蒲)をどう調理して食べるのか?

ユウガオは冬瓜と同じように、真横から輪切りにするとよく分かりますが、外皮に数センチの果肉があり、中心部は種が密集しているため、ほとんど食べられません。皮を剥いて果肉の部分のみを食べます。

台湾では食材としてユウガオはよく使われています。その理由は定かではないですが、少し調べてみると、他の野菜と比べて、飛び抜けて食物繊維が多く、便秘や生活習慣病にも効果があるとされています。栄養価も高いため、好んで食べられているのかもしれません。

それでは、台湾ではユウガオ(扁蒲)をどのような料理として食べているのでしょうか?

台湾料理を提供している自助餐などでよく見かける料理は、台湾では定番の炒め物として提供されています。

ユウガオは元々、瓢箪(ひょうたん)と同じ種のウリ科のため、果肉に少しだけヌメリがあります。そのため、口の中に入れるとツルツルとした独特の食感が楽しめます。ただし、箸で掴むのは少し難しいこともあります。

日本人の私からすれば、生のユウガオを見た感じでは、果肉もシッカリしているため、大きめの千切りにして、水で灰汁を吐き出して、サラダにしてシャキシャキとした食感を楽しみたいと思ってしまうのですが、台湾人は家庭料理としてはあまり生野菜サラダを食べないから、このような食べ方はあまり見かけません。

 

台湾でユウガオ(=扁蒲)から干瓢を作ってみました!

真冬の2月でも台湾では食品スーパーに行けば扁蒲がありますが大きさが小ぶりだったため、伝統市場に行き、少し大きめの扁蒲を購入してきました。

真夏の最盛期であれば、もっと大きく値段も安いものが手に入るかもしれませんが、この時期は意外にも値段が高かったです。台湾の伝統市場では重さの単位は台斤を使います。

扁蒲の値段(2月): 30元/斤 → 55元/個

 

ユウガオから干瓢を作るまでの工程を動画で予習しました。

上の動画のように、簡単にスルスルとスライスして干瓢の原型を作れそうに思えたので、大根のかつら剥きのような手順でOKだろうと思っていました。

ところが、意外にも干瓢の果肉はヌメリがありツルツルと滑ってしまい、あまり上手く剥けません。また、果肉は中心部になるほど、果肉が柔らかくなっていくため、包丁の刃が上手く切れない。

結局、下の動画のような包丁の使い方になってしまいました。結局、ナイフを使う場合はこの剥き方が最も効率的のようでした。

 

そして、1kg以上あったユウガオの果肉を…、悪戦苦闘してスライスした干瓢は、ハンガーなどに吊るして天日干ししました。

 

画像のように、天気の良い日に直射日光の当たる場所で、ほぼ丸一日の間、天日干しをしました。その後、陰干しで2日間ほど外気に当てて乾燥させました。

そして、出来上がった新鮮なユウガオから作ったカンピョウが下の画像です。

お店で売っているカンピョウと比べると茶褐色がかっていますね。ほとんどの干瓢は保存のために防カビや防虫対策として二酸化硫黄により薬品処理され、その過程で漂白効果が表れるとされています。

実際に、ユウガオの自然素材で、ありのままのカンピョウを作ってわかりましたが、実際の干瓢は茶褐色のものが無漂白の自然そのままの干瓢の乾物です。

こうして出来上がった干瓢は水で戻して醤油ベースで味付けをして太巻き寿司の具として美味しく頂きました。

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