海外で日本語教師をする魅力と良かったと感じる瞬間

コラム

海外で日本語教師をしていて、良かったと思うことをレポートします。台湾移住後に、民間の日本語学校や日本語教室(補習班)などを経験しないで、いきなり大学で教鞭をとるようになり、日本語教師を始めて2年目となりました。

現状では、必ずしも自分にとっては日本語教師が天職だと思ったことはありませんが、どういう巡り合わせなのか、あちらからこちらからと、お声掛けを頂き、大学、日系企業、補習班で日本語教師として兼務しています。そんな私が、今まで経験を基に、海外で日本語教師をする魅力と良かったと感じることを簡単にご紹介します。

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外国語の習得が加速する

海外で日本語教師をしていると外国語を使う機会が増えます。それは、日本で日本語教師をしている場合と比較しての話しですが・・・。まず、日常生活で外国語(現地語)を使う機会が多いことと、日本語を学習する学生との接触が増えれば増えるだけ、外国語でのコミュニケーションが増えることになります。

私はできるだけ、授業中でも授業外でも学習者のレベルに合わせて、日本語で話しかけるようにしているのですが、学生は日本語で話し掛けて来たり、外国語で話し掛けてきたりします。そのため、日本語教師でも外国語を最低限聞き取る能力が必要になります。また、入門レベルや初級レベルの日本語学習者のクラスを担当することになると、外国語を使う頻度が高くなります。

日本語教師をしていると外国語の習得が加速するというのは、学生から外国語で能動的にコミュニケーションをとる機会が増えるというよりも、私の場合は必要性に迫られて受動的に外国語を理解せざるを得ない状況に追い込まれ、外国語の習得が加速した結果になりました。いや、今でもそれ程、中国語を理解できていないのは、ここだけのヒミツ。

 

海外の文化や現地の事情を知ることができる

日本語を教えることになると、言語の背景にある日本文化や社会について、必然的に紹介する機会が増えます。そうなると、日本と外国との違いを理解してもらうために、学生に対して外国(現地)ではどうでしょうか?という問いかけをする機会が増えることになります。

その結果、日本と海外の文化の違いや現地事情の違いを知る機会が増えることになります。多くのケースでは、私の場合は授業内容により事前に、それらの違いを下調べしておいて、学生に答えさせる方向へ仕向けて日本語で話す機会を提供すると同時に、日本と自国の違いを認識してもらう、などの方法を使ったりしています。ところが、時には思いがけなく、自分が知らなかった現地事情を学生から教えてもらうこともあったりします。例えば、下記のような台湾事情を学生から教えてもらいました。
成人は20歳以上と日本と同じでも民法と刑法により成人の定義が違う台湾

 

現地での友人の繋がりが広がる

日本語教師に限ったことではなく、海外で働いている方に当てはまることかもしれませんが、海外で人と接する仕事をしていれば人との繋がりが拡がっていきます。特に、人と接する頻度が高い日本語教師は、友人や知人の輪が拡がりやすいです。

何かとイベント的な催しがあると、先生も一緒にどうですか、と誘われることも多いです。授業中は教師と学生の垣根をハッキリとさせ、一定の距離をおく場合も必要ですが、授業外では友人のように接することも多くなります。特に、台湾の学生は授業外では気軽に、友人に話しかけるように声を掛けてきたりする学生も多く見受けられます。

 

困った時は助けてもらえる

大学に赴任した当初は、中国語も余り聞き取ることが出来ずに、中国語で意思を伝えることも、ほとんど不可能だったため、随分と学生に助けられたことを覚えています。時には、学生に日本語と中国語の通訳をして貰ったこともあります。

上述の通り、海外で日本語教師をしていると人と人の繋がりつまり人脈が拡がるため、何か困ったことがあれば、気軽にクラスメートなどに相談したり話しを聞いてもらうと、思い掛けなく、別の人を紹介してくれたり、良い情報を教えてくれたりすることがよくあります。

例えば、目が痒くてどうしようもない時に、学生に目が痒くなることはあるかどうか、台湾には花粉症はあるのか、などと話していると、ある学生が私の親は眼科医なので家に来てください、などと意図せず眼の診察をして、目薬を貰うなんてことがあったりします。

 

教える技術が身に付けられる

外国語を教えた経験がなく始まった日本語教師としての仕事ですが、何とかまだ続けられています。(いつまで続くか分かりませんが・・・)
振り返ってみると、1学期目よりも2学期目、1年目よりも2年目と、日本語を教える技術も曲りなりに向上しているように感じます。

例え話をすれば、全く何も分からない人に、新たなことを教えていく作業は、真っ白な紙の上に絵を描いていく芸術的な作業に似ています。まず初めに、大きな輪郭を描いていきますが、その輪郭のバランスが悪いと、最終的には満足した作品が出来上がらないため、途中で輪郭を修正していく作業が必要になります。このような改善作業により、最終的には十分満足できる作品に仕立て上げる、何度もそうこうしている内に輪郭を上手に描けるようになり、次は細部へのこだわりへと向かいます。

日本語教師としての経験も、上記のように絵画を描くように、シラバスやカリキュラムを組む作業で七転八倒しながら、クラスの運営、練習の進め方などの細部へのこだわりを修正する過程で、経験を積み教える技術が身に付いていくものなのでしょう。このような作業は、もし仮に将来は日本語教師を離れた後でも活用できる技術になるかもしれません。

 

日本語教師が最も充実感を感じる瞬間とは?

最後に、海外で働く日本語教師に限ったことではありませんが、一般的に日本語教師が最も魅力的に感じることは、学生の日本語能力が向上した時でしょう。

自分が教えた学生が、自分が教えた表現や言葉を使ってコミュニケーションを積極的にとることができるようになった瞬間は、教師冥利につき、充実感で一杯になります。

未経験から日本語教師を目指す方へ >>> 日本語教師になる方法

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