この記事の目次
海外転出届の方法と住民票
海外転出届の方法
海外転出届は住民登録窓口にパスポートを持参し異動届に記入するだけです。
海外転出届の時期
転出届は出国予定の2週間前から届け出の受付が可能です。
海外転出届での注意点
届出をすると住民登録がなくなり、住民票が取得できなくなります。
海外転出届をするとどうなるか?
海外転出届と国民年金
国民年金の強制加入義務がなくなります。
(国民年金の任意加入はできます)
海外転出届と国民健康保険
国民健康保険の加入は抹消されます。
(国内での病気・ケガは全額自己負担です)
海外転出届と住民税の支払い
年末までに届出すると、前年度収入に課税される翌年の住民税の支払いは免除されます
海外転出届をしないとどうなるか?(日本では所得ゼロの場合)
日本では所得がゼロ、つまり無課税所得者の場合を想定してみましょう。
この場合、国民年金、国民健康保険、住民税の3つの負担を考慮して、海外転出届を出して、住民票を抜くのかどうかを検討します。
結論から言えば、無課税所得の人は、住民票を日本に残しておいても、社会保障費や税金に関する負担は、国民健康保険料のみになります。
海外転出届と国民年金
国民年金は強制加入義務があります。
ところが、所得ゼロ(無課税所得)の場合、国民年金の減免制度により全額免除!?
海外転出届と国民健康保険
国民健康保険は加入義務があります。
ところが、所得ゼロ(無課税所得)の場合、国民健保の減免制度により負担は軽くなる!?
海外で病気になった場合でも、日本の国民健康保険により、一定基準までの医療費は保険の適用を受けられます。
海外転出届と住民税の納税義務
住民税は1月1日に住民票がある自治体に支払う義務があります。
ところが、所得ゼロ(無課税所得)の場合、住民税の負担額はゼロ!?
確定申告で所得がゼロで海外転出届けをしない場合
重要なことですので、上記のポイントを、再度、詳しく解説しておきます。
海外転出届をしない(住民票を抜かない)場合で、日本の確定申告をして所得税がゼロとなった場合は、申請により下記のことが適用されます。
- 国民健康保険料の減免 → 毎月の支払い負担が大幅に軽くなる
- 国民年金の全額免除 → 全額免除期間は将来受け取る金額が1/2になる
つまり、毎月の国民健康保険料を減免してもらった比較的負担の少ない月額の保険料の支払いをする替わりに、毎月の国民年金の納付は全額免除で、将来の受け取り金額を1/2確保できるという状況になります。
言い換えると、現在は必要ない日本国内での健康保険料を払うのは損かもしれないですが、将来的に受け取ることが出来るであろう国民年金の受給額は全額免除により現在は納付をしなくても、将来的には受給額の1/2だけですが確保できるということ。
(全額免除された期間は任意により、後納が可能で、この場合は、所得控除の適用を受けられると言うメリットもあります。)
上記のことは、海外移住者であれば知っている人がいると思いますが、あまり知られていない裏技的な国民年金の担保の仕方かもしれません。
制度的には、抜け道を流用しているように見えて、賛成意見と反対意見が対立しそうですが、確定申告の所得がゼロ(無所得世帯)の場合、現在の国民年金の制度の上に則った国民年金の支払い負担の回避方法とも考えられます。
もう一つ論点を挙げれば、海外で居住して、年に数回しか日本に一時帰国しないのに、海外転出届けをしないのは違法ではないのかという意見もあるかもしれません。
ところが、海外転出届(住民票を抜く)について、明確な法律が規定されていないというのが現状です。つまり、多くの役所では、海外転出届は一年以上海外で居住する場合、勧められる程度の認識です。海外転出届に関する明確な条文がないのが問題だと思われます。
(以上、期間限定公開)
上記の解説を受けて、以下は購読者様からのコメントですが、貴重な意見を頂いたため、掲載させていただきます。
私は、60歳5~7か月目~69歳を台湾で過ごす期間と位置づけて、計画しています。
幸い65歳からの年金は終身の個人年金も加えると、充分です。
60歳7か月~64歳11か月目までは、無年金です。
収入は、個人年金の60万円/年、家賃収入90万円ほどだけです。
問題は、ビザではありません。健康保険です。
今は、クレジットカード付帯で、乗り切ろうと思っています。
ただ、今回、いいぞ 様の率直な運用をお聞きし、自分も以下のシュミレーションを考えています。
退職一年目は、まだ収入があるので、住民票を抜きますが、日本で完全無収入になる2年目~64歳11か月まで日本に住民票を残し、国民健康保険・介護保険料を支払うことを検討できますね。
メリット・デメリットは、微妙です。
恐らく、7~9千円程度/毎月、払うと思います。
国民年金は、もう60歳を超えていますから、増えませんし、全額免除も何もありません。
ただ、日本に3か月に一回、帰った際、問題なく病院に行けるのは、良いですね。
あと、台湾の医療費の還付も受けられますね?研究してみます。
つまり、「台湾に1年以上のロングステイをするが、住民票は日本に置いて、国民健康保険を上手に利用できるか?」です。
全額免除して、18000円保険料は納めなくて良いですが、健康保険料・介護保険等で、8千円払うと。
これで、貰える年金も半分の32500円ですから、凄いお得と言うか、メリットではなく、使わないのに健康保険を納められていて、日本にも貢献できると思います。
全額免除で、満額の国民年金が貰えるわけではないので。
台湾で働ける場合、台湾の健康保険です。
(T様からのコメント)
住民登録の有無により国民年金の義務が決まる
海外移住する場合、住民票をそのまま残して海外で生活するケースと、住民票を抜いて海外で生活するケースに分けられます。
つまり、住民登録の有無により、国民年金の加入義務が決まります。住民登録と国民年金の関係は重要ですので、もう一度、以下で整理しておきます。
ここに注目
- 海外転出届をする :住民登録なし、国民年金の支払いは任意
- 海外転出届をしない:住民登録あり、国民年金の支払いは必要
海外転出届により住民票を抜いて海外移住する場合は、国民年金の保険料を払う義務がなくなります。
つまり、国民年金の保険料を支払うか支払わないかの選択ができます。
ただし、保険料を支払わない場合には、将来受け取ることができるであろう受給額が少なくなったり、障害年金が受け取れなくなったりするなどのデメリットが考えられます。
保険料を支払う場合には、将来、受け取ることができるであろう受給額を確保することができます。
つまり、住民票を抜いて、海外移住する場合は、国民年金の加入義務はなくなり、加入は任意となります。
海外移住期間中はカラ期間扱い
住民票を抜いて、海外で生活している期間については保険料を払う「義務」はありません。
従って、国民年金の保険料を払わなくても「滞納(未納)」とはみなされません。
国民年金法上、この期間のことを「合算対象期間(カラ期間)」と言い、年金を受け取るのに必要な期間(受給資格期間(10年に短縮)に含めることが可能です(未納期間は受給資格期間に含めることができません)。
しかし、期間に含めることができるだけで、年金額には反映されません。
例えば、海外移住期間が10年であった場合、それだけで年金を受け取るために必要な期間は満たされます。
ところが、その期間に対応する年金受給額はゼロでしかありません。
また、カラ期間中に障害年金を受け取れるような障害の状態になった場合に、障害年金が支給されないことになります。
これも国民年金を納付しないことによるデメリットと言えるでしょう。
移住国の社会保障制度と相互協定の有無を確認
その他に注意しておきたいことは、移住する予定の国の年金制度です。
移住国に年金制度がある場合と、移住国に年金制度がない場合があります。
また、年金制度がある場合でも、外国人が加入できる場合とできない場合があります。
もし外国人が加入ができる場合は、その国が日本と社会保障制度で協定を締結している場合は、日本の国民年金を支払うと二重払いになってしまうことが考えられます。
そのため、移住後も国民年金の支払いを継続する場合でも、移住する予定の国が国民年金について、日本と相互協定を締結しているかどうかの有無も確認したほうが良いでしょう。
戸籍をどこに置くか?(戸籍謄本の転籍)
海外移住をしても、戸籍謄本が必要になる時があります。(ビザ取得時や変更時など)
日本国内に両親などの親族がいて、少しは協力してもらえるのであれば、戸籍を両親の住んでいる市町村に自分の戸籍を転籍しておいたほうがよいでしょう。
それは、海外居住中に戸籍謄本が必要な時、出来るだけストレスなくスムーズに時間をかけずに戸籍謄本を取得したいからです。
例えば、北海道=両親在住、沖縄県=自分の戸籍の場合、最悪、北海道⇔沖縄県の往復移動が必要になってしまうかもしれません。
ただし、郵送での申請・発行という方法もあります。が、手数料の支払いが複雑になったり、役所とのやり取りで時間が掛かってしまいます。