台湾移住後の中国語習得プロセスの成長曲線と語学習得に必要なこと

2013年の2月に台湾移住を始めて3年が経過しました。この3年間の中国語学習の経過を振り返っておこうと思います。台湾暮らしでの3年間が過ぎてしまえば、思った以上に時間の経過が速く感じ「あれっ!もう3年も経ったのか。」というのが正直な感想です。

思い起こしてみると、いろいろなことが起こったことに改めて気がつきます。それは良いことも悪いことも含めて…。それだけ、濃密な時間を過ごしたということになるのかもしれません。

 

台湾移住後の中国語習得プロセスで必要なこと

台湾移住1年目の勢いと突破できない壁の間で

台湾に来て直ぐに、大学附属の語学学校へ通い中国語の語学研修を受けました。

今振り返ってみても、その当時の私は、先ずは中国語を何とか身に付けようと意気込んでいたように記憶しています。実は、台湾移住前に語学習得の下準備として数ヶ月間ほど、YouTubeなどのウェブサイトを利用し、独学で中国語を学習していました。ところが、台湾に来て語学学校で学び始めると、独学で学んだ中国語が全く使えなかったりしました。

台湾移住後には、某大学附属華語中心(中国語語学学校)に6ヶ月間通学したのですが、自分の中国語の成長曲線について考えてみると、やはりその6ヶ月間の中国語学習が最も密度が高かったと感じます。一緒に学ぶクラスメートと私に中国語を教えてくれた教師の方に恵まれたのだろうと思います。

そして、その後、再び独学で中国語を学ぶことになったのですが、その前の6ヶ月間の習得速度が順調だったことと、6ヶ月間でやり切った感があり、独学による中国語学習は徐々に学習進度が落ちて行き、停滞することになっていきます。

いわゆる、語学習得の壁というものです。勉強しても勉強しても、一向に中国語が脳に響きません。そうこうしている内に、周りの人からは、もっと勉強しないと身に付かないなどの雑音が煩く感じるようになり始めました。そのため、一旦学習速度を大減速させて、のんびり生活する中で必要な言葉だけに語学学習の範囲を狭めることにしました。

というのも、語学習得では、余りにも短期間で多くの単語や表現を頭に詰め込みすぎるとオーバーフローの状態に陥り、一時的に脳にインプットされたことが時間経過と共に一気に溢れ出ていってしまうという現象が起きます。その当時の私もそのような現象を感じて、必要最低限の語学学習に重点を置くことにしたというわけです。

2年目の苦悩と中国語での日常会話が少しは聞き取れるように

台湾移住も2年目に突入し、ここでも中国語能力があまり伸びないため様々な葛藤がありました。ところが、とうとう中国語でのコミュニケーションを実践せざるを得ない状況が起こりました。

それは、台湾の大学で日本語を教えるという仕事を始めたためです。その当時、台湾の大学で非常勤講師として勤務することになった時の応募から大学の教壇に立つまでの体験記は下記で紹介しています。

≫≫ 台湾で日本語教師をしてみたら

台湾の大学で日本語を教えるようになった時期は、台湾移住後2年半後くらいのタイミングでした。しかも、教える科目は日本語を今まで一度も学習したことがない学生ばかりの入門者です。

日本語だけで日本語を教える直接法という教授法で進めるにも、私には全く日本語を教えた経験がなかったため、かなり苦労しました。そのため、結局、授業では今まで私が学習した非常に簡単な中国語だけを使いコミュニケーションを取りながら進めていかざるを得なかったことが蘇ってきます。

日本語を一度も教えたことがないにも関わらず、日本語を教えなければならなくなった経験は、全く意図せず私の中国語でのコミュニケーション能力を僅かながら向上させる要因になりました。

授業中、学生たちには日本語で話しても通じないため、めちゃくちゃな中国語で説明した時には、学生たちがポカ~ンと口を開けて、私を凝視している状況を思い出すだけで冷や汗が出てきます。

そんな経験を何度かすれば、自然と授業で必要な中国語は練習せざるを得なくなり、半年後くらいには授業で必要な最低限の中国語くらいは身に付いてしまっていたのは、幸か不幸か、語学学習の賜物と言うよりも、実践の場で叩き込まれた経験によるものだったのでしょう。

台湾移住3年間での中国語コミュニケーション能力の変化

大学で日本語を教えるようになって以降は、特にYouTubeを見たりなどの暇つぶし学習などをしていました。とは言うものの、それ以外の座学のような、表立った中国語学習はしていませんでした。

そのため、3年目では中国語の単語や表現などの新たな言葉の習得は皆無に等しい状況でした。それでも、日常生活の中で受動的に見たり聞いたりした時には、独り言をつぶやくように発音練習を兼ねた脳内トレーニングは断続的に続けていました。

そして、とうとう3年間が経過しようとしていた時期に、受動的学習法が功を奏したのか、バスや電車の中で隣の人が交わす簡単な日常会話程度であれば、特に意識して聞き取ろうとしなくても、会話の内容が脳に響くようになり始めたような気がします。

今までは、何とか学んできた中国語を聞き取ろうと必死になっていたのですが、脳にストレスが掛かり力が入れば入るほど、全く相手の言っていることが脳に吸収されていかないイメージでした。

ところが、脳がリラックスしている状態であれば、自然とスポンジに水が吸い取られていくようなイメージで、中国語が脳に吸収されていく感覚を感じることが出来ました。ここまで来るのに丸々3年も掛かりました。

とは言っても、まだまだ日常会話程度の中国語でしか、そのような感覚を感じられないのは、圧倒的に台湾人の方が普段使っている単語や表現を脳内にインプットできていないためなのかもしれません。学習好きな普通の方であれば、1年程度で習得されるレベルかもしれませんが、私はその3倍も掛かってしまったということになります。

外国語コミュニケーション能力を向上させた5つのポイント

1年後あるいは2年後に改めて自分の中国語コミュニケーション能力を振り返った時のために、現時点で私が思い付く中国語学習の重要ポイントを挙げておきます。

  1. 会話必要な基本文法をしっかりと身に付けておく
  2. 台湾人の方が良く使うフレーズを覚える
  3. 日常生活で使われる単語と表現に絞って暗記する
  4. 台湾で話されている単語や表現を出来るだけ多く聞く
  5. 実践の場で自分が使える言葉で相手に伝える訓練をする

最後に一言付け加えておきます。
「戦場に立てば、必要最小限の武器でも、最大の戦績を挙げることが出来る!」

 

中国語学習の動機から分かる語学習得の成長曲線

中国語学習の動機から語学習得の成長曲線を考えてみたいと思います。初めて中国語を学習し始めたのは社会人大学院生の頃でした。その切っ掛けや動機についてですが、一般論として物事を始める時に動機は非常に重要でしょう。

日本に住んでいた時の中国語に関する考え

当時のブログ記事には、以下のように綴られていました。

台湾人妻と国際結婚している以上、最低1年に1回は台湾に足を運び、台湾の家族や親戚、嫁殿の知人たちに会ったときに、簡単な日常会話くらいはできたほうがいいんじゃない?位の動機です。

そして、更に以下のような目標を立てたと綴られていました。

しかし、折角、時間を割いて学習を始めるのであれば、台湾人という語学の先生が常に隣にいるのに、いい加減に勉強をするのはもったいない。そんな訳で、1つ目標を立てました。その目標は、自己紹介や簡単な日常会話くらいはできるようになることです。

上記の通り、日本在住の時には中国語の必要性を感じなかったため、ほとんど学習する考えがないことがよく分かります。

中国語学習の切っ掛けは?

学習の切っ掛けは、その当時、通学していたビジネススクールで中国語クラスが開講されていたからです。簡単に、半年間、民間の語学スクールに通ったらいくらになるか?を計算してもたところ、週1回で5~10万円程度は費用が掛かるという試算もしていたようです。その当時、大学院では、中国語クラスを受講しても、しなくても授業料は同じだったため、受けた方が儲けものかな位の気持ちで受講していたとも綴られていました。

そして、日本にいる当時を振り返ってみると、生半可に週に一回90分の授業を受講するだけで、聞く話すためのコミュニケーション能力は全くのゼロでした。なんとか、日本語と全く同じ発音での挨拶が何とかできるか出来ないか程度の中国語しか身に付けることは出来ませんでした。それもそのはずです。動機も目標も必要最低限のレベルに設定していたためで、大きな目的もなく語学力が飛躍的に向上することはありえないですからね。

台湾移住1年半後の中国語能力は?

以上のことを踏まえながら、現状の中国語能力の振り返りをしておきたいと思います。恐ろしいことに、台湾に移住して、すでに1年半以上が経過して、来年には3年目に突入します。そして、台湾で正式に語学学校に通学した期間は6ヶ月間だけですが、その後、独学で学習を続けようとしても、大きなモチベーションも目標もない中では、なかなか続かないものです。

そんなわけで、日々の語学学習は、見たもの聞いたものを、その都度頭の中で繰り返しながら、時にはブツブツと念仏を唱えるように記憶に残す努力を少しだけしているというのが現状です。

その甲斐があったかどうかは分からないですが、最低限の日常会話くらいは、何とか聞き取れるようになったような気がします。その反面、中国語が口を突いて出てくるようなことはなく、それどころか、発音が悪いため全く相手に自分の意思を伝えられないなんて事は日常茶飯事です。

子供と大人の語学習得プロセスは異なる

やはり、子供のようにお友達と遊んでいる中で、知らないうちに語学が身についていた、というような夢のような話はありえないですね。

クリティカルエイジと言われている語学が身に付けられる限度年齢を超えてしまった人にとっては、非常に強い動機と目的意識と目標設定といった語学習得に対する戦略を立てないと思うようには語学は身に付かないのでしょう。

そろそろ、台湾に移住して2年が経過しようとしている現在、日本にいた時の曖昧な切欠から始まった中国語学習は、今後中国語が身に付けられるか身に付けられないかの分岐点にさしかかろうとしているように感じます。

そろそろ、今何かを変えないと、3年後も5年後も同じようなことをつぶやいている自分が想像できます。

関連記事:中国語入門者のための中国語会話習得法

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