台湾のお米と食卓や食堂で出されるご飯について、私の台湾での暮らしの経験を基に、お米の味と品種を中心に台湾現地からレポートします。
日本も台湾も食文化という意味では主食は小麦ではなくお米です。お米が主食ですが、中国の東北部から伝わった小麦を主体にした食文化もあります。例えば、饅頭(マンドウ)や包子(パオツ←肉まんなど)や麺類です。
それはさて置き、台湾は元来、稲作文化のため、お米を主食としてきましたし、現在でもお米が主食です。実は、現在、台湾で食されているお米は日本統治時代に日本人が品種改良した種が大元となっているのです。
台湾のお米の歴史とは?
お米の品種は大きく分けると2つの品種があり、一つは日本で食されているジャポニカ米で、もう一つはインディカ米ですね。インディカ米はタイ米とも言われたりして、日本が米の貯蓄量が少なくなった時に一時的にタイ米が緊急輸入された時もありましたね。
それでは、台湾で食されているお米はどちらのお米でしょうか?
もちろん、日本と同じジャポニカ米です。ところが、歴史を紐解いてみると、昔は台湾ではインディカ米が現地の食用として作られていたとされています。
ところが、日本統治時代に日本の米不足を補うために、日本への輸出用に台湾でジャポニカ米の栽培をしたのが始まりだとされています。台湾と日本では気候が異なるため、当時は日本から持ち込んだジャポニカ米の稲作は上手くいかなかったと記録されています。
そして、台湾のお米と日本から持ち込んだジャポニカ米を交雑させることに成功して、「蓬莱米」として作付けに成功したのが台湾でのジャポニカ米の起源だとされています。
台湾のお米は美味しい?
現在の台湾のお米の主流はジャポニカ米ですので、外見は日本のお米とほとんど変わりません。今まで、あまりお米や白飯については気にしたことがなかったのですが、ある時を機に外食でお米を食する度に、(偽)お米評論家のようにお米を気にするようになりました。
ある食堂で魯肉飯(ルーロウファン)を食べた時に、お米のニオイとパサパサ感が半端なく、これはダメな奴…と残念な食事をしたのが一つ目の発端です。
そして、その後、ある自助餐で食べた白飯が日本の炊き立てご飯と同じくらい美味しく、ふっくらした炊き上がりだったため、台湾でもお米の品種や炊き方により、ご飯が美味しかったり不味かったりするのかなと思いました。
私は台湾移住当初はあまりお米の味は気にしていなかったのですが、このような2つの小さな出来事を発端にして、台湾のお米を気にして食事をするようになりました。
台湾旅行でご飯ものメニューを食した時に、台湾のお米はパサパサで不味いと感じた方もいると思います。逆に、台湾でいろいろな丼物のご飯を食べても、味やニオイなどはあまり気にならなかった(気付かなかった)という方もいることでしょう。
このことは台湾のお米が美味しいか不味いかの一つの答えだと思います。つまり、台湾では小吃店などでは利益を確保するために、安いお米を使っているお店が多くあります。その一方で、お米の美味しさを看板メニューにしている「池上弁当」というお店もあります。台湾には美味しいお米と不味いお米があるというのが、ド真ん中の答えになります。
台湾のお米と日本のお米の違いは? 値段は?
上記の池上弁当とは池上という場所(台東)で作られた有名な池上米を使用したお弁当のことで、この池上米は日本のお米と同じようにモチモチして、ふっくらしていて美味しいです。
その一方で、ご飯の一粒一粒に粘りが全くなくパサパサの食感で味もヘッタクリもない干からびたような白飯を出してくる食堂もあります。
台湾だから日本だからというわけではなく、使っているお米の質(グレード)が違うため、不味いご飯を給仕してくる食堂やレストランも多いです。一方で、台湾には美味しいお米もあるのが実態です。一般的には、日本のお米の方が水分量が多くモチモチ感も強いですが…。
台湾のお米の値段は、日本のお米の値段の2分の1くらいです。(お米の品質などにより異なりますが)例えば、一般的によく使用されている3kgの白米で180元くらいですので、200円/kg程度です。日本の白米は4,000円/10kgくらいのものが多いでしょうか。そうすると大体日本のお米の価格の1/2程度になりますね。
ちなみに、台湾産で日本のお米と同じような食感で、モッチリとして粘り気のあるお米の種類は、越光米(コシヒカリ)、池上米、台梗九號米などです。
台湾のお米の規格
台湾でもお米に規格が設定されています。厳密に言うと、中華民國國家標準(CNS)という基準によって米の等級や規格が決められています。
(出典:農糧署糧食產業組糧食經營科)
上記の通り、基本的には一等、二等、三等という等級があり、一等が最も品質が良いお米を示しています。これらの等級は水分量や米の粒の形状などによって規定されているようです。例えば、「CNS二等」などと表記されています。ちなみに、等級外は「等外」と表記されます。
販売されているお米の袋には、下記のような項目が必ず表示されています。
- 品名
- 品質規格(等級)
- 内容量(重量)
- 製造年月日
- 保存期限
- 産地
台湾人と日本人のお米に対する考え方の違いは?
ここで一つ気が付いたことですが、一般的に日本人はお米に対して、味やニオイや水分量、ご飯を噛んだ時の食感や風味など繊細な感覚を持って、ご飯を食べる食文化なのではないか…と思った次第です。
それは、例えば、和食には白ご飯に対して、味噌汁やお漬物など、あるいは寿司であれば酢めしと生魚にワサビと醤油というように、お米の味わいを楽しむ食文化があり、その食文化の歴史の中心にお米が位置づけられているように感じます。
それに対して、台湾料理や中華料理にはお米を炒めたり、味を付けたりして調理をしたりすることが多いです。また、台湾人のご飯の食べ方をみていると、ガツガツと早食いの人が多いのも日本人と台湾人のご飯の食べ方の違いですね。
こんな理由で、台湾のお米と日本のお米は同じジャポニカ米で、台湾にも美味しいお米がありますし、不味くて(たぶん)安いお米もあります。台湾と日本のお米の違いは、台湾人と日本人のお米に対する食文化の違いが最も大きいのではないかなと思います。
台湾人が、この店のお米は美味しいな、あの店のお米は不味いな…などと気にしている人はあまり見聞きしないのですが、日本人はレストランなどで外食した時には、お米が美味しかった不味かったと話題にしますよね。これはお米に対する国民性の違いと、その背後にある食文化と食の歴史の違いなのでは…?
コメント
以前高雄の餐店で食べたご飯が美味しくてお代わりしたことが有りました。
確かコシヒカリだったか?美味しいと思ったのは後にも先にも無いのでよく覚えています。私も普段はお米の味には無頓着なので(海外では)不味くても当たり前くらいにしか思ってませんね。台湾のカレーのご飯はインディカ米だったような気がします。
いつもコメントありがとうございます。
台湾のローカル食堂やレストランで、日本のレストランで出されているご飯と同じくらい美味しいお米はあまりないですね。
やはり、美味しいお米はそれなりに値段が高いことと、台湾人のお客さんはそれ程、お米のグレードや味に拘らないというのが大きな理由でしょう。お店もお客も、どうせお金を掛けるなら、お米より料理にお金を掛けるほうが合理的だと思っているのではないでしょうか。
こんにちは。
確かに台湾でご飯がうまいと思ったことがないです。
外食では安い米を水道水(濾過していない水)で洗い、水道水で炊いているんだろうと思います。だから臭くて不味のかな。
私は新潟出身なので魚沼産コシヒカリ(塩沢地区産一番うまい所)を台湾人の嫁に食べさせたらうまくて感動していました。
台湾人のほとんどがブリタ製浄水器を使っていますが、ブリタは中空糸膜を使用していないので、サビや濁りを濾過できません。台湾人は興味がないようですが。
台湾人は日本人ほど食の繊細さに敏感な人が多くはないように思います。
水道水で炊いた白飯とミネラルウォーターで炊いた白飯では全く美味しさが違うと聞いたことがありますが、正にそれですね。
浄水器に関しては知りませんでした。浄水器を通していれば安全だと思っていました…。
台湾と支那は違いますが、 支那のミネラルウォーターは 偽物で 中身は水道水以下です 。
http://jp.ntdtv.com/news/6970/【禁聞】水道水以下のミネラルウォーター%20庶民は何を飲めばいい?
台湾の企業も 拝金主義 なので 台湾のミネラルウォーターも信用していません。
台湾と中国のボトル水に関するコメントと動画の紹介ありがとうございます。
中国の水事情は中国で生活したことがないため、私は事情が分からないためコメントは控えますが…。
いろいろな報道や中国在住者の方の話を聞くと、水に限らず、食品全般に言えることですが、中国産の全ての飲食物は避けたいと思いました。特に、中国産の加工食品は保存や消毒などの添加物紛れの実態を聞いて完全に食欲が失せました。
台湾でも数年前に、食品油を溝(ドブ)から回収して再利用していた等の食品安全問題が発生して大問題になりました。
まだ台湾は膿がマスコミによって出されるため少しはマシですが、現在の中国は経済成長第一主義のため、国(党)によって全ての膿は隠されてしまうのが大きな問題ですね。
私 (日本の米に慣らされた人を含む) はコシヒカリ系のもちもち、ネバネバが、普通で美味しいと思っています。コシヒカリはうるち米にもち米を掛け合わせて、作られたお米の品種です。
コシヒカリが美味しいと良く売れたので、米の品種改良はコシヒカリ系の米に、更にコシヒカリ系を掛け合わせて、日本の米は低アミロースで透明なもち米化競争となり、お米そのものだけで食べられるように作り変えられました。
一方世界の8割で食べられているインディカ米は、炒めたりスープにしたりと、米を食材の一つとして使われています。
日本で販売されている米がもち米との掛け合わせしかない事が、米アレルギーが増えたり糖尿病にかかる人の、増加原因の一つとして考えている医者もいます。
国産のインディカ米を買おうとしても、ほぼ全てにコシヒカリ系を掛け合わせてありますし、輸入されるインディカ米には780倍の関税が掛けられて高く、しかも新しいものはなかなか売っていません。
台湾旅行へ行くので、インディカ米を買えるか、参考にさせて頂きました。
コメントありがとうございます。
私の知る限り、台湾でもジャポニカ米が主流で、インディカ米を食べたことがほとんどありません。
一般的な食品スーパーでは、日本と同様に、ジャポニカ米ばかりです。
大きな総合スーパーなどに行けば、インディカ米も販売されているかもしれません。
《追記》
インディカ米(台湾では長米)も商品数は少ないですが一般の食品スーパーで販売されていました。