台湾で生活する日本人の日々の生活意識についてのレポートです。
海外で長く暮らしていると、現地での生活に慣れていくにつれ、無意識の内に現地の習慣が日常になっていることに気が付く時があります。
一方で、外国の習慣に慣れればなれるほど、日本の文化や習慣との違いを改めて実感する時があります。
今回は、台湾で暮らす中で、私が実感した「日本人化」の再確認と「台湾人化」の新発見という視点で、台湾での日々の暮らしを振り返ってみようと思います。
現地生活が新鮮で刺激的な初期段階とマンネリ化した後の再認識
台湾で生活をし始めて1年目は、見るもの食べるもの全てが新鮮で刺激的でした。
そして、一通り、表面的な台湾の生活に慣れてくると、見るもの食べるものの、ほとんどが一般化してマンネリ化していきます。
その頃には、台湾の良い部分や悪い部分の両面が客観的に認識できるようになってきます。
具体的に言えば、初めて食べた水餃子やタピオカティーが美味しくてたまらず、1年くらい経過すると、特に特別ではない食べ物になり、それらのスペシャル感は薄れていきます。
そして、しばらく食していない純粋な日本食が恋しくなり、日本料理と台湾料理の比較が始まります。そんな時には、自分はやはり純粋な日本人だと実感するのです。
台湾人の考え方に興味を抱く初期段階と違いに違和感を持ち始める時期
一方で、初めて肌で感じる台湾人との異文化接触が珍しく感じられ、彼ら台湾人の考え方や行動に興味を抱きます。
ところが、1年も経過すると台湾人の考え方や行動を少しは理解できるようになりますが、それらの台湾人との違いについて、よく考えてみると違和感を感じ始めるものです。
例えば、なぜ台湾人の方はいつも、どこでも、大きな声で話すのか、あるいは、なぜ初めて会ったその日からプライベートなことまでヅケヅケと質問して、馴れ馴れしく(いや人懐っこく)接するのか?
・・・など日本人と台湾人の違いを客観的に認識し始めます。
異文化コミュニケーション理論のU字曲線で台湾生活を検証
このような外国での体験から感じる心理的違和感を、異文化コミュニケーションという学問分野では「U字曲線」あるいは「W曲線」という理論で表現することがあります。
つまり、海外に来たばかりの時には、全てのことが刺激的で面白く感じられ、その後しばらく生活していると、外国での生活や文化の違いに違和感を覚えるようになり、そのような社会や生活に嫌悪感を抱くようになるのだそうです。
その状況は、U字曲線で言えば、最も底辺の部分にあたります。
そして、台湾の文化の違いや台湾人との考え方や行動の違いを受け入れられるようになり生活の中に溶け込んでいくとU字の右側半分の過程に入るのだそうです。
これは異文化環境に放り込まれた人であれば、誰でも大なり小なり通る道です。
台湾での生活は日本の生活とかなり類似していると思い込み、台湾人コミュニティの中に一旦どっぷりと浸かって生活をすると随分と異なる国民性だと感じることも多々あるでしょう。
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海外での長期滞在では食文化の違いは超えられない壁!?
その中でも日本人であれば、誰でも感じることは食文化の違いでしょう。
台湾の食文化の特徴を簡単に表現すれば「肉、油、炒める」であるのに対して、日本の食文化を対比的に表現すれば「魚、出汁、蒸す」であるように思います。
台湾の食文化にどっぷりと入り浸れて、ここ2年間(日本に一時帰国した時期を除いて)くらいは本格的な和食を口にしていません。
本格的な和食とは、例えば、台湾で秋刀魚定食を注文しても、秋刀魚は油で焼いていたり、添えられる漬物はピリ辛中華風であったり、お味噌汁が甘かったりします。
中華風秋刀魚定食です。(笑)禁和食生活もそろそろ限界で、本格的な和食が食べたいです。
台湾料理は美味しいが、日本人にはやはり和食が一番
海外で暮らしている日本人の中には、その国にどっぷりと溶け込んで現地人化していく方も多いでしょう。
一方で、海外で暮らし始めて、初めて日本人のアイデンティティを実感し、日本や日本人の魅力や素晴らしさ、優れている部分に気が付くことも多いと思います。
長い間、日本で生活していた者にとって、日本の食文化だけは180度ひっくり返して現地化(台湾化)することが難しいと感じる台湾移住3年目です。
最後に、付け加えておきますと、台湾の食文化は日本人の口には非常に合うと思いますし、実際何を食べても美味しいです。
ただし、ずっと食べ続けると油っぽさに嫌気が差し、サッパリとした和食が恋しくなる時が必ず来ることでしょう。
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まとめ
以上、海外移住をした人が遅かれ早かれ、程度の差こそあれ、突き当たるカルチャーショックによる影響について紹介しました。
もう一度伝えたいことをまとめると、海外移住などで外国で暮らし始めると、時間の経過に伴い、日本人化する人と現地人化(台湾人化)する人の2つの側面があり、タイプがあるということ。
つまり、日本人化する人はより自分が日本人であることの認識を強めて、日本に帰国した時には日本の良さや優れている部分を実感することでしょう。
一方、現地人化(台湾人化)する人はより自分が現地の人の考え方や習慣が心地良く思い、日本へ帰国した時には日本の暮らしにくい部分や劣っている部分ばかりを強く認識するようになることでしょう。
このように、海外移住をすると、日本人であることや日本の本質が見えてくる人もいれば、逆に、日本人であることよりも現地生活に馴染むことで日本での生き難さのようなことを実感するようになるのでしょう。
それにしても、日本の和食は最高だなと台湾で実感する日々です。(台湾料理も美味しいけどね。)
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コメント
全くおっしゃる通りだと思います。
台湾の新鮮さ、でも、ずっと持ち続けていたいですね。
純粋な日本人がずっと台湾を楽しむためには
日本食を食べることだと思います。
基本は自炊が、健康に良く、肉より魚かなと思います。
今日、ずっと台湾での老後を考えていました。
やはり、少ないながらに年金は有利です。
国民年金は788千円/年、掛け金は約20万円x40年。
実はこれは20円前の全労済の個人年金より、悪いのです。
国民年金を払いたがらない若者が増えるのも、実は仕方がないかも
しれません。いっそ、こんなに利率が悪いなら、止めてしまえばと
日本政府に言いたいです。
生活保護の方が、明確ですから。
人はいづれ、体力が無くなり、働けなくなるものです。
全ての人が遅かれ、早かれそうなりますね。
コメントありがとうございます。
日本人に生まれて日本で育ち日本で長年生活してきた以上、日本食を捨てて台湾料理だけの生活をするのは非常に難しそうです。
将来、台湾で長く生活しようと思っている方は、台湾ではいづれ私のように日本食に回帰していくのではと予測します。
台湾では、自炊をするよりも外食(台湾ローカル食)をする方が、かなりリーズナブルな生活ができてしまうのが現実です。
年金はないと不安ですが、あっても将来の生活が保証されるわけではない・・・存在だと思います。
非常に中途半端なもので多くの国民が将来の生活に不安を抱く大きな要因ですね。
台湾の国民年金は、はじまって数年ですので、さらに酷いものですが・・・。
私は皮膚に疾患を持っていて
食事に気を使わなければならないのですが
台湾の一般的な食事は健康に良いといえるのでしょうか?
油や肉以外にも何かあったりしますか?
是非教えてください。
コメントありがとうございます。
まず皮膚の疾患の件ですが、実は私も昔(もっと若い時)アレルギー性皮膚炎に掛かっていた時がありました。その当時、症状はかなり酷く、全身が痒くかきむしって血だらけになったこともあり、週に何日か皮膚科に通院していました。その傍ら、山登りをして新鮮な空気を吸い、山岳合宿で1週間くらいお風呂にもは入れずに、毎日大量の汗を流して山を歩いて、下山した頃には、数年続いた皮膚疾患が随分と良くなっていた過去があります。その後、皮膚疾患は見事に完治しました。私の経験からの個人的な意見ですが、(たぶん)皮膚疾患は、食・心・体、体質に合わないものを控えて、ストレスを貯めずに、適度な運動で新陳代謝を促す、その結果、疾患がなくなり、治ったのだと思います。
次に、台湾の料理の件ですが、台湾は食の宝庫だけあって何でもあります。一般的には、ご指摘の通り、日本と比べると肉料理が多く油っこいものが多いですね。ところが、台湾には日本ではあまり見かけない「素食」と呼ばれる精進料理のレストラン、食堂や弁当屋が多くあります。素食とは動物性タンパク質(肉、魚、卵、牛乳など)を材料としない、植物性食材だけから作られた料理です。主に、宗教的な理由から菜食主義の方が台湾には多く存在し、そのような方たちがよく利用しています。もちろん、野菜が大好きな人たちも利用しています。その他にも日本よりも台湾の方が食の種類という意味では豊富だと思います。味付けも、東南アジアで見かけるような独特の香辛料ばかりの料理ではなく、台湾の料理は日本人には合うと思います。ただし、何年も日本で食べていた料理から遠ざかると、たまには純粋な日本料理(甘い味噌汁ではない日本の味噌汁)が食べたくなるのが現実です。(笑)
それでは、今後とも当ブログをよろしくお願いします。