中華文化圏で「福」が上下逆さ(倒福)の理由と逸話

台湾や中国など中華文化圏での春節(旧正月)の時に、「福」という文字が書かれた赤い紙を見たことがありますか?
いつ見ても「福」の文字は上下反対に張られていますね。

私も台湾に移住する前は、何となく福と言う文字の張り紙を何度か見たことがある程度で、あまり強い印象を持っていなかったのですが、文字が反対に張られているのは、イタズラか何かだろうとあまり気にも留めていませんでした。

ところが、反対に貼られた「福」には意外にも深い意味があったとは…、その理由と逸話を簡単にご紹介します。

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福が逆さまになるのは幸福それとも不幸!?

春節と言えば爆竹を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、中華文化圏である台湾では、多くの自宅やお店などの玄関の門に「福」の文字を上下逆さまにして飾ります。これは、中華文化圏に特有の「倒福」という慣習です。

つまり、「倒」は中国語で「(上下)逆さまになる」という意味があり、「福」は幸福の福です。福が逆さまになるというのは、幸福が下に落ちていくイメージがあり、一見、不幸な意味と思ってしまいます。

「福」が逆さまになっている本当の理由とその意味

ところが、「倒」の発音と「到」の発音は「dào」という発音で、全く同じになります。「到」という文字の意味は、日本語でも「到着する」や「到る」という表現があるように、中国語でも「到着する、やって来る」という意味があります。

つまり、発音の面では「倒福=到福」となり「福がやって来る」ということを表現するために、わざわざ福の文字を逆さまにしているということです。

なかなか、ユーモアのあることを考える人もいるものだなと思っていました。ところが、「倒福」の慣習にはユーモアだけではなく、更に深い逸話が伝承として残されていることを知りました。

「福」の文字が逆さま貼られるようになった伝承的逸話

倒福の慣習は、明の時代に遡るとされています。明朝の初代皇帝洪武帝の皇后だった馬皇后の逸話として残されています。

皇帝のとある思い込みと勘違いで、ある者を捕らえて処罰しようとしたのだそうです。犯人探しの際、犯人ではない者の家の門には「福」の文字を張るように命じたのだそうです。

そこで、皇帝の后である馬皇后は無実の罪で処罰されてしまう市民をかばうために、全ての民家の玄関に福の文字を貼ることにしたのだそうです。ところが、文字を読めない、ある市民が福の文字を反対に貼ってしまったのだそうです。

このことに対して、その皇帝は馬鹿にしていると思い違いし、その家の人を処刑しようとしたのだが、后である馬皇后がその市民を守るために、福が逆さまになっていることを、下記のように皇帝を説得したことで処刑も免れたのだそうです。

福を逆さまに貼ったのは、皇帝の使者が来訪するのを知り、わざわざ福と言う文字を逆さまにすることで、「福が来る」ことを表現したのだと。

それ以降、心優しい馬皇后を称えるため大晦日には、一家の平安を願うために福と言う字を門に逆さまに張るようになったのだそうです。

福や春の文字は逆さばかりではない

「福」の字と対で使用される文字に「春」があります。春の文字も福と同じように、逆さに張ることで「到春」で春が来るを意味します。

ところが、家屋の玄関やドアに張られた福や春の文字を観察してみると、必ずしも逆さに張るだけではないことが分かりました。

画像のように、「福」も「春」も逆さには張られていません。必ずしも福や春は逆さに張らなければ、到来しないと言うわけではなく、逆さに張らなくても、福や春は馬皇后のように優しく人思いの人の所には毎年やって来るのでしょう。

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