為替相場の円安傾向は常態化していますね。
そこで、台湾で暮らしながら、偶に日本へ一時帰国する日本人の視点から為替変動が海外在住邦人にどのように影響を与えているかということについて紹介します。
為替に関する、一般的な内容ですので、海外在住経験者や海外旅行が好きな方などは特に面白くもない内容になるかもしれませんので、予め断っておきます。
また、台湾の通貨について全く分からない方は、下記の記事が参考になりますので、ご一読ください。
過去3年間の日本円に対する台湾元と米ドルの為替変動
過去3年間の台湾元と米ドルが日本円ではいくらだったかということを3年間の時系列のグラフで振り返っておきましょう。
赤線が台湾元で青線が米ドルで、台湾元と米ドルが連動していることがよく分かります。つまり、台湾元の変動は米ドルの変動を注視しておけば、凡その動きはわかると言うことになります。
過去5年間で最も台湾元が低かった時期は、約5年前で1台湾元あたり約2.6円/元でした。その後、台湾元の価値は右肩上がりに上昇しました。
現在では、5年前と比較すると、台湾元の価値は約50%程度上昇し、1台湾元あたり約3.5~4.0円/元となっています。
つまり、台湾元の価値が上がった(外貨高)反面、台湾元に対する日本円の価値は下がったこと(円安)になります。
ちなみに、過去30年間の台湾元の時系列の為替変動は台湾元安で推移しています。
海外在住などで為替変動の影響を受ける方たち
- 外貨建てで給料を貰っている駐在員
- 円建てで給料を貰っている駐在員
- 現地採用組の会社員
- 留学している日本人の学生
- ロングステイなどの長期滞在者
- 一般的な現地台湾人
1.外貨建てで給料を貰っている駐在員
台湾の駐在員の場合は、台湾元建てで給料を貰っている方が多いかもしれません。勤め先の会社などにより、月給は台湾元建てでボーナスや駐在手当てなどは日本円建てで貰っている方もいるかもしれません。
仮に全ての給料を台湾元で給料を貰っている場合は、外貨建てで給料を貰っているため為替相場の円安傾向により、価値の高い台湾元を受け取り、その台湾元で価値の低い日本円を購入することも出来るため、現在の円安傾向はかなり有利な状況となっています。
つまり、価値の高い台湾元で給料を貰い、日本への帰国時は、価値の低い日本円を購入することが出来るということになります。
仮に5年前も現在も同様に台湾元建ての100元の年収の場合は、下記のようになります。
- 5年前: 100万元(260万円)
- 現在 : 100万元(400万円)
2.円建てで給料を貰っている駐在員
台湾に駐在している方で日本円建てで給料を貰っているいる方は少ないかもしれませんが、もし仮に全ての給料を日本円建てで貰っている場合は、現地での生活費を賄うために、台湾元を購入しなければなりません。
その場合は、現在の円安傾向の下では、安い日本円で高い台湾元を購入することになるため、非常に不利な状況となっています。
仮に5年前も現在も同様に日本円建ての260万円の年収の場合は、下記のようになります。
- 5年前: 260万円(100万元)
- 現在 : 260万円(65万元)
3.現地採用組の会社員
台湾の現地企業に現地採用で勤めている方は、基本的には日系企業の勤務であっても給料は現地の通貨建て、つまり台湾元建てで給料を貰います。現地採用組日本人の方には、現在の円安傾向の為替相場がどのように映るのでしょうか?
大きく二つのグループに区分されることでしょう。つまり、為替相場は全く関係ない日本人と円安の為替相場が少し有利になる日本人に分けられます。
為替変動が全く関係のない日本人とは、生活拠点を台湾に移し、今後も台湾でずっと生活する予定の日本人であれば、給料に対しては為替変動の影響を受けることはありません。
一方、日本に帰国したり、家族が日本に居住していて、仕送りなどをする必要がある方などは、上記1の「外貨建てで給料を貰っている駐在員」と同じ状況になります。
つまり、高い台湾元で安い日本円を購入することになるため、両替する金額によっては、円安傾向はかなり有利になる場合もあります。
仮に5年前も現在も同様に台湾元建ての100元の年収の場合は、下記のようになります。
- 5年前: 100万元(260万円)
- 現在 : 100万元(400万円)
※台湾で生活をしている限り、為替変動の影響は関係ありませんね。
4.留学している日本人の学生
日本から台湾へ留学をしている学生の場合は、多くの場合は日本から仕送りを受けて台湾で生活することになります。
この場合は、現在の円安傾向の下では、安い日本円で高い台湾元を購入することになりますので、非常に不利な状況になっています。
仮に5年前も現在も同様に1年間の生活費も含めた留学費用が100万元の場合は、下記のようになります。
- 5年前: 100万元(260万円)
- 現在 : 100万元(400万円)
留学する学生の場合、上記の金額は駐在員の場合とは逆に、受け取る金額ではなく支払う金額になるため、3年前には260万円で済んでいたい留学費用が、円安傾向の下での現在は400万円になってしまいます。
5.ロングステイなどの長期滞在者
台湾でロングステイをする日本人の場合も、上記学生の場合と同様に、台湾で給料を貰うのではなく、台湾で消費する立場になるため、現在の円安の状況は非常に不利となっています。
仮に5年前も現在も同様に台湾での1年間の生活費が100万元の場合は、下記のようになります。
- 5年前: 100万元(260万円)
- 現在 : 100万元(400万円)
6.一般的な現地台湾人
最後に、おまけとして現地で生活する台湾人の場合はどうでしょうか?
基本的に、台湾で給料を貰い生活し続けている限り、台湾人にとっても為替変動の影響は関係ありません。
ただし、昨今の台湾人の日本への観光や日本商品の爆買いに象徴されるように、日本を旅行をしたり、日本製品を購入しようとしている台湾人にとっては現在の円安傾向は非常に魅力的になっています。
現在どこで暮らして、将来どこで暮らすか?
結論として、端的に言えば、日本から日本円を持って台湾で消費するために台湾に来る方にとっては、円安は非常に不利な状況です。
一方、台湾から台湾元を持って日本で消費するためにくる方にとっては、円安傾向は非常に有利な状況です。
また、円安傾向の下では、同じ給料を貰うのであれば、安い日本円で貰うよりも、高い台湾元で貰った方が有利ということになります。
ただし、為替相場は生き物のように日々変動していますので、今後もしかしたら円高になるかも知れません。
そのため、為替変動の影響を受けない仕組みを作っておくことが、生活する上では最も重要になります。
為替の影響を受けない仕組みとは、現在と将来の生活を考慮して、現在台湾で生活していて、将来も台湾で暮らし続けるのであれば、為替相場を気にすることはないでしょう。
ところが、現在台湾で生活していて、将来日本で生活する予定であれば、将来必要な資金は日本円で確保しておく方が不安が少なくなります。
その逆もまた然りです。つまり、生活する場所で必要な通貨で必要な資金を確保することがポイントになりますね。そのため、投資ではなく将来の資金を担保するという意味でFXを上手に利用するのも一つの方法でしょう。
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