台湾の大富豪にはどのような人で、彼らの資産はどれくらいなのか?
このようなことに興味を持たれる方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は最新の台湾の富豪たちの資産額をベースにしたランキングを調べてみました。
また、資産家が誰で、どれくらいの資産額があるのかだけではなく、彼らがなぜ大富豪になりえたのかも考察してみようと思います。
(参照元:蘋果日報)
台湾の大富豪の資産ランキングトップ10(2017年)
2017年の台湾の富豪ランキングは、下記の通りでした。
台湾ドルでの表示と日本円(3.7円/台湾ドル)での表示をしています。また、富豪者たちが所有している会社を所属として表示しています。
順位 | 名前 | 所属 | 業種 | 台湾元(億元) | 日本円(億円) |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 郭台銘 | 鴻海精密機械 | 製造受託 | 1544.00 | 5713 |
2位 | 張忠謀 | TSMC | 半導体 | 287.19 | 1063 |
3位 | 蔡明興 | 富邦グループ | 金融業 | 278.73 | 1031 |
4位 | 陳世卿 | 大立光電 | 電気製品 | 271.63 | 1005 |
5位 | 蒋翠英 | 大立光電 | 電気製品 | 266.37 | 986 |
6位 | 林百里 | 廣達グループ | 電気製品 | 257.34 | 952 |
7位 | 林恩平 | 大立光電 | 電気製品 | 242.00 | 895 |
8位 | 王文淵 | 台塑グループ | 石油化学 | 211.46 | 782 |
9位 | 羅明和 | 正新 | タイヤ | 194.34 | 719 |
10位 | 蔡明忠 | 富邦グループ | 金融業 | 175.76 | 650 |
ちなみに、日本人の長者番付TOP5の2017年の資産額(億円)は、下記のようになっています。
1位 孫正義 22640
2位 柳井正 18200
3位 佐治信忠 14650
4位 滝崎武光 13880
5位 三木谷浩史 6770
つまり、1位の孫正義氏は2兆2,640億円でした。
台湾の富豪の11位以下の主な人物
11位以下にも、下記の富豪たちの所属は大立光電となっており、1位から20位までの20人中、6人が大立光電となっています。ちなみに、18位の林耀英さんは大立光電の創業者です。
- 林恩舟(11位)
- 謝銘源(13位)
- 林耀英(18位)
大立光電とはどのような会社なのか?気になりますね。そこで、少しだけ調べてみました。
光学レンズ・モジュール、光電子部品の製造販売
主な製品は、液晶プロジェクター、スキャナー、光学式マウス、デジタルスチルカメラ (DSC)、DVD、発光ダイオード (LED)、カメラ付き携帯電話機など。(参照元:大立光電)
つまり、スマホをはじめとした電子機器を中心としたガジェットを製造販売している会社です。
台湾の富豪たちの横顔
改めて、台湾の富豪たちがどのように成功したのかを知るために、彼らの横顔を整理しておきましょう。
一位 郭台銘
- 鴻海精密工業の創業者でありCEO
- 会社の設立は1972年、当初はテレビの部品製造開始
- その後、1991年に台湾証券取引所に上場
- パソコン需要の時流に乗り、部品製造で成功
- その後、パソコンのEMSで企業規模を急拡大し、世界NO.1へ
- 2016年、シャープを買収。
二位 張忠謀
- TSMC(台積電)の創業者
- 2018年に董事長から身を引き経営の一線から引退
- 米国の大学・大学院卒業後、アメリカの企業に就職
- その後、半導体企業の社長に就任。
- 1987年に台湾の工研院との共同で半導体製造会社を設立
- 2002年、TSMCは半導体製造で世界トップ10入り
- 2014年、TSMCは半導体製造で世界トップ3へ
三位 蔡明興
- 國泰金融グループの子孫
- 蔡萬才(創業者)の次男
- 蔡明忠は実兄
- 役職:富邦金控董事長、台灣大哥大副董事長、香港富邦銀行董事長
四位 陳世卿
- 大立光電の筆頭株主
- 台湾大学卒業後、渡米、米国の大学院を卒業
- 卒業後、米国のコンピューター企業に勤務
- 1980年代の最も優秀なスーパーコンピューターエンジニアとして選出
- 1980年、林耀英と台中で大根精密光學股份有限公司を設立
- 1987年、大立光電股份有限公司を設立
- 2002年、台湾証券取引所に上場
五位 蔣翠英
- 陳世卿(大立光電の創業者)の配偶者
- 大立光電の株主所有比率順位2位
六位 林百里
- 廣達集団の創業者、グループ会長
- 三愛電子にエンジニアとして就職後、工場長に就任
- 1988年、梁次震らと廣達電子を設立
七位 林恩平
- 大立光電の社長
- 大立光電の株主所有比率第3位(4.49%)
八位 王文淵
- 王永在(台塑企業前副董事長)の長男
- 王永慶(台塑企業創業者)の甥
- 米国留学後、台湾に帰国、就職
- 台化公司にて紡績業から塑膠石化業で成功
- 2006年から台塑グループ会長
九位 羅明和
- 羅結(正新橡膠=台湾のタイヤメーカーの創業者)の長男
- 羅才仁は実弟
- 正新輪胎の株主
十位 蔡明忠
- 蔡萬才(創業者)の長男
- 蔡明興は実弟
- 富邦集団董事長
台湾の富豪から見えてくる台湾企業の強みと弱みとは?
台湾の富豪のトップ10名の顔ぶれから分かることは何でしょうか?
トップ10の富豪に共通して言えることは、株式公開により所有株式の評価額が上がったことにより、資産が増えたということは言うまでもありません。
その中でも、トップ10の富豪に共通していることは、所有会社(所属)から見て取れます。トップ10の10人中の6人が電気製品に関連した会社の創業者あるいは創業者の親族ということ。
詳しく見ていきましょう。以下の企業は全て、スマホや家電製品の製造、部品、製品の製造会社になります。
- 鴻海精密工業 :郭台銘
- TSMC(台積電):張忠謀
- 大立光電 :陳世卿、蒋翠英、王文淵
ちなみに、11位~20位の富豪の10名中の5名が電気製品および電気製品に関連した企業の創業者になっています。
いかに、台湾の企業が半導体を中心にした電気製品や精密機械などのハイテク技術分野の世界的な時流に乗っているかということがよく分かります。
見方を変えると、このような半導体中心のハイテク技術分野に偏重した産業構造になっているということもうかがえます。
世界的な産業の潮目が変わった時の各企業の対応が今後の台湾経済に大きく影響を及ぼすとも考えられます。
コメント
的確な内容の記事で、感心しました、
よく、分析されていますね
あと、この富豪の方々は、
東日本大震災の時、たくさん寄付をいただいたのを
覚えています
コメントありがとうございます。
あまり気にしていませんでしたが、大企業や富豪の方を並べてみると、仰られる通り、多くの企業や富豪から支援を頂きているものですね。
今回の台湾での花蓮大震災の時には、日系企業からの被災支援もメディアで大きく報じられていました。