台湾でのスープの概念と日本でのスープの概念の違いと食し方についてのレポートです。日本でスープと言えば、お味噌汁のことでしょう。台湾でも日本のスープと言えば、ほとんどの台湾人はお味噌汁を連想します。
それでは、台湾でのスープと言えば、何でしょうか?台湾は食の宝庫と言われるだけあって、いろんな種類のスープがあります。台湾のスープを飲み、台湾人のスープの頂き方を観察していると、日本と台湾のスープでは、根本的にスープの概念が異なることに気が付きます。
日本と台湾のスープの概念の違いは?
日本人が感じる台湾のスープに対する印象は、一言で言えば、「台湾のスープは味が薄い」に集約されます。そして、台湾人の方にとっては、味噌汁やラーメンなどの日本のあらゆるスープは「塩辛い」と感じるようです。
なぜ、スープに関して、このような違いが生まれるのでしょうか?それは、食文化に対するスープの位置付けが台湾と日本では異なるからではないかと思います。台湾と日本のスープの違いを挙げておきましょう。
- 味の濃さ
- 飲むタイミング
- 食の位置づけ
日本と台湾のラーメンのスープの違いは?
日本の味噌汁をはじめとした汁物は、台湾のスープと比べると味が濃いのが特徴です。例えば、日本のラーメンと台湾の日本式ラーメンを比べると、明らかにスープの味付けの濃さが異なります。そのため、台湾人の方が日本へ旅行へ行き、本場の日本のラーメンを食した場合は、ほとんど全ての台湾人は塩辛いと感じます。
逆に、日本人が台湾の日本式ラーメンを食べてみると、明らかにスープの味が薄く感じ、期待外れだと思ってしまいます。台湾の多くの日本式ラーメン店のスープは台湾人向けにまろやかで薄めの味付けになっているようです。これは、台湾と日本ではスープ(汁物)の食文化が異なるからではないかと思います。
台湾では、スープは料理を全て食べ終わった後に、純粋は「飲み物」として食しますが、日本では、一汁三菜と言われるように、ご飯、汁物1点、おかず3点が1セットになって初めて日本料理が成り立ちます。台湾では、「ご飯とおかず」を食べ終わった後に「スープ」の順番で食事が進んでいきます。すなわち、和食では汁物もご飯と一緒に頂くおかずの一種とも言えましょう。
スープは台湾では「飲み物」、日本では「食べ物」
また、台湾ではどんなに暑い真夏でも、どこで食事をしてもスープが用意されていたり、店員からスープの注文を尋ねられます。本場の中華料理を食したことがある方であれば、気が付きますが、ほとんどの台湾人は食事中にお水やその他の飲み物を口にしません。その代わりとして、食後のスープがあるのだろうと思います。
台湾では日本のようには、ご飯とスープを一緒に召さないため、スープの味付けは非常に薄くなっているのでしょう。つまり、台湾でのスープの位置付けは、お茶と同じように、純粋な飲み物のようです。
日本では、昔から定食文化が根付いており、どの時代でもご飯と汁物とおかずのセットで一つの料理が成り立ちます。
香港ではスープは食前に
話は変わりますが、台湾と同じ中華文化圏の香港では、スープは食事の前に提供されるそうです。英国支配時代の影響を受けた西欧式の食習慣が根付いたためなのかは分かりませんが、同じ中華圏の食文化でもスープの位置付けは随分ところなるものです。
- 香港でのスープの位置づけ:食前
- 日本でのスープの位置づけ:食事中
- 台湾でのスープの位置づけ:食後
私の台湾人の妻は、日本では日本のお味噌汁をどのように飲んでいたか思い出してみたのですが、ほとんどの場合は食事が終わった後に味噌汁だけをのんでいました(笑)。このように、食後に味噌汁だけを飲めば、誰でも塩辛いと感じるのは当然でしょう。
台湾の食堂のスープを画像で紹介
台湾のきゅうりのスープ
スープの具はきゅうり、味は薄く、わずかに塩味がするだけのシンプルな台湾スープ。
台湾の大根のスープ
スープの具は大根、味は更に薄く、ごくわずかな塩味とショウガの風味が強くするシンプルな台湾スープ。
台湾の白苦瓜のスープ
スープの具は白苦瓜(白ゴーヤ)、味は薄く、スープのベースは塩味で白苦瓜の苦味が強めの味がする台湾スープ。
台湾の金針花のスープ
スープの具は金針花という食用ユリの一種。味は薄く、わずかな塩味とショウガの千切りがあるため、味に若干インパクトがあるシンプルな台湾スープ。
猪血湯
豚の血を材料として作った「猪血」がスープの具として使われているスープです。
このスープの具は豚の血の具、生姜の千切り、セロリ、鹹菜(シェンツァイ)という酸っぱい漬物のぶつ切り。
上記の具に、豚骨を煮込んだ薄い出汁に塩と胡椒のような中華香辛料で味を付けたスープで、少しは味気のあるものです。
しじみスープ
しじみスープの具はシンプルで、しじみと生姜の千切りのみで、味付けは僅かな塩のみのスープ。味は少し薄いですが、磯の香りがほんのりとして、油っこさがないため、日本人にはもっとも口に合うスープの一つ。
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