台湾総統選挙が2020年に実施される予定になっています。
選挙は来年の話ですが、台湾現地では早くも台湾総統選挙の報道がヒートアップし始めています。
そこで、今回は台湾の次期総統選挙での候補者として取り立たされている人をピックアップして紹介します。
総統選挙に関連した台湾の政治勢力について、あまり詳しくない方も多いかもしれませんので、現在、報道に上がっている政治勢力をまずは簡潔に紹介します。
- 民進党(緑):現総統の政党
- 国民党(藍):前総統の政党
- 無所属(白):現台北市長の新勢力
以下では各政党や政治勢力の中でマスメディアから注目されている立候補の可能性がある政治家の横顔と併せて、現時点での支持率(人気投票)では、それぞれの候補者がどのような状況なのかを紹介します。
蔡英文
- 生年月日:1956年8月31日
- 学歴:台湾大学、米コーネル大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
- 現職:中華民国総統
- 経歴:学者出身
- 政党:民進党
- 対日:日本寄り
先の統一地方選挙で民進党が敗北をして以降、民進党への風当たりは強く、支持率が低迷していますが、次期総統選挙では民進党の候補として再選を目指すとの報道があり民進党の統一候補の筆頭。ただし、総統の支持率低下により、以下で紹介する頼さんの出馬も取り立たされています。
頼清徳
- 生年月日:1959年10月6日
- 学歴:台湾大学、米ハーバード大学
- 現職:行政院長を辞職
- 経歴:元台南市長、医師
- 政党:民進党
- 対日:日本寄り
先の統一地方選挙で民進党が敗北した責任を取るという名目で行政院長を辞職したものの、次期総統選挙への足場固めのために辞めたのではとも目されています。
現状の民進党の支持率が低下している中で、民進党の中では蔡英文総統よりも人気が高く、次期総統選挙の民進党からの候補者としては2番手とされています。
朱立倫
- 生年月日:1961年6月7日
- 学歴:台湾大学、米ニューヨーク大学
- 現職:新北市を退任
- 経歴:元国民党党主席
- 政党:国民党
- 対日:非日本的
新北市長を退任して、総統選挙への足場固めをしているとされており、以下で述べる韓國瑜に次いで国民党の中では人気No.2であり、次期総統選挙の候補者の一人。
韓國瑜
- 生年月日:1957年6月17日
- 学歴:東呉大学、政治大学
- 現職:高雄市長
- 経歴:元台北縣議員
- 政党:国民党
- 対日:中立
現在、最も乗りに乗っている政治家で高雄市長を務めています。
国民党の中では比較的若く、現状では最も勢いがあるため、総統選挙に立候補すれば当選する可能性が最も高いと見られています。ところが、高雄市民からは高雄市長を全うすべきという声が多いため、逆に総統候補としては不支持率が高いのが現状。
呉敦義
- 生年月日:1948年1月30日
- 学歴:台湾大学
- 現職:国民党党主席
- 経歴:元台北市議会議員、南投県長、高雄市長、副総統など
- 政党:国民党
- 対日:非日本的
馬英九政権の時の副総統で、今や国民党のドンという存在で、現在は国民党の党主席を務めています。
国民党からの総統候補の一人かと思われていますが、国民からの人気があまり高くないため、総統選挙には立候補しないのでは…。
王金平
- 生年月日:1941年3月17日
- 学歴:台湾師範大学
- 現職:立法院長を退任
- 経歴:元高雄縣工業会理事長
- 政党:国民党
- 対日:中立
国民党の中では穏健派の重鎮的な存在ですが、国民党の政治家でありながら日本の政治家との交流もあり、バランス感覚に優れたイメージが強いですが、国民党内の他候補ほどは人気が高くない。
柯文哲
- 生年月日:1959年8月6日
- 学歴:台湾大学
- 現職:台北市長
- 経歴:医師
- 政党:無所属
- 対日:日本寄り
次期総統選挙の候補(予定)者の中では、唯一、無所属の政治家で、現在は台北市の市長を務めています。
若年層からの人気が高く、最近では総統選挙に立候補すれば、当選するのではないかとの報道もチラホラ聞かれるようになりました。
中国との関係では曖昧な対応で分かりにくいと批判されることもありましたが、お茶目な性格が市民からの支持を支えているイメージです。
民進党との選挙協力をせずに、単独で立候補をして、民進党と国民党の両党がどちらも選挙戦略に失敗をすれば、台湾初の政党に属さない無所属からの総統が誕生するかもしれません。
次期総統は誰?
2019年の現時点では誰が次期総統選挙の候補者として支持率が高いのか?
(引用元:TVBS新聞網)
TVBSのアンケート調査に依ると、上記のように、各政党・政治勢力から誰が立候補するのかにより、当選予測シミュレーションの報道がされています。
現状では、まだ誰も出馬表明をしておらず、誰が立候補するのかも決まっていない状況ですが、マスメディアの報道が先行して過熱しつつあります。
2019年2月時点では、同アンケート結果によると、圧倒的に支持率を得ているのが、柯文哲台北市長です。
唯一、柯文哲市長の対抗馬として、支持率を超えているのが韓國瑜高雄市長となっています。
いずれの候補者の支持率のシミュレーションでも、民進党は敗北するということをアンケート結果では示しています。
もし民進党がこの苦境を覆す機運を盛り上げようとするのであれば、上記の7人の候補者の中では、唯一、台湾独立を明確に示している蔡英文総統が「独立」を争点にするかどうかでしょう。
上記のアンケート結果から現時点で推測されることは、韓國瑜が国民党の候補者として立候補した場合は韓國瑜、それ以外の候補者の場合は柯文哲が立候補するのであれば柯文哲が当選しそうな流れができつつあるというのが現状です。
中国の国力が強まる中、中国との関係を含めて、2020年の台湾総統選挙は台湾の将来の方向性を決めることになるかもしれない重要な選挙になります。
「台湾独立」「両岸関係」「経済・景気」「社会保障」など様々な観点から選挙の争点が重要になります。争点として何に重点を置くのかによって、選挙の風向きが大きく変わりそうな雰囲気がします。
現在は日本とも友好な関係にありますが、どの政党が支持されるのか、誰が候補者になるのかにより、日本と台湾との関係も変わってくることが予測されます。
選挙権を持つ台湾人の一人ひとりの意思が将来の台湾を決める総統選挙の2020年1月までもうすでに1年を切っています。
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