台湾で個人所得税の確定申告および納税方法と税制についての仕組みについてのレポートです。日本では、基本的には年末の確定申告は、勤めている会社が全て計算し税務署に申告してくれますが、台湾では、多くの場合は個人所得に関する確定申告は、各従業員が自分ですることになります。それは、台湾人であろうと外国人であろうと関係ないため、台湾で働いている、あるいは収入を得ている外国人も例外なく確定申告を自らすることになります。
台湾の個人総合所得税の概要
- 申告期限:毎年5月1日から5月31日まで
- 課税方式:累進課税(日本と同じ)
- 所得税率:5%~40%
- 納税方法:各銀行で納付
- その他 :夫婦合算が可能
個人総合所得税の税制についての簡単なまとめ
台湾の個人総合所得税についての税制を全て把握しているわけではありませんので、個人レベルで基本的な仕組みをご紹介しておきます。台湾でも日本と同様に、累進課税が採用されているため、所得が低ければ税率が低く、所得が高くなるにつれて税率が高くなります。所得の計算方法について、これも日本と同様に、サラリーマンの場合であれば年間の給料支給額から基礎控除などを差し引いて、最後に残った金額が課税所得となります。
一般的サラリーマンの場合の課税所得の計算方法
免税額(70歳以下の場合:85,000元/人)
控除額(単独の場合:79,000元、夫婦の場合:158,000元、※1)
特別控除額(所得特別控除額:108,000元/人、※2)
※1控除額にはその他にも下記のような費用があれば控除できます。それぞれの控除額にはそれぞれ上限が決められているようです。
- 寄付金
- 健康保険費
- 生命保険費
- 医療費 など
※2特別控除額にはその他にも下記のような費用があれば控除できます
- 教育費特別控除(25,000元/人)
- 就学前児童特別控除(25,000元/人)
上記は子供が2人いたら50,000元まで控除が可能ということのようです。
上記の計算方法は、一般的な外国人が当てはまりそうな項目をピックアップして説明しているため、かなり端折った説明になっておりますので、その他にも控除できる費用は多くあり、細かい規定もあります。
個人総合所得の税率と納税額の計算方法
級別 | 税率 | 課税所得 | 控除額(元) |
---|---|---|---|
1 | 5% | 52万元以下 | 0 |
2 | 12% | 52~117万元 | 36,400 |
3 | 20% | 117~235万元 | 130,000 |
4 | 30% | 235~440万元 | 365,000 |
5 | 40% | 440万元以上 | 805,000 |
確定申告をするために必要な書類など
1.所得税申告書
2.各類所得扣繳暨免扣繳憑單(会社から発行される年間収入証明書)
3.パスポート
4.居留証
5.印鑑(フルネーム)
6.銀行通帳(還付金があれば必要)
台湾の所得税のまとめ
上記の税制と計算式から分かることは、単独の納税者の場合は、少なくても272,000元以下の年収の方の場合は、個人総合所得に関する税金はゼロとなり、夫婦共働きの場合で夫婦合算納税の場合は、544,000元以下の場合は税金はゼロになるようです。
日本と同様に、各種保険や医療費、寄付金や災害などで損失を被った方などは、確定申告をすることで税金の還付を受けられる制度となっております。台湾に就職した方やワーキングホリデーなどの制度で合法的に収入を得た方であれば、確定申告をすることで還付金が受け取れます。還付金は、毎年8月1日に指定した銀行口座に振り込まれます。
また、納税額があるなしに関わらず、この確定申告をすることは義務となっていますので、台湾で合法的に収入を得た方は必ず確定申告をしましょう。
台湾での確定申告のプロセスを全公開【2016年】
台湾でも確定申告は国税局と呼ばれる機関が管轄しています。台湾での正式名称は、財政部国税局と呼ばれています。台中の場合は財政部中区国税局となります。今回、私は「民権稽徴所」という国税局の地方支部にあたる税務署で確定申告をしました。
確定申告に必要な書類などは先述の通りですが、過去に台湾で確定申告をしたことがあるためなのか、パスポートの提示は必要ありませんでした。既に、パスポート番号が当局のデータに登録されており、後から分かったことですが、税務署の端末上でも私の台湾の出入国記録が筒抜けになっていました。つまり、過去1年間に何日間台湾に滞在していたのか、が分かるようになっていました。さらに、印鑑も必要なく、サインだけで問題ないようでした。
驚いたことに、上記でも書きましたが、税務署での端末上では、確定申告に必要なデータが全て記録されているようです。例えば下記のようなデータは、1元単位で全て端末上に記録されていました。
・銀行の利息
・支払った社会保険料
・医療機関で自己負担した診療費用
家族の誰が、どの病院やクリニックで、年間診療費用がいくらだったか、ということまで全て国税局は把握しています。たぶん外僑居留証の番号(またはパスポート番号)で全て管理されているのでしょう。日本もマイナンバー制度が厳密に実施されるとこのようになるのか、などと思いました。
そして、税務署の受付に行くと、既に一人の外国人が確定申告に来ていましたが、待つこと5分ほどで私の順番になりました。私がすることは居留証と源泉徴収票に当たるものをスタッフに渡すだけです。税務署のスタッフがパソコンの画面を見せ、私に各種金額を確認しながら、最後に所得税の税金還付はいくらですと念を押して、所要時間5分程度で手続きは終了しました。
【免責事項】
当方は、台湾での税務の専門家ではないため、確定申告の場合は台湾の税務署か税理士さんにご相談下さい。
また、上記の情報は、2015年時点のものです。台湾の税制は変わりやすいため、確定申告の際は、ご自身で最新情報をご確認下さい。
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