台湾の自動車事情と中古車市場について、台湾現地からレポートします。
この記事の目次
台湾での自動車事情
台湾での走行車線と車のハンドル
台湾の交通ルールは日本とは反対になり車の走行車線は右側通行です。そのため、自動車のハンドルも日本とは反対の左ハンドルになります。
日本では、左ハンドルの車も存在しますが、基本的には右ハンドル車がほとんどですね。台湾では、全て左ハンドルで右ハンドルの車は存在しません。
法律で左ハンドルと規制されているのでしょう。(ただし、日本から輸入した大型重機などは右側にハンドルがあるものも偶に見かけます。)
台湾郊外では車は必需品
台北では都市機能が発達した台北以外、ほとんどの都市では車は生活必需品とも言えるくらい普及しています。
郊外の公共交通機関がほとんど発達していない都市では、車がないと生活が非常に不便になります。
そのため、多くの人が車を運転することになります。その結果、どこへ行っても、車ばかりという印象を受けることが多くあります。
というのも、台湾では道路の路肩を駐車場スペースとして利用しています。そして、各地方政府が駐車スペースの運営管理をして、その収入源となっています。
駐車スペースとなっていない場合でも、自宅の前であれば駐車場として利用している場合がほとんどです。そのため、街の景観を観察してみると車ばかりが目に付くことになります。
台湾での中古車事情
日本では10年落ちの車はどれくらいの価値があるでしょうか?
私は日本にいる時、10年落ちの車を中古車買取会社に査定してもらったことがありました。
ところが、ほとんど凹みやキズがなかったのですが、買取価値がないとの評価を受けたことがあります。これが日本での中古車市場での評価の最たるものでしょう。
それでは、台湾の中古車市場での10年落ちの車はどれくらいの価値があるでしょうか?
中古車買取価格としての評価は、どれくらいかは分かりませんが、10年落ちの1600ccのトヨタ・カローラで改装も内装も良好で、エンジンも全く問題のない(走行距離10万km)中古車の購入価格が…
なんと、本体価格で15万元(60万円弱)です。これは台湾での中古車の相場の一例ですが、概ねこれくらいの感覚です。この事例でも明らかなように、台湾では中古車の価格は10年落ちでも、それほど安くなることはありません。
台湾では、ボロボロの20年落ちの車でもエンジンが動けば、部品を交換して乗るのが一般的です。バンパーなどがボコボコに凹んでいても、そのまま乗り続けるのが一般的です。
ボディーが凹んでいても、バンパーがボコボコでも中古車だからと言って、馬鹿には出来ません。自動車修理工場へ持っていけば、ピカピカになって戻ってきます。
台湾では路肩に「○○万円 連絡先・・・」という張り紙が貼られている自動車をよく見かけます。車を売りたい人や中古車販売業者などが売りに出しているのですが…
見た目はピカピカでも重要なエンジンなどの基幹部はどのようなものか分かったものではありません。そのため、路肩で売りに出されている車はあまり信用しない方がよいでしょう。
日本では10年落ちの評価価額がゼロの車でも、台湾では数十万円の販売価格で取引されていたりします。それならば、日本で価値がなくなった比較的程度のよい車を台湾に輸入しようと考える人もいるでしょう。
ところが、台湾では左ハンドルの車しか認可されないなど、日本と台湾では車の規格などで異なる部分が多いため、車の輸出入は簡単ではありません。
台湾と日本の中古車価格を比較してみた結果
台湾では、新車は日本よりも価格が高いですし、直ぐに当て逃げされそうですので、中古車を検討してみようと考える方もいるかもしれませんね。
台湾の中古車市場と日本の中古車市場で価格比較
とりあえず、台湾の中古車市場の相場を知るためにインターネットで適当な中古車を検索してみました。そうしたら、驚くべき事実が判明しました。
台湾の中古車、高け~っ!
日本で日本円50万円位なら、どれくらいの自動車が購入できるだろうか? ネットで調べてみると、50万円ではボロボロの車しか買えないみたいですので、日本の中古車と比べることにしました。
トヨタのウィッシュ(Wish)の2004年10年落ちの車で、日本と台湾の中古車市場を単純比較してみました。
日本では、ウィッシュは上下の値幅は10万円~110万円の範囲ですが、おおむね30万円~60万円くらいの価格帯が多いです。
台湾では、平均価格39万元(34万元~43万元)です。つまり、今の為替では日本円で145万円ほどになります。
トヨタWISHの2004年もの中古車価格
台湾の中古車WISHの価格は、日本の中古車WISHの約3倍くらいです。
これが、台湾中古車市場の現実です。つまり、台湾では10年落ち車でも価格があまり下がらないようです。
日本で10年落ちの中古車はあまり価値がないし、少しボディーに擦りキズがあったりバンパーが凹んでいたら無価値になり買い取ってもらえないのが現実です。
しかし、台湾ではバンパーは凹んでいるのが当たり前で、ボディーにも何らかの傷があるのが当たり前です。
そのため、当然中古車として再販売する場合は修理して売り出すため外見はそれほど悪くないようです。
台湾では日本からの輸入中古車が皆無の理由
これだけ、国によって中古車の価格差があると、そこに裁定取引が起こってもよさそうです。しかし、日台間ではそのような裁定取引は起こらないようです。
最も大きな理由は、ハンドルが逆だということです。日本では左側走行のためハンドルが右側についていますが、台湾では右側走行のためハンドルが左側に付いています。この違いによって日本から台湾への中古車の輸入を拒んでいるようです。
台湾は、もはや日本と同じくらいインフラ整備がされて先進国といってもよいくらいの生活レベルです。しかし、発展途上国でもないのに、台湾では非常に古い、30年落ちくらいの中古車が走っています。
台湾の中古車の市場価格は日本での中古車と比べると非常に高い、その理由はハンドルの位置が逆だということを知らされました。