台湾の国旗と台湾の国歌に関する歴史と背景について、台湾現地からレポートします。
台湾の国旗については、台湾に関心がない日本人にとっては、あまり馴染みがなく、イメージし難いですね。たぶん、国旗を実際に見てみれば思い出すと思いますが…。
一方、台湾の国歌となると、ほとんどの日本人は聞いたことすらないというのが現実でしょう。私も台湾に移住するまでは聞いたこともありませんでした。
台湾の国旗と国歌に関連した小歴史
一般的には、オリンピックのような世界的で国際的なスポーツの祭典であれば、国旗と国歌はなくてはならないものでしょう。
ところが、台湾(中華民国)は国際的に国家として認められていない(国連に加盟していない)ため、例えば、オリンピックでも台湾の国旗や台湾の国歌が表舞台に出ることはないですね。
台湾の国旗や台湾の国歌について考える前に、もう一度台湾の歴史を振り返っておきましょう。
台湾の近現代史の概要
- 1911年 中国の四川省で辛亥革命が勃発
- 1912年 孫文が中華民国の成立を宣言
- 1928年 蒋介石が中華民国南京国民政府を成立
- 1989年 政党結社の自由化
- 2000年 民進党政権
- 2008年 国民党政権
- 2016年 民進党政権
台湾(中華民国)の近現代の小歴史を振り返ってみると、大雑把には上記のような政治的変遷と移り変わりがありました。更に詳しい台湾の歴史は>>>こちらの記事を参照。
台湾の国旗は、1928年に蒋介石が南京で国民党を成立させた時に正式に採用されました。そのため、厳密には(昔の)中華民国の国民党の党旗ということになります。
台湾の国旗
オリンピックで使用される台湾の国旗
台湾の国旗のデザインと意味は?
一般的に、各国の国旗のデザインや色には深い意味がありますね。それでは、台湾の国旗にはどのような意味があるのでしょうか?
台湾の国旗は、「青天白日満地紅旗」と呼称されることがあります。
青・赤・白の3色は、かつて孫文が唱えた三民主義(民族の独立、民権の伸長、民生の安定)に由来しています。そして、各色には、それぞれ下記のような意味があり、象徴しています。
- 青 : 民権主義、正義
- 赤 : 民族主義、自由と独立
- 白 : 民生主義、友愛
ところが、皮肉なことに、上記の国旗の下で国民党が一党独裁政権を掌握していた時期には、正義も自由も友愛もない時代だったのをご存知でしょうか?
台湾の国旗に、このような象徴的意味が込められているにも関わらず、その当時は正義も自由も友愛もない時代だったことは、時代の悪戯という軽々しい言葉では言い尽くせないものでしょう。
関連記事:台湾と中華民国とチャイニーズタイペイの違い‐意味と使い分けも紹介
台湾国歌に込められた意味とは?
台湾の国歌を聞いたことがある日本人は、かなりの国歌マニアに匹敵するかも知れません。少なくても、日本で生活している時に台湾の国歌を聞くことは、まずないでしょうね。
台湾の国歌
台湾国歌の中国語
三民主義,吾黨所宗,
以建民國,以進大同,
咨爾多士,為民前鋒,
夙夜匪懈,主義是從,
矢勤矢勇,必信必忠,
一心一德,貫徹始終.
歌詞の全てが四字でまとまっているのが、中国語っぽく特徴的ですね。
上記の台湾国歌の歌詞の意味は、以下の通りです。
三民主義は、我が党(全ての国民)の指針。
これで民国を建設し、これで大同(=世界平和)に進む。
ああ、あなた方多くの人々は、民の為の模範となって、
朝から夜まで怠けることなく、(三民)主義に従おう。
勤勉であれ、勇敢であれ。必ず信じ必ず忠実であれ。
心と美徳を一つにして、最後まで(三民主義を)貫徹しよう。
(ウィキペディアより引用)
まとめ
これまた、台湾での国民党一党独裁政権時の社会事情を考慮すると皮肉な内容になっています。
日本統治時代後に台湾島に国民党が入境した当時のことは、「犬が去って、豚が来た。」と揶揄されることがあります。
忠実で厳しい日本人が出て行き、食べるだけで何もしない国民党が来たというような意味です。
- 民の国を建設する
- 世界平和
- 怠けるな
- 勇敢であれ
- 勤勉であれ
- 忠実であれ
国民党一党独裁政権時代は国民党そのものが、上記のことを全て否定するような行動をしていたのではないでしょうか。
コメント
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こんにちは。台湾の国歌初めて聞きました。孫文の思想が国歌の中に反映されているんですね。阿妹が国歌を歌っているのも中々粋です。台湾加油!
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いつもコメントありがとうございます。
日本人にとっては台湾の国歌を聴く機会はほとんどないですからね。
youtubeの別の台湾国歌はいまいちパッとしませんでしたが、歌う人(阿妹)によって曲も変わるものですね。
> こんにちは。台湾の国歌初めて聞きました。孫文の思想が国歌の中に反映されているんですね。阿妹が国歌を歌っているのも中々粋です。台湾加油!