台湾で檳榔(ビンロウ、ビンラン)を初めて自分で食べて経験してみた時の経験談と、その後、もう一度いろいろな種類のビンロウを試してみた結果、および台湾でのビンロウ消費の実態を統計データで調べてみましたので、台湾現地からレポートします。
ここに注目
- ビンロウって何?
- ビンロウを食べるとどうなるの?
- ビンロウを食べた感想は?
- ビンロウの味はどんな感じ?
- ビンロウの効果はどんな感じ?
このような疑問に対して、実際に台湾でビンロウを食べてみた経験から、その謎にお答えしていきます。
ビンロウとはどのようなものか?
檳榔(ビンロウ、ビンラン)とは椰子(ヤシ)科の植物で台湾では山間部に行くと群生しています。台湾で販売されている檳榔の実は、石灰を混ぜたものが売られています。そして、石灰と檳榔の実の樹液の成分が融合することで、その効果を引き出すのだそうです。
時には、ビンロウは「噛みタバコ」と呼ばれることがあります。何故、そのような言われ方をするのか?と思っていましたが、ビンロウを食べて経験してみたら、その理由が少し分かりました。
ビンロウを口に放り込み、しばらく噛むと檳榔の樹液と石灰が融合して唾液が口に溜まります。このはじめの唾液は発ガン物質が含まれているそうですので、直ぐに吐き出します。
口の中に残った繊維を噛み続けているとビンロウに含まれるニコチンに似た成分により、タバコや酒のような軽い幻覚、酩酊感を感じられるということらしいのです。
日本では全く見かけたことがないビンロウですが、台湾ではどこでもビンロウ専門店があり18歳以上であれば購入できます。そして、一般的には、主に男性がよく利用しています。その中でも特に建設業者などの肉体労働者やバスやトラックなどの運転手が日常的に愛用しています。
檳榔西施とは?
檳榔西施とは?
台湾のビンロウを売る女性のことを「檳榔西施」と言います。西施とは、中国の歴史上の超美人の1人です。
つまり、台湾では檳榔西施をビンロウを販売する超美人というイメージで使われています。
台湾のビンロウ娘と言えば、超セクシーなビキニなどしか着ていない若い女の子が映っているテレビやYoutubeで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ビンロウ小屋
ビンロウを売っている掘っ立て小屋は、大抵ガラス張りになっており、若い女の子が1人(または2人)お客さんを待っています。
10年くらい前は、それらの若い女の子たちの多くは、ビキニだけあるいはビキニよりもセクシーな衣装でビンロウを販売していました。
初めて台湾を訪れ初めて見た方は、風俗系のお店と勘違いする人もいたと思います。
過去のビンロウガール
このガラス張りのビンロウ店の前に車を止めると、檳榔西施が、停車した車の脇まで来てビンランをドライバーに販売するという仕組みになっており、少しの間、女の子たちとおしゃべりをすることができます。
もちろん、それ以上のサービスはありませんが、台湾人の方に聞いた話では、ビンロウを一袋買うと2つサービスが付いてくることがあったのだそうです。本当かどうか分かりませんが、○ッパイのサービス付きのビンロウ娘もいたそうです。
現在のビンロウ屋
それでは、現在のビンロウ屋はどうなっているのか?
セクシーなビンロウ娘をイメージして台湾に来た人には、どこへ行っても期待外れの檳榔西施ということになっています。
ビンロウ屋には、若い女性だけではなく、かなり年配の女性が販売していたりします。さらに、女性だけではなくオジさんが販売していたりすることもあります。
何年か前に、何らかのトラブルなどがあり、警察の取締りが厳しくなりセクシーなビンロウ娘の檳榔西施は姿を消してしまいました。台湾中を探せば、まだかつての檳榔西施も居るかもしれません。
ビンロウガールのお給料はいくら?
檳榔西施のお仕事は、ただビンロウをお客さんに販売するだけではなく、お客さんを待機している時には、生のビンロウの実をキレイにし、加工して袋や箱に詰めて販売できる状態にすることです。
もう、かつてのように、セクシーな衣装や可愛いビンロウ娘との会話でお客さんを奪い合うようなことはなくなったため、若い女性はあまり見かけなくなったのかもしれません。
それでは、彼女たちの、お給料は、いくらくらいだったのでしょうか?かつて、台湾の方に聞いた話では、一般的には普通のOLさんよりは少しだけ高いくらいで、基本的には歩合制のところが多かったそうです。
台湾でビンロウを初体験してみた結果
ビンロウを経験する機会が思わぬところで得られました。お酒の席で、酔いが少し回ってきたところで一緒に飲んでいたオジサンたちがビンロウをカミカミしてると、彼らが半ば強引に勧めてきました。断ることも大人げないので(いや少しだけ興味もあり)、1つだけ試してみることにしたというわけです。
そして、その結果はいかに?
私は今までビンロウを試したことがなかったので、その食べ方も知らずに言われるがまま口の中に入れて、カミカミしろと言われたので噛んだのですが…
その印象は、おおっ…思ったよりも不味くない!
と思った瞬間、苦い! 渋い! 不味い! と三連発の味覚が襲ってきました。
そもそもビンロウは木の実であるため、最初は意外にも少しフルーティーな風味が口の中に充満した感じがしました。
そして、次に渋みと苦みを少しずつジワジワと感じたかと思うと唾液が溢れ出てきました。
やむを得ず、そのまま噛み続けると、口の中が樹液と石灰でミックスされた唾液まみれになってしまいました。
おいっ!これどうしたらいいのかと思ったら、隣のオジサンたちがすかさずゴミ箱を用意してくれたので、すべて吐き出してしまいました。
本当は、木の実の繊維を残して、唾液だけ吐き出さなきゃいけないらしいのです。ところが、要領が分からなくて全て吐き出してしまいました。
そして、吐き出した唾液はまるで血を吐いたかのように見事に真っ赤でした。
すると、その瞬間…キタッ~!!! 何が!?
全身の血液が首から上、つまり頭の方向に向かって遡っていくような感覚です。
噛み始めて1分もしない内にビンロウを吐き出した瞬間に…これが興奮だとか高抑感というものなのだろう。
そして、血が頭に上る感覚が一巡すると酔っぱらった時に少し目が回るような感覚が数分間続きました。これが酩酊感と言うものなのかなと感じました。
周りのオジサン達を見てみると、意地悪そうな目で、こちらを見てニヤニヤしていました。そしてその後、血流が頭に向かうような感覚と同時に頭や顔から汗が噴き出してきました。
何と表現してよいか分からないこの感覚を、体が熱くなり目が回ると表現したら、オジサン達は大爆笑していました。
オジサン達のおかしそうな表情は、日本人が外国人に梅干や納豆を食べさせて外国人の表情を知りたいと思うのと同じだろう。
外国人である日本人が初めてビンロウを食べて思った通りのリアクションだったので可笑しかったのでしょう。
残ったビンロウの繊維を噛み続けていたら、興奮した高抑感や酩酊感はずっと続くのかな?
あるオジサンは、高粱酒の中にそのまま檳榔を入れて飲んでいました。お酒の酔いと檳榔による酩酊感で頭がおかしくなるんじゃないかと思いましたが、慣れたものでした。
高血圧の人が檳榔を大量に噛み続けたら、血管切れるんじゃないかとも思いました。
発がん物質があるとも言われているものをわざわざリスクを取ってまで口に含める価値はあるのでしょうか?
それでも、1つ試した後に、もう1つ試してみようかと思わせるような習慣性も少しだけ感じました。
ビンロウは決して美味しいものではないが、台湾では違法のものではないので、台湾に来たら人生の中で1回くらい試してもよいかもしれません。
かつて、台湾ではビンロウ愛好家たちがビンロウの赤い液体を道路に吐き出していました。
そして、道路に吐き出されている血を吐いたような光景を初めて見た時は台湾では血を吐き散らすような病気の人がなんと多い国なのだと思ったものです。
現在では、道路などの公共の場でビンロウの赤い液体を吐き散らすと法律により罰せられますので注意しましょう。
ちなみに、現在ではビンロウ店でビンロウを購入すると、赤い液体を吐き出すための紙コップを付けてくれます。
《追加情報》
人生で二回目のビンロウ経験はビンロウ屋に取材に行った時にプレゼントとして貰ったものを試してみることでした。ビンロウの種類、価格、作り方の詳細は下記の記事にあります。
関連記事:ビンロウの種類・値段・作り方を台湾びんろうガールに取材レポート
いろいろな種類のビンロウを試してみた結果
街中で販売されているビンロウを試してみる前に、ビンロウの実はどのようなものなのか確認するために、石灰が塗られた葉っぱを取り除いてビンロウの実だけのものを味わってみました。
実は、ビンロウには原材料や作り方により、いろいろな名前が付けられています。
上の画像は双子星という呼称のビンロウ商品を分解してみたものです。葉っぱの中は赤い石灰がふんだんに塗られています。
双子星で使われるビンロウの実の大きさは1.5cm程度です。ビンロウの実の香りはほとんどありませんが、微かに青臭さがある程度です。
そして、今度はビンロウの実を少しかじってみました。拍子抜けするくらいに何も起こりません。
ビンロウの実から出てくる果液は少し渋みと苦味があり、フルーティな風味がありますが、唾液も出てきません。
そのまま噛み続けると、ヤシ科だけにヤシの実の繊維状のものが残るだけでした。特に美味しいわけでもなく、不味くて噛み続けることが出来ないこともなかったです。
先ず初めに、双子星という種類のビンロウに挑戦しました。下の画像のように、2つのビンロウの実を葉っぱで巻いたものです。
口に含んでガリガリと噛み砕くと、唾液が溢れ出てきます。そして、その唾液交じりの汁を吐き出すと赤黒い真っ赤な液体です。
これは飲み込むと、お腹を壊してしまうそうですので注意しましょう。そして、一通り噛み砕いて最後の繊維になったものの画像が下の画像です。
次に、「菁仔」という下の画像のような比較的小さなビンロウを試してみました。
最後に、「包葉」という一粒の大きさが大粒のビンロウを試してみました。
噛み応えもあり、実から出てくる果汁が石灰に反応して、真っ赤な液体が溢れ出てきました。
やはり、初めてビンロウ体験をした時と同様に、味は一瞬フルーツの爽やかな風味がしたのですが、その後、強めの渋みと少しの苦味やえぐみを感じました。
そして、最初の赤色の液体を吐き出した直後、血圧が上がるように血流が頭の方へ逆流するかのように、顔が真っ赤になる感覚がしました。
そして、耳を触ってみると熱くなっていたかと思うと、お酒を飲んで酔っ払った時のような興奮状態と同時に、眩暈のような軽い酩酊状態が数分間続きました。
今回は台湾で一般的に販売されてる3種類のビンロウを試してみましたが、最も酩酊感を味わうことが出来たのは「包葉」という種類でした。「双子星」もそれなりに首から上が熱くなる感覚がありました。
ところが、「菁仔」という種類は双子星の次に続けざまに食したためなのか、あまりビンロウの酩酊感はなく、爽やかな風味がありました。最も酩酊感を味わいたい方は、包葉という種類を試してみたらよいかと思います。
【補足情報】台湾でのビンロウ消費は減少傾向だが原住民の消費率は高い
下記は台湾でのビンロウ消費について、男女別および原住民を対象にした統計結果です。
合計 | 男性 | 女性 | 原住民 | |
---|---|---|---|---|
2002 | 9.4 | 17.5 | 1.2 | - |
2005 | 8.5 | 15.8 | 1.0 | 32.0 |
2009 | 7.6 | 14.3 | 1.0 | 30.4 |
2013 | 5.8 | 10.9 | 0.8 | 26.7 |
約10年間の台湾の全人口に対するビンロウ消費についての時系列変化は、全体としては徐々に減少傾向です。特徴的なことは、どの時代もビンロウを嗜好する女性は非常に少ないのですが、直近データでも男性は10人に1人くらいは消費しているという実態が分かります。
また、原住民に注目すると、4人に1人以上の比率でビンロウを思考しているという点が特徴的です。このデータでは原住民を男性に限定したものではありませんので、おそらく原住民男性に限定した場合は、2人に1人くらいの比率で嗜好しているという実態が予測されます。
コメント
台湾のランチの記事等、色々グルメ情報もお伝え頂いておりますが、朝ご飯は
如何でしょうか?
日本:マック:だいたい200~400円くらい
喫茶店:350~600円くらい
すきや等:200~350円
ホテル:1200~1500円
台湾:道端屋台のサンドイッチ: ?昔は50~80NTくらい 台北
同上の 麺 :50~80NTくらい
マック等 :70~120NT
私はサンドイッチ、コーンスープが好きでした。手作り感が有って、
美味しかった思い出があります。あと学校の売店で牛乳とパンを
買っていました。
以上
いつもコメントありがとうございます。
台湾(台中)での朝食ですが、自分の経験では以下のものくらいで済ませてしまっています。
・サンドイッチ:15元~
・肉まん:15元~
・モス又はマック:50元
・パン屋:20元~
・喫茶店:150元~
どれも日本のものと比べても味は引けを取らないです。
日本式の喫茶店のモーニングは日本と同価格くらいでした。
それ以外は、日ごろからよく使っています。
台湾では85℃などのコーヒー専門店もありますが、
私はコーヒーを飲む時は専らコンビニのホットを利用しています。
> 台湾のランチの記事等、色々グルメ情報もお伝え頂いておりますが、朝ご飯は
> 如何でしょうか?
>
> 日本:マック:だいたい200~400円くらい
> 喫茶店:350~600円くらい
> すきや等:200~350円
> ホテル:1200~1500円
> 台湾:道端屋台のサンドイッチ: ?昔は50~80NTくらい 台北
> 同上の 麺 :50~80NTくらい
> マック等 :70~120NT
>
> 私はサンドイッチ、コーンスープが好きでした。手作り感が有って、
> 美味しかった思い出があります。あと学校の売店で牛乳とパンを
> 買っていました。
> 以上
[…] 台湾では檳榔(ビンロウ)も食べてきました。ぐるなびでやるのはだめっていわれたので自分のブログでやろうと思います。 […]
はじめまして。いつもブログ楽しみにしています。
貴重な情報をありがとうございました。
台湾では、ビンロウは一般的なものなのですか?
これからもブログの記事を楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
台湾ではビンロウは今でもタバコと同じように庶民の嗜好品です。
ただし、どちらかというと肉体労働者の方の嗜好品というイメージの方が強いですね。
今後とも、当ブログをよろしくお願いします