外国に住んでいる方や海外ノマド生活を楽しんでいる方、海外を拠点に海外ブロガーとして活動している方、あるいは確定申告の申告期間(2月16日~3月15日)に日本に滞在していない方なども、日本の確定申告をしなければならない場合もあると思います。
このような場合に、確定申告を期限内にする方法を、国税庁の規定と今までの自分の経験を基にいろいろ考えてみました。今後は海外で生活をしながら、日本で所得を得て生活をする人が増加していくものと思われます。そのような方たちの一助になればと思い、簡単にご紹介します。
国税庁の規定はどうなっているのか?
国の定めた所得税の制度では、日本の居住者(住民票登録有り)と非居住者(住民票登録なし)により、とるべき対応が少し異なりますが、所得税の確定申告に関する限り、日本で所得が一定割合を超えていれば、いずれにしても申告義務があります。
非居住者とは?
非居住者とは日本に住所がなく、かつ、1年以上居所を有しない個人をいいます。
逆に言えば、上記以外の方を日本の居住者と言うことになります。
実際には、諸般の事情により、住民票登録を残して置き、海外で生活している方も多くいます。その反対に、日本と海外のデュアルライフをしている方などは住民票登録を抜いていながら、日本で生活をしている方もいるかと思います。
一般的に、日本の居住者の場合は、本人か顧問税理士などが税務周りの申告をすることになることでしょう。一方、非居住者の場合は、本人が海外滞在などで日本にいない場合は、どうすればよいのでしょうか。国税庁の規定では、「納税管理人」を選定して、納税管理人を通して申告することになります。
国内に住所を有していない又は有しないこととなる場合に、申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要のため納税管理人を選任する(国税通則法第117条)
納税管理人とは、具体的に誰なのか? を調べても、明確な解答は書かれていません。納税管理人は個人や法人を問わず、誰でもOKのようですが、一般的には、税理士や税理士法人、あるいは親族などになるのだろうと思います。
顧問税理士に依頼すると言うことになれば、かなりの所得がある方になるのでしょう。それ以外の方、例えば小額の所得ではあるものの申告義務が生じている方(収益20万円以上の方)や非課税所得世帯であることを証明するために申告をしようという方は、経済的に考えて、税理士を雇うことは難しいでしょう。
その場合は、税務に詳しい親族を納税管理人に選定して税務に関する手続きを代理してもらうことになるのでしょう。そのような人が周りにいない場合は、自分自身で確定申告をしなくてはなりません。
《補足》住民税
1月1日付で住民登録がある(住民票)自治体に住民税を支払う義務が生じます。長期海外在住者で課税所得がある場合は住民票を抜くことで住民税の課税はされなくなります。
つまり、住民税(市町村民税・道府県民税)は住民票の有無により課税対象になるかそうでないかが決まりますが、所得税は日本で稼いだ所得(日本の銀行口座に入金)は、どこに住んでいるかに関わらず、住民登録の有無に関わらず、納税義務があります。
外国在住の海外滞在者が自分で確定申告をする方法
海外滞在中に自分自身で確定申告をする方法について考えてみます。大前提として、自分自身が確定申告をするための手続きや税務に関する知識がある場合に限られます。
一般的に、確定申告をする場合は下記の2つの方法があります。
- e-Tax(イータックス)で確定申告をする方法
- 印刷して郵送などで提出する書面提出をする方法
e-Taxで確定申告をする方法
国税庁のイータックスを利用すれば、確定申告に関する全ての手続きがインターネットを通して、自宅にいながら完結します。海外滞在中でも、物理的にe-Tax制度を利用して確定申告をすることが可能かどうかの検証は下記記事でレポートしています。
海外在住者がe-Taxで海外から確定申告・・・することは可能か?
ただし、法的に認められている方法なのかどうか、滞在国のネット環境などによっても、海外からe-Taxでの確定申告が可能かどうかは異なるかもしれません。また、重要な個人情報が漏れたり、覗かれてしまうリスクもあります。
海外からe-Taxをすることは、あまりおススメしませんが、どうしてもという方は、こちらで必要なものを確認してください。
書面提出で確定申告をする方法
上記のようなe-Taxをする上での規制やリスクを出来るだけ避けるためには、「書面提出」による確定申告の方法の方が良いかもしれません。書面提出による確定申告とは、確定申告書類をプリンターなどで印刷した上で、所轄税務署に郵送あるいは持参する方法になります。
この方法でも、国税庁のHP上のオンラインで確定申告に必要な情報を入力できます。(もちろん紙ベースに記入することもできます)一般的には、オンラインで必要情報を入力しておき、最終的に提出する必要がある書類をプリントアウトして、書面で郵送することになります。
海外滞在中でもインターネット環境さえ整っていれば、上記の確定申告に必要な書面をプリントアウトするところまでは可能です。最終的に、プリントアウトされた申告書をどのように所轄税務署へ提出するのかが最も考慮すべき問題となります。
日本に協力いただける親類(親や兄弟)がいる場合は、プリントアウトされた申告書に印鑑を押して、日本に居る親類宛に国際郵送をして、その後、所轄税務署に郵送してもらうことができれば問題なさそうです。
親類の協力ができない場合は、信頼できる友人や知人を当てにするしかありませんが、あまりおすすめできる選択ではないです。誰も協力してもらえそうな人がいない場合は、直接、国際郵便で税務署に郵送することもありかもしれません。この方法は、私もしたことがないため、税務署の方で受理してもらえるかどうかは分かりません。(自己責任でお願いします)
海外滞在中に確定申告をするために必要なもの(書面提出の場合)
最後に、どうしても海外滞在中に確定申告をしなくてはならない場合、必要なものリストをまとめておきます。
- インターネット環境
- パソコン
- プリンター ※ない場合はコンビニなどでプリントアウト
- 印鑑
- マイナンバー(個人番号)カード ※マイナンバーカードがない場合は通知カードと運転免許証などのコピー
- 生命保険料などの各種控除のための証明書
以前、海外からイータックス制度を利用して確定申告をしたことがありますが、ここ数年は、確定申告をするには時期的に少し早いですが、春節休みに日本へ一時帰国した際に片付けています。
最後に、確定申告をする場合には、1年間の収支を計算し所得税を計算する必要があります。その際に活躍するのが会計ソフトです。一般的には、会計ソフトを使用するには複雑な簿記の知識が必要になりますが、簿記の知識がなくても簡単に使用できるのが、freeeという会計ソフトです。無料で試してみることも出来ますので、是非どうぞ。
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