日本語教師として初めて直接教授法に挑戦した結果

日本語教育

日本語を台湾人に教える際、初めて直接教授法で教えてみた結果、どうなったか、あるいは、自分がどう感じたかをレポートします。台湾の大学で日本語教師を始めてもう直ぐ2年半が経過しますが、今まで媒介語である中国語を使いながら日本語を教える間接教授法に重点を置いて教えてきました。

とある切っ掛けで、ある一つのクラスで日本語のみで日本語を教授する直接法で教えてみることになりました。その結果、新しい発見と失望を感じましたので簡単にご紹介します。

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外国語としての日本語を外国人に教える教授法の2つのスタイル

外国語を教授する方法は、学習する外国語だけを使用して教える直接教授法(直接法)と媒介語である現地の言語を使用して教える間接教授法(間接法)の二種類があります。例えば、台湾で日本語を教える場合は、日本語だけを使用して授業を進める直接法と中国語を使用しながら授業を進める間接法の二つの方法があります。

台湾人の日本語教師の場合は、中国語や台湾語を使用しながら日本語を教える方法が一般的です。一方で、台湾では外国人教師となる日本人の日本語教師の場合は、直接法で教える方と間接法で教える方、もしくは直接法と間接法の二つの方法を交えながら授業を進めるタイプに分かれます。

 

私が普段使用している日本語教授法のスタイルは?

私の場合は、特に決まった方法で教えているという方法論はありません。もう少し具体的に言えば、日本語学習能力が入門レベル程度までの学生のクラスでは、間接法に重点を置いて授業を進めています。そうは言っても、簡単な中国語しか使っていませんが・・・。そして、日本語運用能力が中級レベル以上の学生には、ほぼ100%直接法で教えています。

上記のような教授法の使い分けをしている理由は、入門者レベル以下の学生に日本語だけで授業を進めると、日本語を全く理解できない学生は授業を受けることを放棄してしまう可能性が非常に高くなるからです。また、中級レベル以上の学生にはできるだけ多くの日本語を聞いてもらい、外国語である日本語を聞き取る能力を高めてもらいたいため、授業で使用する言語はほぼ100%日本語のみです。

 

入門者クラスで日本語だけを使用して教えた結果気が付いたことは?

そんな中、ある切っ掛けで、入門者だけのクラスで日本語だけを使用して教えて欲しいとの要望を受けました。正直に言えば、入門者クラスで直接法で授業を進めていくことには抵抗がありましたが、自分の今後の経験にもなるかもしれないという気持ちも少しはあり快諾しました。

以下は入門者クラスで、初めて直接法で教えてみた結果、私が気が付いたことです。

・簡単な既習レベルの言葉を選んで説明することがとても難しい
・学生の理解を確認しながら進めるため授業の進度が遅くなる
・学生の理解度を表情などで確認することが想定外に難しい
・どうしても日本語だけでは説明しきれないことは媒介語を使ってしまう
・パフォーマンス(ボディーランゲージ)を通して相手に伝える機会が増える

 

入門者クラスで直接法を使用して日本語を教えた感想は?

入門者クラスで直接法だけで日本語を教えたことは、初めての経験でしたので、正直な感想を一言で表せば、「疲れた!」です。なぜ疲れたのかを自己分析してみると、普段使っていない思考経路をフル稼働させていたからではないかと思います。

ひとつの言葉や表現を相手に伝える時、全く言葉が分からない自分をイメージし、相手の立場に立った架空の自分を脳内に作り、その架空の自分に対して言葉を表現して架空の自分が理解できるか、ということを瞬時に無意識に脳内で展開しているイメージが一番近いかもしれません。今までに、このような妄想プレイをしたことがなかった私は、プレイ(授業)を終えて、どっと疲れを感じました。

もう一つ感じたことは、日本語を教えることが教え始めた時と同様に下手糞だなという失望です。私は相変わらず日本語を教えることは上手ではなく、得意でもないということをつくづく感じます。日本語教師をしている方たちは、自分が日本語を教えることが上手であるか、たとえ下手であっても得意だと感じているか、少なくても日本語を教えることが好きだという気持ちがあるのだろう思いますが・・・。

今はただ、入門者クラスで日本語だけを使用した直接法で教えている方を尊敬します。それと同時に、直接教授法で自分なりの教授スタイルを身に付けてしまえば、その後はその繰り返しと自分の教授法の精度を上げていくだけになるのだろうと思います。今後は様々な教授法のバリエーションを身に付け、戦場(教室)に、たくさんの武器(教授法)を持ち込めば、敵(学生)を粉砕する(能力向上する)ことが出来るのかもしれません。

未経験から日本語教師を目指す方へ >>> 日本語教師になる方法

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