台湾で日本語教師を目指している方も多くいると思いますので、私の経験から台湾で日本語教師になるための秘訣と注意点についてのレポートを簡単にご紹介します。(ヘッドハンティングという表現は盛り過ぎですね)
民間スクールの日本語教室からのオファーから決定まで
私が台湾で日本語教師になるまでのプロセスなど
私が台湾で日本語教師になるまでのプロセスや台湾で日本語教師を目指す方へのアドバイス的なことは、このブログの右サイドバーにあるサイト内検索で「日本語教師」というキーワードで検索するとズラッと出てきますが、主な流れを下記にピックアップしておきます。
≫≫ 台湾で大学教員になるため応募から採用決定までの道筋|必要書類
≫≫ 台湾の大学で日本語教師(大学教員)が学科本科目を担当することに!?
とあるセミナーに参加したのが始まりの始まり!?
今回、台湾人の妻が子供の教育に関するセミナーのようなものに参加するということで、どういうわけか私も一緒に参加する流れになってしまいました。
実は、会場に行くまでは、どのような内容のセミナーなのか全く分からず、つまらない内容だったら困るので、日本語の書籍を3冊ほどバッグに入れて出かけました。
そのセミナーの内容の詳細は割愛しますが、教育関係のものでした。そして、パンフレットを見たりしていたら、その企業は日本語学校も運営しているようでした。
このようなセミナーの参加では、多くの場合はアンケート用紙があり、半強制的に書くことになるのですが、今回も例外ではなかったです。
アンケート用紙には、職業欄があるのですが、私はいつも「自営業」的な曖昧なことを書いているのですが、この日に限って職業欄を空欄で出したら、「詳しく書いて下さい・・・」云々と言われ、どうしようか迷った挙句その場の雰囲気に圧倒されて(笑)、「○○大学 講師」と書いてしまいました。
また、妻がこの人は日本人だから中国語あまり分からない・・・云々と伝えていましたので、他己紹介で「本日は日本人の大学の先生が参加しています。」などと紹介されてしまいました。(汗)
唐突な日本語教師としてのオファー
セミナーでは、社長(理事長)や講師の方が話しをリレー形式で進められたのですが、突如、その社長が私のところ来て、大学で日本語を教えているのですか・・・とのやり取りがあり、別室に呼ばれました。
何のことかと思いましたが、その会社のパンフレットに日本語学校の情報と私の記載した職業欄という点と点が線で繋がり、予測はつきました。
案の定、社長から日本語教室を運営しているため、日本人の日本語教師を探しているのだけど、なかなか見つからなくて困っている、旨の前振りがあり、単刀直入に日本語教師として日本語を教えてくれないかとのオファーを受けることになりました。
そうこうしている内に、その社長のプレゼンが始まる時間になったため、一旦話は途中で途切れたのですが、その後、日本語を話すことが出来るスタッフか知人(?)が来て、再度セミナーの途中に別室へ呼び出され、仕事を引き受けてくれないか的な話しをグイグイとしてきます。
その場で、給料(時給)はいくら欲しいか、何曜日が空いているか、など具体的な話になりました。
ひとまず、自分の希望と空いている曜日を伝えたのですが、担当する生徒が決まったら連絡する旨の話にいきなり飛んで大きな流れに発展してしまいました。
そして、名刺を渡されたので、名刺交換となりました。
いきなり仕事内容・勤務条件も決まってしまった!?(笑)
もう何度も経験していますが、台湾人の方の仕事の進め方とはこのようなものですね。体裁もヘッタクリもなく、ここぞと言う時には、一気に考えをぶつけて来ます。
その時に話しをして、直ぐ決まったことは下記のことだけです。
- 時給○×0元
- 1~5名程度の少人数クラス
- 1回の授業は2時間
- 週1回か2回程度(何コマあるかは不明)
この企業と縁があれば、後日連絡があり、本当に日本語を教えることになりそうです。
私が日本人教師のオファーを受けることになった理由は?
今回、なぜ、このような急展開で日本語教師のオファーを受けることになったのかを自分なりに振り返っておこうと思います。
切っ掛けは、たまたま参加することになったセミナーですが、そのセミナーに主催者が、たまたま日本語学校を運営していたことに始まります。
そして、たまたまアンケートの職業欄に大学講師と記載した(普段は書かない)ことに繋がっていきます。
そして、たまたまその企業が日本人の日本語教師を探していたことも大きな要因でしょう。つまり、「たまたま」という偶然の連鎖が重なり、声を掛けていただくことになったのです。
今回だけではないですが、台湾では「大学」教員という肩書きは、日本以上にインパクトがあるように感じます。
また、大学教員ということだけで、台湾人の方からは敬意を持って接せられることが多いです。そして、台湾では(台湾人の)大学教員も高いプライドを持って人と接している方が多いような気がします。
たぶん、今回も大学教員という肩書きがあったから、トントン拍子に話を進めてきたのだろうと思います。大学で何年間、日本語を教授してきたのか、大学ではどのようなレベルの日本語クラスを担当しているのか、などという質問は一切なく・・・
それと、その社長が強調していたことは、台湾人の日本語教師を探すのは難しくないが、日本人の日本語教師(日籍老師)を見つけるのは簡単ではないと言っていましたので、少なくても台中では日本語教師の場合は日本人であることのプライオリティも少しはあるかもしれません。
その他、ビザの問題もあるため、すでに台湾で就労していることのメリット、つまり、雇用する企業が新たに外国人である日本人に対して雇用関係を結ぶ場合にビザを申請する手間が必要ないことも大きな理由ですが、その社長がそこまで考えていたかどうかは不明。
台湾で仕事探しをする時の心構え
最後に、台湾で日本語教師の仕事を見つける場合は、自らの積極的な行動が最も重要な要素であることに変わりはありませんが、その時々の「運」や人との「縁」が仕事を引き寄せることが多くあると実感しました。
台湾での就職を語る場合には、もう何度もこのブログで強調していることですが、台湾では「人脈」が何よりも仕事探しの強みになるかと思います。人と接することで新たな世界が広がることも多くあります。
どこでどのように話しが繋がり、人からお仕事の話しが来るか分かりませんからね。なぜならば、日本語を教え始めて1年程度の日本語教師2年生の私が日本語教師の新たな仕事オファーを受けるのですから…。
日本語教師として新たな仕事を請け負うことに…その後
日本語教師として新たな仕事を請け負うことになったため、その後の展開の話になります。
日本語教師の仕事を請け負うに当たり社長に確認したかったこと
日本語学校の社長さんから声を掛けてもらい、どうしようかと考える時間もなく、グイグイと押されるがまま、仕事を請け負うことになりました。
実は私はこの学校で日本語を教えることはあまり前向きではなく、むしろじっくりと考えてから、どうするか決めようと思っていました。
社長自身がどのような考えなのかを知りたかったという面もあり、単刀直入に疑問をぶつけてみました。
「台中には私の知り合いも含めて、多くの台湾人の日本語教師がいますね。日本語教師を募集すれば直ぐにでも応募してくる人がいて、見つかるはずです。もしよろしければ、台湾人の日本語教師をご紹介しましょうか?」という旨の話をしてみました。
台湾での日本語教室運営には日本人の日本語教師が必要
その社長の考えでは、日本人の日本語教師が必要なのだとのことでした。
なるほど、日本語学校であるのに日本人の日本語教師が不在で、台湾人の日本語教師だけというのは看板となる顔がないから、インパクトに欠けるということなのでしょう。
見方を変えれば、日本には多くの英会話学校がありますが、日本人の英会話教師よりも米国や英国のネイティブの方が人気があるでしょうし、日本人の英会話教師しか在籍していない英会話教室は…
学校の看板としての顔という面ではインパクトに欠けるというのと同じで、教室運営の戦略として日本語教室には日本人ネイティブが必要だということになります。
生徒の目的と目標は何か?学習を継続できるかどうかのカギ
そもそも、最初に話を聞いた時には、「あいうえお」から始める超入門者クラスを開講するとのことでした。
もう一つ重要なことに関して、社長の考えを確認するために疑問をぶつけました。それは、募集した生徒たちの出口戦略をどこへ置くのかという問題です。
簡潔に言えば、「生徒たちの目的は何か?」ということになります。具体的に言えば、将来的に日本へ進学するためのクラスを開講するのか、日本へ旅行へ行ったり、日本文化に触れたり、日本人と交流するための最低限の日常会話を習得するためのクラスを開講するのか、という点です。
目的も設定しないで、目標も決めないで、授業を進めていけば、その先どうなるかは、目に見えています。私の浅い経験と下手糞な教え方では、かなりの確率で3ヶ月以内に多くの生徒は教室からいなくなることでしょう。
そこで今回、私が担当するクラスは「日常会話」という目的に決まりました。それに伴い、教室運営に関すること、シラバス、使用する教科書などは、全て私の方で決めることになりました。
台湾人との間でビジネスを進めるには契約書が必須
もう直ぐ、担当する会話クラスが始まりますが、もう一つだけ、その社長にお願いをしました。それは、一般的に企業で使用するような契約書を用意して欲しいと依頼しました。
これは、今までに台湾人とのビジネスの話、あるいは約束などの経験を少なからず見てきましたが、多くの場合は口約束で、日本人の目からは、ザルのようなあまりにも大雑把な対応でした。
その結果、少しばかり痛い目に合ってきたという経験から、日本人的に物事を進めていくことを要求したというわけです。
全て書面で契約をして、契約書に書かれている通りに進め、それ以外のことに関しては、再度契約を結ぶという進め方を進言しました。これは、自分たちの権利を守り、義務を履行するという意味では、お互いのためになると思ったからです。
準備時間がないけど悩んでいる暇はなく、やるしかない
来月から民間の日本語学校での私の日本語教師の新たな仕事が始まりますが、使用する教科書は決めましたが、シラバスや進め方など何も準備が出来ていません。急いで準備を始めないと、大恥をかくことになりそうです。
目的は日常会話の習得ということですので、いかに「文字」を使わずに、耳と口を使い「音」を中心とした練習が出来るかどうかがポイントかなと思います。
超入門者が学ぶ「あいうえお」の練習から始めるクラスの場合は、往々にして平仮名を覚える段階で言葉の習得を諦めてしまい、離脱するパターンが多いように思います。
日本語教師としては初心者の私が、どれだけ生徒たちの目標に近づけてあげられるか、日本語習得の面白さや日本の魅力を感じてもらえるか、とても悩むところです。それでも引き受けた以上、もうやるしかないですね!
台湾の大学の現役日本語教師が私塾で講師を始めた!
台湾の大学で非常勤講師として働いている身ですが、今回縁があり、民間の日本語学校でも日本語を週1回教えることになり、先日第1回目の授業をしてきましたので、その感想などを備忘録的に記しておきます。
教育機関と受講生の顔ぶれ・日本語学習歴
一般的に、台湾での日本語教室の大部分は「補習班」と呼ばれる小規模な組織が多いのですが、今回教えることになった民間の教育機関は、招聘状を見る限り、株式会社となっています。教育事業を展開する会社組織の中の日本語教育事業の一角として日本語学校を運営しているようです。
そして、今回のクラスの生徒は10名弱の方が集まってくれました。本当は5~6名程度の小規模なクラスを想像していたのですが、思っていたよりも大きなクラス規模となりました。
初回の授業のため、お試し受講の方もいると思いますので、全員が全員今後も継続して受講されるかは分かりませんが、社会人ばかりの生徒さんでした。中には会社の社長さんやお年を召した方もいました。
それぞれの生徒さんの日本語学習履歴は、先日の授業で簡単に話した限りでは、全く日本語を学んだことがない日本語の学習歴がない入門者から、1年半程度大学で学んだことがある学習者まで様々です。
50音から教える入門者クラスは難しく苦手だ
このクラスは、入門者を対象にした「あいうえお」から教えるクラスのため、先ずは50音から教えることになりました。私が最も苦手としている50音の授業です。
苦手だと言う理由の1つは授業がついつい単調になってしまうことと、平仮名とカタカナの両方を教えなければいけないため、その切替時期が難しいこと、また文字を記憶すること自体は基本的には生徒本人の努力に託されているため、教える立場の私がどう足掻いても覚えてもらえない場合があることが主な要因です。
生徒に平仮名を覚えてもらえないと、授業を進める中でローマ字を使い続けないと授業がスムーズにすすめられないため、どうしても出来るだけ早く平仮名を覚えてもらう必要があります。この辺りは、私が教える技術が足りなくて教え方が下手糞ということも関係しているでしょう。
初回のクラスを終えての感想
初回の授業を終えた感想は、受講生は皆、とても熱心に授業を受けてくれました。むしろ、これ程までに真面目に授業に取り組んでくれると、手は抜けないですし、次回からの授業は少なからずプレッシャーを感じます。受講生にためになる内容を考えて、より良い授業を展開しようという、よい意味でのプレッシャーですが・・・。
やはり初回の授業はいつもドキドキして少し緊張してしまいます。ところが、受講生の方がとてもフレンドリーな方ばかりだったので、スムーズに授業を進められました。
また、この教育事業を運営している会社の社長さんも日本語を学習しているため、一緒に受講してもらえました。そして、その方も私が授業を進めやすくできるように、少しばかり気を使って頂いて、何気なく私のサポートをしてくれているようでした。本当に助かります。
私塾のクラスを担当するプレッシャーと充実感
基本的には、現時点では週1回の授業を私が単独で担当する予定となっています。そのため、たった1週間に2時間の授業だけで、どれだけの学習効果が表れるか、楽しみでもあり、少しばかりプレッシャーもあります。
何も効果がなく、日本語を話すこともできないで、全く聞き取ることもできないという結果になった場合は、と考えると今日も明日も寝られません。(嘘)
できれば、3ヵ月後くらいに受講生全員が簡単な日本語での会話コミュニケーションが成立して、少しくらいは日本語で冗談を言い合えるくらいになればいいなと妄想しています。
大学での授業とは受講生の顔ぶれも授業の雰囲気も充実感も全く異なりますが、そのあたりの違いはまた別の記事にまとめてみようと思います。
資格取得:NAFL日本語教師養成プログラム
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