台湾人は起業意欲が高く、自営業者が非常に多い現状にあります。特に、若い人ほど自分でお店や事業を始めて、若くしてビジネスで成功したいと考えている方が多いです。
このような台湾人の起業家精神が非常に高い理由を、実際に台湾人と話したり、接する中で感じたことを踏まえて、台湾現地からレポートします。
日本で正社員は生活保障と安定感抜群の人生設計の礎
台湾と日本の企業を比較すると、最近では少しづつ変りつつあるかもしれませんが、海外から見た日本企業は、年功序列型の賃金形態や労働契約では長期雇用型という現状からすると、圧倒的に日本企業は安定していると実感します。
この辺りは明文化されてはいないもののデファクトスタンダードとして雇用側と労働側が暗黙の了解として労働契約が守られてきたため、社会の中で醸成されてきた一種の企業文化というものなのでしょう。
また、給料面では、正規労働者の比率が下がり続けていたり、サラリーマンの年収が下がり続けているという事情はあるものの、独立自営でなく会社に勤務していれば、比較的高い収入を保障されるといったところが日本で正社員として働くメリットであり特徴でしょう。それでは台湾ではどうでしょうか?
台湾のサラリーマンの待遇は?
台湾で正社員として働く場合の給料は、日本と台湾の物価の違いを考慮しても、決して高いものではないようです。台湾の収入(年収・月給)に関する情報は下記記事をご覧ください。
一般的には、台湾でも金融などの分野や専門分野以外の仕事では、給料が比較的低い状況にあります。
しかも、日本のように年功序列型の賃金形態でもなければ、長期雇用も保障されていないため、台湾人はチャンスがあれば、いつでもよい高い待遇を求めて次から次へと転職を繰り返していきます。日本では転職回数が多いと転職をする時には不利になりますが、台湾では特にそのようなことはないばかりか、場合よっては転職が多い人ほど優秀人材と見做されたりします。
また、台湾では給料も日本のように当たり前のように年功序列ではないため、40代くらいになると昇給が止まり、逆に年収が下がり始めることも多いです。このように、台湾では会社に勤めていれば安泰という企業が少ない現状もあります。このような理由により、台湾では日本人のように、一生サラリーマンで人生を終えるような人は少数派です。
若者の夢は社長になること!
現在私が勤務している大学で学生たちに、日本語学習の一環として、「将来の夢」について、文章を書いてもらったり発表をしてもらいました。
その結果、彼らの希望や将来の夢として挙げられたことが「独立・起業」でした。
特に、若い世代の人は日本人以上に台湾人の方が起業してお金を稼ぎたい、成功したい、突き抜けたいと考えている学生が多いように感じます。
彼らは起業する目的を何の躊躇いもなく胸を張って、「お金をたくさん稼ぐ」ためと答えます。彼らは純粋に夢を追いかけていく志向が強くあります。この辺りのお金に関する考え方も、日本人と台湾人では少し異なるように感じます。
リスクを考えず無計画に突っ込んでいく国民性
台湾人に限ったことではなく中華系民族は、様々なリスクをものともしないで、チャレンジングな試みをする人が多いのが、その特徴なのかもしれません。その結果、世界のどこへ行ってもチャイナタウンが存在して、中華系民族の強かな移住者が世界各国で生き抜いているのでしょう。
このブログでも何度も書いていることですが、日本人から見ると台湾人はかなり無計画な行動をするのが国民性の一つです。生活のありとあらゆる場面で、その無計画性を見てきました。車やバイクの運転にしても、飛び出してから視界にモノが現れたら止まるという具合です。一旦、ブレーキを掛けて、誰も何もいないことを確認するなどというリスクを考えた行動をとりません。
日本人のように、予め起こりうる問題を予測して、その問題が発生した時にどのように対応するかという発想は、台湾人には希薄です。台湾人の多くが、とにかく物事を早く進めてみて、問題が発生したら、その時立ち止まって、対処療法的に解決策を考えます。
そのため、小吃店などのお店は開業しては閉店して、開業しては閉店するを繰り返しています。開業する自由も閉店する自由も、どちらもほとんどの台湾人が認めるため、世間体などを気にしている人はいません。成功したら儲けモノくらいに考えている人が多いようです。
中華民族に脈々と流れている『史記』の「鶏口牛後」
日本では働く上で長時間努力することが「是」とされてきました。そのような働き方を示す言葉は下記のような諺によく表れています。
- 石の上にも三年
- 桃栗三年柿八年
- 牛の歩みも千里
- 高きに登るは低きよりす
ところが、中国の歴史書である『史記』には、誰でも一度は聞いた言葉が書かれています。
- 鶏口牛後(鶏口となれど牛後となるなかれ)
つまり、大きな組織の末端のではなく、小さな組織のトップになりなさい、という意味ですが、台湾の社会と台湾人の働き方を観察していると、面白いことに「鶏口牛後」そのものです。多くの人が、小さなお店でも家族経営であっても、どのような形であれ社長を目指して働いているように感じます。
このように、起業した親や自営業の親に育てられた子供たちも、親の背中を見て育てば、働く年齢になれば、起業を目指し、会社や事業の規模は問わず独立自営をするというのも頷けます。
独立・起業に関心がある方は、下記よりどうぞ・・・
起業するなら悩む前に行動
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コメント
「台湾人は無計画だ」とありますが、それはあまり教育を受けていない台湾人の話だと思います。高度な教育を受けている台湾人は、それなりに準備をしてから起業するのが一般的です。会社に勤めながらコツコツ資金を貯めたり、何度も現地に足を運んでから決めたり。逆に日本人はあまり深く考えずにスパッと会社を辞めたり、第一印象だけで地方に移り住んだりするように見えますね。
コメントありがとうございます。
台湾人でも日本人でも、いろんな人がいますね。
台湾に住んで、台湾人と一緒に働いたことがある日本人の視点からは、一般的には、日本人と台湾人を比べると、台湾人の方が起業に限らず、あらゆる面で「計画性」は劣っていると思います。それと、突然会社を辞めたり、直感だけで地方に移住したりするする日本人は少数派だと思いますよ。