台湾ドルの過去35年間の長期為替レートの推移

台湾ドル(台湾元)の過去35年間の為替レートについて、対日本円と対米ドルでのレートの推移を考察して、分かったことを紹介します。今まで気になっていた台湾元の為替レートは、直近3年間くらいの動向であればどこでも入手可能です。

ところが、台湾元の長期為替レートの情報を検索しても、なかなか見つけられなかったため、海外のFX業者のデータを使って加工してみました。その結果から推測できる将来の長期的な台湾元の動向を考えてみました。

 

海外移住者が長期的な為替レートを知る必要がある理由

今回、このようなマクロデータを知りたいと思った切っ掛けは、台湾移住する場合には純粋に為替レートの動向に敏感にならざるを得ないという現状があります。

そして、過去からの為替レートの動向を知れば、長期的な視点から考えて、今後台湾元が日本円に対してどのような動きをするのかの方向性を知ることができるかもしれません。

また、そのような台湾元の動向を予測できたとすれば、将来的に日本マーケットを対象にしたビジネスが有効なのか、台湾マーケットを対象にしたビジネスが有効なのかを知る糸口が見つかるかもしれません。そんな理由で、今まで知りたいと思っていた台湾元の長期的為替レートを調べてみたという訳です。

 

台湾元の過去35年分の長期為替レートから見えてくるヒント

台湾通貨・台湾元の過去35年分の長期為替レートの推移は次の通りです。

リーマンショック後、極端に円高に振れた時期には、台湾元は最安値では台湾元=2.5円まで下落しました。そして、現在は台湾元=3.7円くらいまで戻してきています。

さらに、過去に遡ると、1985年には台湾元=6.6円と高値だった時期がありました。1985年頃と言えば、日本ではバブル経済真っ盛りの時期と重なります。バブルの波に乗りインフレ圧力が掛かり、日本通貨が安くなっていたと、振り返ってみれば教科書通りの経済現象であった訳ですね。

結果として、台湾元は最高値の時と比べると、現在は2分の1まで下落してきています。逆に言えば、日本のバブル時期と比べると日本円は台湾元に比べて、通貨価値が再評価されているとも言えるのかもしれません。

 

過去10年間のレート推移での台湾ドルと米ドルの相関性

台湾ドルと米ドルの為替レートの相関を知るために、先ずは米ドルの過去35年間の為替レートの推移を見てみましょう。

グラフを見ると勘の良い人は気が付くと思いますが、1985年からガクンッと円高ドル安が進んでいます。これは、プラザ合意によって、実質的に円高ドル安に誘導することになったからです。

過去10年間での米ドルと台湾ドルの日本円に対する相関性を考えるために、少しだけ複雑な関数計算をしてみました。

実施した相関関係を知るための計算は、2008年から2018年までの約10年間での対日本円に対する台湾元と米ドルの相関係数を求めること。

PEARSON(ピアソン)の積率相関係数を計算シートを使って、計算してみました。そして、その結果を確認すると、驚くことが判明しました。

  • |r| = 「0.7」~「1.0」: 強い相関がある
  • 相関係数の結果:|r| = 0.96

つまり、台湾元と米ドルは相関関係が非常に強いという結果になりました。そのため、日本円に対しては、米ドル高になれば台湾ドル高になり、米ドル安になれば台湾ドル安になるという関係にあります。

このように、台湾ドルは米ドルに従順な動きをするする性質があるため、台湾ドルの下落リスクあるいは上昇リスクを回避するためには、米ドルを買っておくか売っておくことで、リスクヘッジは簡単に出来るということになります。

関連記事:台湾ドルと中国人民元と香港ドルの関係を相関係数と散布図で解説

 

長期的には下落基調の台湾元から今後の方向性を考える

このような長期的な動向を確認してみると、首尾一貫して台湾元は下落基調にあることが良く分かります。そして、1990年代前半から現在まで台湾元=4.0円以下で推移していることも分かります。

そう考えると、今後も極端な政変など長期的に見て特異な事象が起きなければ、台湾元が強含み台湾元=4.0円を突破して円安台湾元高になるような状況は考えにくいでしょう。

もしそうであるのならば、日本と台湾間のビジネスを為替動向という一点だけに焦点を当てて考えると、今後は台湾でモノやサービスを買って、日本でモノやサービスを売る商売の方がしやすくなるであろうと予測できます。

 

日本企業や日本人が対外的に目指すべき方向のヒント

それでは、そのようなビジネスは、どのようなものか?

例えば、不動産投資を考えてみると、各国での不動産価格そのものが上下せずに一定だとすれば、台湾の不動産を売って日本の不動産を購入しておいた方が確率的には将来性が高いということになります。

あるいは、長期的にみると、まだまだ円高傾向にあるため、このような円高基調が今後10年あるいは20年のスパンで継続されれば、日本企業はもとより日本人も海外に出て行かない限り困窮することが予想されます。

例えば、高い人件費を使って作られた製品や提供されるサービスをいつまでも購入するとは限らないですからね。さらに、TPPやFTAのような経済のボーダレス化はその傾向を助長することになるでしょう。

 

日本人が海外で生きていくことの経済的メリット

今後、最も効率的な生き方は日本で稼いで(日本にモノやサービスを売って)、経済成長が見込まれる国に投資をすること(モノやサービスを買うこと)ではないでしょうか。

同時に、その国の通貨下落をヘッジする仕組みを利用すれば、所有する資産価値の下落を間接的に防ぐことができるでしょう。そこに、日本人の海外移住の接点(目的)の一部を見ることができるのです。

 

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