台湾で日本語教師をする時の就労ビザについて詳しく解説します

台湾での日本語教師のビザ 仕事・就職

台湾で日本語教師をする際の就労ビザについて、ビザの申請・取得のための条件、日本語教師として働く際の制限、ビザ申請が許可されている学校や教育機関に関する情報を詳しく解説します

台湾で日本語教師をしてみたい、台湾の大学や高校などの日本語学科や日本語科目の講師をしてみたい、台湾の日本語教室や語学学習塾などの教育機関で台湾人に日本語を教えたい、このような方へ向けて、就労ビザにスポットを当ててみます。

ココに注目

  1. 台湾で日本語教師をする場合の就労ビザとは?
  2. 就労ビザを申請するために必要な条件とは?
  3. 日本語教師として働く場合の法令上の勤務時間とは?
  4. フルタイム、パートタイムの働き方は可能なのか?
  5. 就労ビザ申請に必要なものは?
  6. 就労ビザ申請が可能な教育機関とは?

台湾ではじめて日本語教師をしようと考えている方の中には、上記のような疑問を持っている方もいるかもしれませんね。

そこで、今回は、台湾の「外國人從事就業服務法」という法令をもとに、できるだけ簡潔に分かりやすく、上記のようなポイントを台湾現地からレポートします。

 

台湾での日本語教師の就労ビザ

台湾では、下記のようなビザを取得していると、日本語教師として働くことができます。

  1. 就労ビザ
  2. ワーキングホリデービザ
  3. 配偶者ビザ
  4. 学生ビザ

上記の内、今回は就労ビザについて詳しく解説をしていきますが、その他のビザについてもポイントだけ簡潔に触れておきます。

ワーホリビザでは、期間の制限はありますが、短期で日本語教師として働くこともできます。

配偶者ビザとは台湾人と結婚をすることで申請ができるビザで、配偶者ビザを取得していると、国家公務員などの特定の一部の仕事以外はどのような仕事でもできるようになります。

また、学生ビザで働くことができるというのは意外かもしれませんが、実は週に20時間以内という制限付きですが、台湾当局に申請をすると働くことができます。

台湾では、日本人のメリットを生かして、できる仕事の中では、場合によっては比較的高い時給で働くことができるのが日本語教師です。

以下では、就労ビザを取得して、正社員あるいはフルタイムで日本語教師をする場合について、法令上の条件について解説します。

 

就労ビザの申請が可能な教育機関

台湾で日本語教師をする場合の就労ビザの申請に必要な条件について、関連法令を紹介しながら、詳しく解説してみます。

雇主聘僱外國人在中華民國境內從事之工作,除本法另有規定外,以下列各款為限:
一、專門性或技術性之工作。
二、華僑或外國人經政府核准投資或設立事業之主管。
三、下列學校教師:
(一)公立或經立案之私立大專以上校院或外國僑民學校之教師。
(二)公立或已立案之私立高級中等以下學校之合格外國語文課程教師。
(三)公立或已立案私立實驗高級中等學校雙語部或雙語學校之學科教師。
四、依補習及進修教育法立案之短期補習班之專任教師。

(以下、略)

(引用元:外國人從事就業服務法より一部抜粋)

 

台湾での日本人を含む外国人の就労を制限する法律には、上記のような規定があります。

就労ビザを申請して、外国人を雇用することができる仕事として、日本語教師が関係しそうな部分のポイントをまとめると、下記のようになります。

  • 公立大学、私立大学、外国学校(日本人学校)の教師
  • 公立高校や私立高校以下の学校の外国語教師
  • 公立または私立実験高校のバイリンガル学校の学科教師
  • 法令で認可された短期補習班(学習塾)の専任講師

つまり、台湾で日本語教師として働く場合に法令上認められている教育機関は上記のみということが分かります。

上記の教育機関のうち、最も多くの日本人の日本語教師が働いているのは短期補習班と呼ばれる学習塾になります。

政府当局から認可された短期補習班であれば、例えば日本語学校の場合は「私立○○日語短期補習班」のような形式で認可されていたりします。

蛇足ですが、家教と言われる個人の人が個人事業として開いている日本語教室がありますが、家庭教師と同じ位置付けですので、就労ビザの申請はできません。

 

就労ビザの申請に必要な条件

台湾で日本語教師として働く場合の就労ビザの申請に必要な条件は何か?

まずは、短期補習班の場合は、下記のように法令で決められています。

外國人應具備下列資格:
一、年滿20歲。
二、大專以上學校畢業。惟未取得學士學位者,另應具有語文師資訓練合格證書。
三、教授之語文課程為其護照國籍之官方語言。

 

上記のポイントは、下記の通りです。

  1. 年齢が20歳以上
  2. 短期大学卒業以上
  3. 大学の学位を取得していない場合は「日本語教育能力検定試験」などの合格証書(中国語翻訳)

以上のような規定になっていますので、大学卒業以上の学位を取得していれば、法令上は働く条件に合致しているということになります。

上記は短期補習班の条件ですが、例えば、大学などの高等教育機関の条件は修士以上の学位が必要とされます。詳しくは、下記記事でも触れていますので、ご覧ください。

≫≫【保存版】日本語教師になる方法(キャリアアップのルートマップ付)

 

台湾での日本語教師の法定勤務時間

台湾で日本語教師をする場合の法定勤務時間は何時間なのか?

 

外國人每週從事教學相關工作時數不得少於14小時,如同時受僱於2名以上雇主,每一新雇主每週從事教學相關工作時數不得少於6小時。外國人從事教學相關工作總時數不得超過32小時。

 

上記のように、台湾で就労ビザを取得して、日本語教師として働くためには、毎週の労働時間が規定されています。

勤務に関する時間のポイントをまとめると、下記のようになります。

  1. 週あたりの教授に関する時間は14時間未満ではダメ
  2. 2つ以上の学校を掛け持ちしている場合は、それぞれ週6時間未満ではダメ
  3. 週あたりの教授に関する時間は32時間を越えてはダメ

上記のように、台湾で日本語教師として働く場合は、意外にも細かく規定があります。

つまり、週当たりの勤務時間が短すぎても問題があり、あまりにも働き過ぎても問題があるということになります。

週に15時間のクラスを担当すると仮定すると、一日あたり3時間になり、1コマあたり1時間の授業であれば3コマ、1コマあたり45分の授業であれば4コマとなります。

 

フルタイムとパートタイムの働き方

台湾でビザを取得して日本語教師をする場合には、雇用主の学校や学習塾に就労ビザのサポートを受けて働くことになります。そのため、フルタイムで働くことが一般的です。

それでは、パートタイムで働くことはできるのかどうかを考えてみます。

一般的に、配偶者ビザ、ワーホリビザ、学生ビザなどの場合は、パートタイムで働くことは可能です。

ところが、雇用主からビザのサポートを受け、就労ビザを取得して、日本語教師として働く場合は、ほとんどの学習塾では、勤務時間内で、できるだけ多くのクラスを担当するのが一般的なようです。

通常、2つの学校や教育機関を掛け持ちをするケースは少ないかもしれませんが、台湾では外国人でも兼業が認められていますので、いろいろな働き方ができるのかもしれません。

例えば、2つの大学の授業をそれぞれ週6時間づつ担当すれば、上記の法令上は外国人の就労条件を満たすことになります。

この場合は一つの大学をクビにされた場合は、その時点で就労ビザの更新ができなくなることを意味しますので、かなりのプレッシャーになるかもしれません。

また、信頼のおける雇用主が経営する学習塾との人脈を作っておけば、ある程度は融通を利かせてくれる場合も考えられます。

例えば、上記の例で言えば、2つの大学で掛け持ちをする場合に、保険として学習塾にも、パートタイムで週に一回だけクラスを担当させてもらい、人脈を作っておくなど…。

いずれにしても、台湾で就労ビザを取得して、日本語教師としてパートタイムで勤務するのは少しハードルが高そうな気がします。

 

就労ビザ申請に必要なもの

就労ビザの申請は雇用する企業や学校側が手続きをすることになりますが、その際に必要なものを求められます。

雇用する側と雇用される側が準備するものを切り分けながら、日本語教師として補習班で働く場合に必要なものをまとめておきます。

  1. 申請書
  2. 審查費收據正本
  3. 受聘僱外國人名冊
  4. 受聘僱外國人之護照影本或外僑居留證影本
  5. 受聘僱外國人之大專以上學歷證書影本
  6. 聘僱契約書影本或副本
  7. 申請日前三個月內中央衛生福利主管機關規定之合格健康檢查證明文件正本
  8. 補習班立案登記證明
  9. 補習班負責人之國民身分證、護照影本或外僑居留證影本
  10. 擬聘之外國人每週課程表
  11. 原聘僱許可函影本
  12. 受聘僱外國人原護照國最近六個月內所開具之全國性無性侵害、性騷擾、性剝削、性霸凌或損害兒童及少年權益犯罪紀錄之行為良好證明文件

 

上記のように、台湾で外国人を雇用する場合は多くの必要書類が必要となり、複雑な手続きとなりますので、雇用する側も慎重にならざるを得ません。

上記の必要書類の内、雇用される側が用意する書類をピックアップしてみましょう。

  1. パスポートのコピー
  2. 居留証のコピー
  3. 卒業証書(認証済み)のコピー
  4. 健康検査証明書の原本
  5. 日本での無犯罪証明書(犯罪経歴証明書)

大学などの最終学歴を証明する卒業証書については、日本では就職する時などには封印されたA4の卒業証明書ですが、台湾では卒業証書が必要になります。(首席の卒業生が学長から受け取るアレ)

提出の際には、日本にある台湾の在外公館での文書の認証が必要になりますので、日本で認証を受けておく必要があります。

そして、無犯罪証明書は都道府県の警察本部で取得することができます。こちらも、台湾在外公館での認証が必要になります。

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まとめ

以上、台湾で日本語教師として働く場合の就労ビザについての情報をまとめました。

就労ビザを取得するには、意外にも細かい条件や制限が法令で決められていることが分かりましたでしょうか。

台湾で外国人が働く場合の給料については原則的には法令で月収ベースで約48,000台湾ドル以上でなければならないと決められていますが、日本語教師を含めた外国語教師は例外とされ、雇用主が独自に給料を決められます。

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最後に、台湾で日本語教師として働く場合の就労ビザのポイントをまとめておきます。

この記事のポイント

  1. 就労ビザを申請するために必要な条件として学歴が重要
  2. 日本語教師として働く場合の法令上の勤務時間は決められている
  3. 就労ビザで働く場合はフルタイムでの勤務が基本
  4. 就労ビザでパートタイムは可能だけれど難しい
  5. 就労ビザ申請で用意するものは4つある
  6. 就労ビザ申請が可能な教育機関は限定されている
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