ファミリーマートが台湾の全家(FamilyMart)との間で海外配送業に新規参入するのとニュースがありましたので、台湾在住の日本人視点から考えてみたいと思います。日本と台湾間のLCC航空就航便の増便と相まって、日本と台湾の経済交流がますます進みつつあります。
この海外配送事業の主なターゲットは日本を旅行する台湾人観光客の爆買いをターゲットにしたものとのニュースでしたが、台湾在住の日本人にとっても嬉しいニュースです。まだ、サービス内容も料金も決まっていないため、どのような使い方が可能なのか分かりませんが、ある程度の想定をしながら、どのように使ったら便利なのかを考えてみたいと思います。
ファミマが海外配送事業に参入検討 まず主力の台湾から、日本郵政と連携
ファミリーマートが日本郵政グループと連携し、海外の配送事業への参入を検討していることが28日、わかった。国内のファミマ店舗で荷物を預かり、海外のファミマの店頭で受け取れる独自のサービスが柱。平成28年度中に、約3千店ある台湾向けのサービスから導入を始める方針だ。
主に、増加している訪日外国人観光客が大量に購入した土産物を母国の店頭で受け取ることといった利用を想定している。訪日客の利便性を高めることで、店舗の利用につなげ、売り上げの増加などに結びつけたい考えだ。台湾向けのサービスの状況を見て、タイや中国などへの展開も検討を進める。
ファミマの店舗が荷物の預かりと受け渡しの拠点で、国内から海外までの物流は、日本郵政グループが担当する。料金など詳細なサービスについては今後詰める。
(産経新聞、2016年3月28日)
ファミマの海外配送サービスを検証してみる
現在明らかにされているサービスの内容は下記の通りとなります。
・ファミリーマートと日本郵政が提携した海外配送サービス
・日本国内のファミリーマート→台湾の全家(ファミリーマート)で荷物受け取り
実質的な、荷物の預かり窓口業務をファミリーマートが受託し、その後の国際物流業務を日本郵政が請け負うことになるようです。もう少し具体的には、日本国内から台湾税関までの国際配送業務を日本郵政が担当し、それ以降の台湾国内での物流業務は中華郵局が担当することになりそうです。そして、台湾での荷物の受け取りに関する窓口業務を台湾のファミリーマートである全家が担当することになります。
つまり、下記の4社の業者がこの国際配送業務に介在することになります。
・ファミリーマート(日本)
・日本郵政(日本)
・中華郵政(台湾)
・全家便利商店(台湾)
国際配送サービスの問題点をズバリ指摘してみます
最も問題となりそうな点は下記の部分でしょう。
・日本での荷物受付業務でファミリーマートの店員の業務が激増する
・更に、主なターゲットは台湾人のため中国語での対応が必要になる
・台湾での税関業務でトラブルが発生した場合の対応をどうするか
・税関で止められた台湾人所有荷物の日本への返送先がない(笑)
・全家での受け取り業務は大丈夫なのか
敢えて、上記で問題となりそうな荷物の紛失や破損などを挙げなかったのは、多分大丈夫だろうと思ったからです。つまり、今まで私は日本郵政の国際郵便を利用してきましたが、ダンボール箱がボロボロになっていることはあっても、荷物が届かなかったことはないためです。自宅への郵送ではないため、むしろ誤配のリスクは低くなるはずです。
上記問題点の内、ファミマ店員の業務が増えるのはやむを得ないとして、受付業務は中国語で対応する準備が出来ているのでしょうか?
最近ではコンビニでアルバイトをする中国人留学生などが増えていますが、ファミマ全店に外国語の対応をするのは不可能なため、中国語(繁体字)用のマニュアルシートを作成して、中国語しか理解できない台湾人が来店した場合は、指差し会話が出来るような台湾人専用の対応シートを準備しておくなどの対応が有効でしょう。
台湾の税関で荷物を止められた場合の対応、つまり日本へ荷物を返送しなければならなくなった場合の荷物の返送先は日本のファミリーマートになるのか、そのまま荷物の廃棄処分になるのかもしれません。
台湾の全家も、日本と同様にアルバイト店員がほとんどのため、ルーティンワーク(レジや荷出しなど)ではない業務をする場合は、かなり時間が掛かることがあります。通常は店員も最低でも2人はいるのですが、1人しかいない時には、かなり待たされることがあり、イライラさせられることも多くあります。それでも、台湾人は気長に待っている人が多いですが、私は待つのが面倒臭いので、商品を置いて向かいのコンビニで買い物をすることも多いです。
国際配送サービスの内容と料金想定
通常の国際郵便の場合で日本から台湾に荷物を郵送する場合であれば、電話一本で自宅まで集荷に来てくれ、台湾の自宅まで配送してくれます。ファミマの国際配送サービスでは、基本的にはファミマ店頭が受付窓口となるようですので、荷物をファミマ店頭まで持って行くか、ファミマで購入したものをそのまま台湾へ配送することになります。そして、台湾では全家の店頭まで荷物を受け取りにいく必要があります。
つまり、顧客の立場からは、荷物を店頭まで持って行く手間と荷物を店頭まで受け取りに行く手間が余分に掛かることになります。これらの手間を鑑みると、日本郵政の国際郵便の現状の料金よりも料金が安くなければ、利用価値はかなり低くなります。更に、日本から台湾への国際郵便には大きく分けるとEMS、航空便、船便の3つのサービスに分けられます。これらの3つのサービス全てに対応するのか、あるいは限定されたサービスに絞るのか、という点にも注目したいですね。
いずれのサービスの場合であっても、日本郵政の国際郵便以上の付加価値のあるサービスでなければ、サービス料金は低く抑えないと利用価値はなくなってしまうことでしょう。「より安く、より便利に、よりスピーディに」日本から台湾へ国際配送してもらえるサービスが拡大していくことを期待したいですね。
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