台湾での外国人労働者の受入れ状況に関して台湾現地からレポートします。
台中市の外国人労働者(外籍労工、外労)の国別の労働者数を新聞で目にしたため、台中市では外国人労働者の人口比率が、どれくらいなのかを調べてみました。
さらに、10年以上前の2004年末時点の台湾の外国人労働者の比率、および2015年の日本の外国人労働者の比率、さらに日本の外国人受け入れの状況を比較してみました。
その結果から見えてくる、台湾と日本の外国人労働者の受け入れ状況の違いなどを簡単にご紹介します。
2004年末時点の台湾の外国人労働者の状況|外国人労働者の比率は何%か?
独立行政法人労働政策研究・研修機構様の情報を基に、台湾での外国人労働者(2004年時点)の概要をまとめておきます。
外国人受け入れに関する概要
- 目的 : 国内労働力不足の問題の解消
- 制度 : 1989年以降外国人労働者の受け入れ開始
- 業種 : 一定の単純労働分野において受け入れ開始
- 期間 : 就労期間は最長3年
- 協定国: タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、モンゴルとの2国間協定
2004年時点の外国人受け入れ状況
- 外国人労働者受入れ数:約31万4000人
- 国籍別外国人労働者:(1)タイ(33.53%)、(2)フィリピン(29.03%)、(3)ベトナム(28.74%)、(4)インドネシア(8.69%)
- 業種:(1)建設業、(2)製造業、(3)看護・介護、(4)家事労働者、(5)船員
2004年時点での台湾の総人口は、2,269万人ですので、外国人労働者の人口比率は、1.38%程度になります。
直近の台中市の外国人労働者比率はどれくらい?
直近の台中市の外国人労働者は82,000人強とされています。
そして、国籍別の主な外国人労働者は下記の通りとなっています。
ベトナム:32,000人強(39%)
インドネシア:27,000人(34%)
フィリピン、タイ…
台中市の2015年の総人口は272万人ですので、外国人労働者の比率は3.0%程度となっています。
上記の10年以上前の2004年(台湾全体)と比較すると下記のように外国人労働者の比率は2倍以上に増加しているのが分かります。
- 2004年: 約1.38%
- 2015年: 約3.01%
日本の外国人労働者の比率はどれくらいか?
日本の外国人労働者の人数を調べてみると、2015年では90万人強だということでした。
この数値には不法労働者を含んでいませんので、実際には外国人労働者は多いのかもしれません。
2015年の日本の総人口が1億2,670万人ですので、日本での外国人労働者の比率は0.71%程度です。
このデータを基に、直近の台湾と日本の外国人労働者比率を比較すると下記のようになります。
- 台湾: 約3.01%
- 日本: 約0.71%
上記のように、台湾の総人口に占める外国人労働者の比率は、日本との比較では約4倍以上になっている状況です。
台湾での外国人労働者数の推移
台湾での外国人労働者数の時系列(2002年~2017年)の推移を統計データで確認してみましょう。
- 2010年以降は外国人労働者数は増え続けている
- 2014年には外国人労働者数が原住民数(約54万人)を越した
- 2017年の外国人労働者数は676,142人
- 国籍ではインドネシア、ベトナム、フィリピン、タイの順で多い
年 | 外国人労働者 (人) |
---|---|
2002 | 303,684 |
2003 | 300,150 |
2004 | 314,034 |
2005 | 327,396 |
2006 | 338,755 |
2007 | 357,937 |
2008 | 365,060 |
2009 | 351,016 |
2010 | 379,653 |
2011 | 425,660 |
2012 | 445,579 |
2013 | 489,134 |
2014 | 551,596 |
2015 | 587,940 |
2016 | 624,768 |
2017 | 676,142 |
(引用元:台湾政府統計データ)
実際に台中市在住の私が感じる外国人労働者の状況は?
日本で外国人労働者と言えば、ブラジルを初めとする日系南米人を思い浮かべます。
それ以外の場面では、最近では介護士や看護師も少しずつ増えてきているのでしょうか。
日本でも観光立国を目指して、外国人観光客は急激に増えていますが、上記のように外国人労働者は、それ程増えていないのが現状です。
一方、台湾では外国人労働者は人口の3%程度まで増加しています。
実際に、週末などに台鐵台中駅前あたりを夕方以降、歩いてみると東南アジアから来台したと思われる外国人労働者で溢れかえっています。
と言うのも、その辺りは東南アジアから移民した方たちが定住して、お店を開いたりしているため、ちょっとした外国人街になりつつあります。
台中市では、介護や家政婦などの外国人労働者が増え、彼らの台湾語でのコミュニケーションが難しいという事情があります。
そのような問題を解決するために、英語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語の4ヶ国語の日常生活会話ガイドを作成したとのことです。
時代が移り変わるのにつれて、社会を構成する人も少子高齢化によりお年寄りが増え、その方たちを支える外国人の受け入れにより、社会の形も変わっていくのでしょう。
台湾の外国人の受け入れ状況から生まれた街の形は、将来の日本の街の形を映しているのかもしれません。
関連記事:台湾の外国人労働者(外労)の雇用とその費用と外労の賃金
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