私にとって高校一年生の15歳の夏休みに、オートバイ製造工場でライン作業の仕事をしたのが、初めてアルバイトをした経験でした。その当時を振り返って、一般的には過酷だと言われている生産工場でのライン作業の仕事内容と職場での現場の実態をレポートします。
工場内でのライン作業とは、一般的には、ベルトコンベアに乗せられた自動車などの製品を加工していく仕事になります。ベルトコンベアは自動で流れ続けて停止することはないため、必然的にロボットのように指定された時間内に作業をしていくことになります。このような仕事の進め方を「ライン生産方式」と呼んでいます。
ライン生産方式は、自動車、オートバイ(自動二輪)、家電製品、食品など多くの製品生産工場で採用されています。そして、私が勤務した現場は、オートバイを生産輸出している工場でした。その工場内の輸出用自動二輪車の梱包作業をする部署でした。
自動二輪車の生産工場での仕事内容
私が勤務したオートバイの製造工場での仕事は、工場内で完成したバイクを海外へ輸出する為に、一旦、完成したオートバイを部分的に分解して梱包する部署でした。勤務時間の定時は朝8:00から始業し、夕方17:00まででした。ほとんど残業はありませんでしたが、週に1回くらい1時間程度は時間外労働があった記憶があります。
毎朝、製造現場らしく始業前には、ラジオ体操のような準備体操をする社内ルールがありました。どの会社でもどの工場でも、肉体労働を伴う仕事では、同じように仕事開始前には準備体操をしていることでしょう。その当時、高校生だった私は、かなり気だるそうに始業前体操をしていたのですが、現場の従業員の方たちはかなり真面目に実施していたのを覚えています。今思い返してみれば、この準備体操中も給料は発生している上に、肉体労働をする前には必須だと実感する次第です。
そして、その後にはライン作業の基盤に当たるベルトコンベアが動き出すサイレンのような音と共に、輸出梱包部門の仕事が始まりました。私に割り当てられた作業は、モトクロス用バイクのハンドル部分とエンジンカバーの部品を外すことでした。インパクトドライバーを使い、4箇所ぐらいネジを緩めて取り外すだけです。そして、この単純作業が1日中続くことになります。
作業開始から約2時間毎に10分程度の休憩があります。午前中に1回と午後から1回の合計2回休憩があります。休憩中はトイレに行ったり、水分補給をしたり、タバコを吸ったりしている方が多かったです。ちなみに、お昼の休憩は12時から13時までの1時間でした。
男性はライン作業での中心的な仕事を任される場合が多いですが、女性の場合はほとんど力仕事は必要ない補助的な仕事を任されることが多いです。例えば、女性の担当は取り外した部品やネジなどをエアクッションや小袋などに詰めたり梱包したりする簡単な軽作業です。
オートバイ生産工場でのライン作業の現場の実態
どの工場でのライン作業でも同じですが、仕事は単純で簡単な為、誰でも出来る作業がほとんどです。そのため、特別なスキルや知識は必要なく、私が勤務した時期は夏休みだったため、その現場の従業員は高校生のアルバイトばかりでした。その部門の管理者と思われる中年男性で正社員と思われる従業員が1人か2人いました。その他には、アルバイトではない期間工のような方とパート従業員と思われる方が数名だけで、その他の方はほとんどアルバイトでした。
そのため、年齢層は比較的若い現場でした。仕事の雰囲気に慣れてくると、少しづつアルバイト同士の緊張感も緩んできて打ち解けていきました。女の子のアルバイトにちょっかいを掛ける男子や、男同士でふざけ合う者も現れ始めますが、さすがに学校ではなく、一従業員として会社に勤務し仕事をしているため、どんなにヤンチャそうな者でも最低限の規律は守っていました。
その当時、私が勤務したバイク生産工場でのライン作業での仕事は、全員が一日中、立ち仕事でしたので、さすがに定時となる夕方が近くなってくると、特に仕事を始めた頃はフラフラになり疲れ果てていたことを覚えています。17:00近くなると終業を伝えるサイレンが鳴るのが待ち遠しかった記憶が蘇ってきます。
製造工場でのライン作業の仕事のメリット
ライン作業の仕事内容は非常に単純な作業の繰り返しです。そのため、誰でも簡単に始められ、仕事をする上で頭を悩ませたり、人間関係の煩わしさに悩まされることもほとんどありません。ただし、担当する作業によっては、その他のスタッフと共同でする作業もあり、その場合はコミュニケーションが必要になります。
ただ、ひたすら自動的に流れていくベルトコンベアの流れに沿って、作業を繰り返すだけです。そのため、単純作業が苦にならない方やコツコツと淡々と作業を繰り返すことが好きな方はライン作業に向いていると言えるでしょう。
工場内での勤務になりますので、お昼ご飯は弁当を持参するか工場内の食堂を利用することも出来ます。工場内の食堂ではランチメニューが社員価格になっているのか、比較的安く食事を取ることが出来ます。肉体労働者のための食事の味付けなのか、味は少し濃い目で揚げ物などの油っぽい料理が多かった記憶があります。私は、母親が作ってくれた弁当を持参したり、食堂のランチを食べたりしていました。ひと仕事終えた後の食堂の唐揚げ定食の旨さが忘れられません。
製造工場でのライン作業の仕事のデメリット
上述したことと全く反対になりますが、製造工場でのライン作業の仕事のデメリットは、1日中、単純作業を繰り返さなければならないことに尽きます。ライン作業での仕事は、ロボットと同様に、所定の時間、所定の空間、所定の作業を繰り返すだけです。
つまり、逆に言えば、「時間」と「空間」と「動作」を拘束され、自由を奪われるということになるとも言えます。もちろん、基本的には仕事中にトイレに行くことも出来ません。1人でも仕事の穴を開けてしまえば、ベルトコンベアを停止しなければならなくなり、こうなると作業の生産性が落ちるため、管理者は非常に神経質になりイライラし始めます。
また、1人の作業が何らかの原因で滞ったり、トラブルが発生してしまった時には、ベルコンベアが止まってしまいますので、その部門で勤務している全ての従業員は手を休めることになります。一方で、一日に梱包しなければならない数量は決まっていますので、作業のシワ寄せは、その後のベルトコンベアのスピードを上げることで対応せざるを得なくなります。こうなると、全ての従業員が精神的にストレスを感じるようになり、疲れもどっと大きくなります。
このように、工場内でのライン作業の仕事は、自分の時間を切り売りする側面があります。特に、頭で考えるような作業はありませんが、同じ作業を7時間も8時間も繰り返していると、肉体的にも疲れますが、精神的なストレスの負担も大きなものになります。
まとめ
お仕事の概要
- 仕事内容:工場内ライン作業
- 契約形態:アルバイト
- 勤務期間:約1.5ヶ月間
- 時給 :900円(1990年代の高校生の場合)
上記の通り、お給料はその当時の高校生の時給では比較的高い方でした。1ヵ月半の期間でしたが、結果的に約20万円程度の給料を貰いました。その当時、高校生だった自分にはかなりの大金を稼いだという記憶が強く残っています。そして、お金を稼ぐことが、これ程大変なことだとは思わなかったという思いも強く実感しました。
雇用をすることが出来る年齢は16歳以上と思っていたのですが、私はその当時、高校1年生で、まだ誕生日を迎えていませんでしたので、満15歳という年齢でした。法律的には、中学卒業後の15歳でも4月1日以降であれば、問題なく雇用も労働も可能です。ただし、その当時、私が通学していた高校でも校則でアルバイトは禁止されていました。その後、特に問題にならなかったため、バレなかったのでしょう。
工場内でのライン作業をご希望の方へ
私の生産工場内でのライン作業のアルバイト経験から分かった仕事内容と現場の実態について、簡単にご紹介しました。日本国内のみならず、海外への輸出製品に関しては、世界的に景気が良くなると、日本国内では外国人労働者の移民を認めていないため、この分野では必ず人手不足になります。労働者不足が深刻になればなるほど、人材の需給関係が崩れて、その影響は人件費つまり時給の上昇に繋がります。
現在は、世界的景気が回復基調にあると同時に、新興国での経済発展が著しいため、輸出産品を生産製造している企業の現場で働く時給も高くなりつつあります。特に、ライン作業で働く場合は、私が働いたようなアルバイトという契約形態ではなく、派遣社員としての契約形態の方が時給も高く、社会保障も適用される可能性があり有利です。
また、場合によっては、臨時社員として勤務する「期間工(期間従業員)」として勤務すれば、更に給料が高くなるだけではなく、社会保障も完備している上に、下記のような特別な手当なども受けられる場合が多くなります。
各種手当
- 深夜手当
- 時間帯手当
- 残業手当
- 食事補助
- 赴任手当
- 経験者手当
支給金
- 満了慰労金
- 満了報奨金
- 赴任旅費
- 帰任旅費
上記の給料や手当などを合わせれば、大手自動車関連メーカーなどでは1ヶ月の月給は少なくても30万円以上になります。その上に、期間従業員のボーナスとも言えるような慰労金や報奨金が支給されることになります。また、働きや頑張りが認められれば、その後には期間従業員から社員登用制度により正社員として雇用してもらえるチャンスもあります。
このような期間従業員への募集案件は、派遣会社に問い合わせてみましょう。全国各地の工場でライン作業の求人が多くあります。まずは、下記より求人募集案件を確認してみてはいかがでしょうか。
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