日本人には迷信のように感じる台湾の生活文化である、気功、風水、占いに関することを台湾人目線で台湾現地からレポートします。
日本で暮らしていた時には、上記のような気功術、風水学、あるいは占い術などはごく一部の人たちが熱狂的に信じる迷信という印象を強く抱いていました。
実際に台湾で生活してみると日常生活のあらゆる場面で風水の考え方が浸透していたり、重大な事項を決定する場合には、占卜をして吉凶を占うことが日常的に行われていたりします。
そこで、今回は上記のような台湾特有の生活文化をご紹介します。
気功は魔術ではなく医療行為にも応用
台湾への移住前の気功に対する私の印象は、スピリチュアルな思想で、若干宗教じみていて、自己暗示的な部分が強いと感じていました。
ところが、台湾では至るところで「気功」の文字を見ますし、何よりも生活の一部として浸透していると感じます。
台湾で生活をするようになり驚いたことは、中医クリニックの存在です。日本では中医師そのものが医療ライセンスとして認められていない現状があります。
日本では医師になるためには医師の国家資格に合格し免許を取得しなければなりませんが、台湾では西医師と中医師のどちらも国家資格の医師として認められています。
そして中医クリニックでは、気功によって病気を診察したり、お医者さんからは気功によって漢方薬も処方してもらうことになります。
実際に、私は体調がすぐれない時や風邪をこじらせてしまった時には中医クリニックで診察してもらっていますが、いつも問題なく病気が治まる結果となっています。
また、台湾では気功術も医療行為の一部として活用されており、その医療行為で患者の病気も治療されていることを数え切れないくらい体験しています。
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例えば、台湾の親戚には糖尿病、高血圧、リウマチ病などを抱えた人たちがいますが、彼らは皆、有名な中医で漢方薬を処方してもらっています。
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台湾では占いは迷信ではなく重大事項決定の最終判断
先述したように台湾では街を歩けば命理師に当たるというくらい、命理、易学、占卜などの看板をよく目にします。
台湾ではそれだけ占いの思想も社会的ステイタスが高く、そのような考え方が生活の一部として浸透しているということだと思います。
大きな企業になればなるほど、決定事項が重要なことであればあるほど、経営者などは占いの力を借りようとするのが台湾の文化の一部です。
もちろん、台湾人の中にも、占いそのものを信じていない人もいますが…。
例えば、書店では占い思想の「易学」に関する書籍が所狭しと並べられており、専門コーナーがある書店もあります。
日本のような誰でも読めるような内容の軽い本もありますが、それらの多くの書籍は伝統的な陰陽五行の思想や易経に基づいた本格的な書籍ばかりです。
占いが利用されている身近なところで言えば、例えば、以下のようなシーンが挙げられます。
- 病気になった時には何が原因か?
- 人を雇用する時には誰が最適か?
- 投資をする時には是か非か?
- 大きな買い物をする時には是か非か?
- 進学や就職をする時にはどこに応募したらよいか?
- ビジネス上の取引や契約をする場合は是か非か?
などなど、台湾では日常生活からビジネスの重要な決定事項にまでありとあらゆることに活用されているのが現状です。
そのため、占いをする命理師も軽々しく相手にアドバイスが出来るわけではなく、重大な責任が伴うともいえます。
台湾で風水思想は日常生活の一部
風水思想というと、これまたスピリチュアルな迷信だという印象を強く持っていました。
その理由は、日本では風水という名を借りてお金儲けに奔走している方がいるからかもしれません。
それでは、台湾での風水の社会的ステイタスはどのようなものでしょうか?
台湾では風水を基本にしたアドバイスをする風水師や後述する陰陽五行の思想を基にした命理師と呼ばれる方が多く存在し、街を歩けば、そのような看板を目にすることが多いです。
このような思想文化は、そもそも中国大陸に起源がありますが、毛沢東による文化大革命以降、伝統的思想が排除されました。
その結果、台湾や香港で思想文化が生きながらえることとなり、学術的な研究も盛んになったと言われています。
そんな歴史的経緯があり、台湾や香港が世界で最も風水文化が発展した地域であると思います。
台湾では、日常生活の中で、ごく一般的に風水文化が採り入れられています。
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例えば、上記記事のように、日本では多くの家屋では外開きのドアが多いですが、台湾では多くの場合は内開きのドアとなっています。
台湾では、むしろ外開きのドアを見つけるのが難しいくらいです。これも日常生活に浸透している風水文化の一つでしょう。
また、庭のある家屋の前には多くの場合、池があったりします。家屋ではなくマンションであっても建物の前方には池などの水に関する施設が設けられていたりします。
これらの事例も元々は風水思想(水=財の考え)から来たものでしょう。そして、その財がドアを内開きにすることで、家屋に財が入ってきてお金持ちになるという考え方です。
台湾の風水についてのまとめは下記記事をご覧ください。
台湾と日本の歴史的背景と思想文化の違い
上記のように、日本で迷信と思っていた台湾の気功術や風水術や占いは、私が台湾に移住して以来、台湾の生活文化なのだということを思い知らさせました。
これらは日本と台湾では歴史的背景が異なるため、それらの思想文化の捉え方も異なるからでしょう。
これらのサービスを受ける場合には、当然、お金が掛かりますので、サービスの対価としてお金を払ってサービスを受けるかどうかは、気功にしても、風水にしても、易占いにしても、最終的には信じるか信じないかの一点に集約されるのではないでしょうか。
そのような意味では、日本では思想文化に対する歴史がないため、多くの方は信じないためお金を支払わずサービスを受けない、その結果、社会に普及していないのだと感じます。
一方で、台湾では上記のような思想文化が歴史的に醸成されてきた文化があるため、思想文化への信仰が高いため、お金を支いサービスを受ける、その結果、気功や風水や易占いが社会に普及して日常生活に浸透してきたのでしょう。
台湾と日本の文化の違いとは意外にも身近なところにあるものですね。そして、台湾人目線で考えると、歴史上の思想文化に根ざした気功や風水や占いの重みを感じます。
コメント
こんにちはお邪魔します。今日のブログも面白かったです。
台湾では風水も占いも生活文化の一部になっているのですね。ロスでも中華系コミュニティーでは同じみたいです。特に住宅の購入の時は風水が購入判断に大きな影響力を持っているようです。どんなに気に入った家でも風水の結果が悪ければ諦めるようです。所で、台湾での風水や占いの価格はいくらぐらいなんでしょうか?
コメントありがとうございます。
台湾や香港だけではなく中華文化圏全体の生活文化のようですね。
台湾での風水や占いの鑑定料については、実は私もお金を支払って鑑定してもらったことがないため、詳しいことは分かりませんが、身内に風水や占いの命理師がいるのですが、特に鑑定料を決めていないそうです。
寸志として最低でも1000元以上を包む(実際には3,000元以上?)のが一般的のようです。そのため、寸志の上限はないとのこと。
鑑定の結果、効果があれば、(たぶん)多額の金額が納められるようです。
一般的には、姓名判断などの軽い相談であれば、1案件あたり安いところで1000元程度から鑑定してもらえるという看板を見たことがありますが、命理師にもピンキリですからね。