台湾に来て日本語教師として台湾の某大学で日本語を教えることになり、この学期で1年半が経過します。そんな折、日本語教師として、また新たな展開がありましたので、簡単にレポートします。
まだ、日本語教師という仕事を始めて、それ程時間も経過してなく、経験も浅い素人同然の私に新たな日本語教師のお仕事が舞い込んで来ました。
企業で日本語を教えることになった切っ掛けと決断
とある大学の先生から、日本語教師として企業で日本語を教えてみないかとの仕事のご紹介がありました。いわゆる企業派遣での日本語教師としてのお仕事です。
具体的には、週一回(2時間)だけですが、日系企業へ出向いて、その会社の従業員の方へ日本語を教えるという仕事です。
私が今回担当することになる授業は、主に日本語を既に何年間か学習したことがある方たち数名に、ビジネスで使う日本語を教授するという内容でした。
まだ大学で日本語を教え始めて、2年も経過していないのに、今度は企業で日本語を教えることが出来るのだろうか?もちろん、私の場合は兼任教師(非常勤講師)という立場ですので、時間的には何も問題はないのですが・・・。と、いろいろ数週間の間、自問自答してみました。
そこで自分なりに出した結論は、「とにかく、やってみよう!」でした。そこまでに行きつくまでのプロセスで最も重視したことは、他の日本語教師の先生方との比較での自分の強みは何かということでした。
具体的には、一般的な日本語教師の方(特に大学で教えている教員)の多くは、ビジネス社会での実務経験がほとんどないか、例えあったとしても、社会人としての実務経験が非常に短い期間であったりします。
その点では、私は日本語教師の経験は非常に浅く、いつも右往左往しながら授業の準備をしなければなりませんが、実際の日本の企業で働いた実務経験があり、それなりに日本企業の良い面と悪い面を知っているという強みが自分にはあるのではないかという気持ちが、自分を一歩前へ押し出したようです。
企業で日本語教師として教えてみた感想
そして、先日ついに、初めての授業をしてきました。やはり、何事も「初めて」のことは少し緊張しますね。とは言っても、緊張していることを絶対に受講生の前では表面には出しませんけどね。
受講生の方たちは、日常会話程度の日本語は理解でき、話す事もでき、非常に教えやすい方たちでした。しかも、私の軽いジョークも理解でき、和やかな雰囲気で授業を進められました。
週一回だけ、わざわざ企業まで出向かなければいけないという面倒臭さはありますが、逆に言えば、大学だけで学生に日本語を教えていては分からないことも見出せそうな気がしました。
まだ1回だけしか企業では授業をしていませんが、企業で教える場合と大学で教える場合では、教える内容も教え方も少し異なるような気がしました。
大学での日本語教授をプッシュ型とすれば、企業での日本語教授はプル型となるのかもしれません。
今回教えることになった企業でのクラスの受講生の日本語レベルも中級程度であるため、彼らの知っている日本語で出来るだけ多く話し、彼らの日本語運用能力を最大限に引き出すための「問い掛け」を多くしてあげることが最も有効なのかもしれません。
その点では、大学生の場合は、社会経験がほとんどなく仕事の話・テーマでの共通項を見出し難いため、どうしても課題を与えないと話題が広がらないという部分、あるいは学生は自主的に学習を進めて行かないということがあります。
企業派遣で日本語教師をするメリット
大学で日本語を教えることと企業で日本語を教えることの比較から、特に企業への派遣で日本を教えるメリットなどを簡単にまとめておきます。
私が現在教えている大学では全て日本語学科の科目ですが、どの大学にも共通していえることですが、講義中に真剣に学習に取り組んでいる学生の比率はそれ程高くはありません。
受講している学生数が多いため、全ての学生に目を配れないという事情があり、そのような多くの学生を上手に引き付けて教室運営できないという、私の技術不足という理由もありますが・・・。
≫≫ 台湾の大学の日本語学科で日本語会話を教えて気が付いたこと
一方、企業での日本語教授は、少人数で進められることと、日系企業ということもあり、会社側が半強制的に従業員に受講させているという事情もあり、受講生の立場から見ると学習せざるを得ないという状況でもあります。
それ以上に、社会人ですので時間を無駄にしないという意識もあり、学習して少しでも日本語を吸収しようという意識が強く感じられます。
その他、日本語を教える・学習するだけではなく、日本人の考え方や日本文化、日本企業と台湾企業の違いなどのテーマで、社会人ならではのコミュニケーションや情報交換をする中で、日本語を習得できるという気軽さも感じました。
言い換えれば、大学内で日本語を教えるという、教育の枠から外れた環境で対等に話しができるというのが、少し新鮮に感じました。
最後に、あまりお金のことは話したくありませんが、大学で頂いている時給と比べると、企業での時給はかなり高いことに気が付きました。
当然と言えば当然ですが、台湾の大学でのお給料は、基本的には台湾中央政府の教育局が決めていますので、台湾の所得レベルが一般的な基準になります。
一方、民間企業での報酬は、その企業が決めていると思われますので、報酬基準が高くなるのは当然でしょう。
≫≫ 台湾の大学教員(非常勤講師)の給料(時給)はいくらか?
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