台湾で見つけた日本では昔懐かしの個人スモールビジネス・商売

日本では一昔前には、よく見かけたのですが、最近はあまり目にすることがなくなったスモールビジネスも、台湾の地方都市に行けば、まだまだ健在です。そんな個人ビジネスや個人商売について、台湾現地からレポートします。

 

台湾で見つけた懐かしいスモールビジネス

ゴミ回収業者

日本に帰国した時に、両親が住んでいる実家にゴミ回収業者が来ました。私の両親が住んでいる都市は地方都市の中でも田舎の方です。そんな場所に、金属系資源や農機具などの機械やバイクなどを扱っている回収業者の方が来たのですが、その方はパキスタン出身の方でした。両親に聞いてみると2ヶ月に一回くらいのペースで巡回してくるようです。

私が名古屋に住んでいた時にも、資源回収業者は数ヶ月に一回くらいのペースで見かけました。軽トラックにスピーカーを付けて流している業者です。このような業者は古紙専門業者かそれ以外の不要品回収業者に分かれるようです。余談ですが、「不要テレビや冷蔵庫も無料回収します。」という謳い文句は、「回収の手間は無料ですが、処分費用は別途請求します。」という遣り口は常套手段ですね。

それでは、台湾でのゴミ回収業者の状況は?
最も多いゴミ回収業者は、年配のお年寄りの方たちです。台中のような地方都市では、リアカーを引きながらダンボールや空き缶やペットボトルなどを回収している高齢者をよく目にします。彼らは、どのお店や場所で資源となるモノが出されるのかを知っているため、毎日同じルートで回収しているようです。

そのような存在を知ってか知らずか、お店側も店先にダンボールなどの資源となるものを放置している光景もよく目にします。放置してあるゴミを拾っていく形態になりますので、両者の間には金銭の授受は存在しません。つまり、タダで資源回収をすることになります。

その他にも、専門の資源回収業を営んでいる人たちもいます。そのような方たちの多くは家族経営で夫婦や親子で小型トラックを使って、回収契約を結んで経営をしているタイプになります。そのため、ゴミを回収するというよりも古紙やくず鉄などの資源を回収することになりますので、業者側はそれらの資源をお金で買い取る形になります。

また、大きなビルやマンションなどの場合は、ゴミ置場が設置されている場合がほとんどです。この場合は、専門業者との契約により、一般ゴミの回収と資源の回収をしてもらうことになります。

日本では、ゴミ置場のゴミを勝手に持って行けば、不法侵入など法的に違法行為になりますが、台湾では上記のような高齢者がゴミ箱からゴミをあさっていたりして、まだそのような法的なことには厳しくないため、社会のユルさを感じる場面でもあります。

行商人

行商人とは、「商売に行く人」、つまり実店舗を持たないで、お客さんのところへ商品を持って売り歩く人のことです。昔、さおだけ屋はなぜ潰れないのか?という本がブームになりましたが、さおだけ屋も行商の一つの形態ですね。

私の実家では、小学生頃くらいまでは、八百屋の行商人が小型トラックに食料品をいっぱい乗せて行商をしていたものです。週に3回は来てくれていたため、おやつを買って貰うのが楽しみでした。母親は持ち運びに不自由な一升瓶やお醤油などの重いものやお魚などの生鮮食料品などをよく購入して利用していました。

このような形態の行商人はいつしか自宅まで来なくなり、日本ではあまり見かけることが少なくなりました。そんな行商人ですが、台湾ではまだ健在で、よく見かけたりします。野菜や魚・肉類などの生鮮食品を専門に扱っている行商人は郊外の場所で、多くの人が住んでいる特定の場所では、決まった時間に巡回していたりします。このような光景を見ると昔を懐かしく思ったりします。

その他にも、車通りの多い場所には、山で農家を営んでいると思われる人が、野菜や果物を軽トラックに沢山乗せて、路上で販売していたりします。新鮮な食品が少しだけ安く購入できるため直ぐに売り切れてしまいます。

露天商

露天商とは、店舗を持たずに屋外で商売をする人のことです。台湾の夜の楽しみと言えば、「夜市」を思い浮かべる人も多いと思います。台湾は露店商天国です。商品さえあれば、誰でも手軽に始められるスモールビジネスのため、台湾では老若男女を問わず、夜店や露天商は大盛況です。

日本でも、お祭りなどでは露天商をまだよく見かけますが、昔ほど露天商を見かけることが少なくなりました。その理由は、実際に露天商を始めるためには法的手続きや役所などへの届出など多くの手間と時間が掛かり、その適用が厳しくなったことがでしょう。

その点、台湾では、そこまで法的手続きや役所への届出などは厳しくないため、誰でも簡単に始められるスモールビジネスとして、人気が高いわけです。ただし、最近は少し警察の監視が厳しくなった為なのか、路上で看板を大規模に挙げて露天商をしている業者は注意されている場面を見かけたりします。台湾でも警察や役所の対応も昔ほどルーズではなくなりつつあるのかもしれません。

 

まとめ 台湾から日本の過疎地を視る

最後に、日本では、特に地方都市へ行けば行くほど、高齢化が進んでいるのが現状です。そして、65歳以上の高齢者が過半数を占めるようになれば、限界集落と呼ばれるようになり、集落として機能しなくなります。

このような郊外の村には、バスなどの公共交通機関がなく、車の運転も危険な高齢者も多いため、インバウンド型サービスが必要とされているように感じます。上記のような限界集落のような場所にこそ、資源回収業者や行商人は必要とされる現状があります。

そして、そのような村には、食品の行商だけではなく、衣食住のあらゆる場面で人手が必要とされ、例えば、家屋の修復などの「住」に関する場面でも人が必要とされています。

限界集落は極端な例かもしれませんが、過疎化が進んでいる日本の田舎には、人手が不足している場面が多く、そのような場所にこそ、小規模ビジネスの大きなヒントを見つけられる機会が転がっていたりします。

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