台湾で大学教員として日本語教師になるまでの手続きに関するゴタゴタをご紹介します。
前回までのあらすじは、以下です。
台湾で大学教員になるため応募から採用決定までの道筋|必要書類
前提として、台湾では日本以上に学歴社会で学位の価値が非常に高いです。
台湾では卒業証明書ではなく「学位証書」
そして、もうひとつ日本と異なる点は、日本では卒業(修了)証明書を母校から取り寄せて企業などに提出することで学歴の真偽を確認しますが、台湾では卒業(修了)式の時に受け取る「学位証書」で学歴を証明します。
今回は、応募に必要な書類を大学に提出してからの話です。
今学期の授業開始1週間前に学部事務所の担当者から電話があり、学位証書の認証が、まだされてないため早急に進めるようにとの連絡がありました。
この時、学位証書の認証がされてないとは、おかしな表現だなと思いました。
着任直前に学位証書の認証手続きが必要の連絡!?
本当は、この時初めて、学位証書の認証手続きが必要だということの連絡を勤務予定の大学事務室側からもらったのです。
そして、翌日にも大学側から連絡があり、学位証書に認証が必要なことは一ヶ月程度前に電話で連絡済みだとの話があり、さらに不信感が募りました。
こんな土壇場になって、このような対応を迫られることに腹ただしく感じたので、過去の大学側とのメール履歴と電話の履歴を全て洗いざらい確認しました。
そのような、認証手続きが必要だという連絡が、その大学側からそれまで一切ないことを確認して、今後の授業の計画などを確認するため大学に向かいました。
今までお世話になっている、この仕事を紹介してくれた大学の教授からも、なぜ手続きをもっと早く進めてこなかったのかと責められたため、事の顛末を口頭で説明したのですが、信じてもらえませんでした。
やむを得ず、日本にある台湾の領事業務をしている窓口で代理人を立てて認証手続きを進めました。そして、その後、更なる困難が待ち構えていました。
学位証書の認証手続きで更なる困難に直面
実は、この学位証書の認証手続きを最短期間で慎重に進めるため、日本にある台湾の領事機関に必要な書類一式と手続きの流れを、こと細かく確認した上で代理人を通して申請しました。
そして、数日後に代理人から連絡があり、非常に複雑なことになっているとの連絡を受けました。
必要書類は過不足なく滞りなく申請したのですが、駐日台湾領事スタッフが私の母校である大学に電話で直接連絡をして、大学院修了の有無を確認したそうです。その結果、どうなったか?
当たり前のように、個人情報保護の観点から外部の者に対して、電話で簡単に個人のプライベートを教えることが出来ないとのことで対応してもらえなかったとのことでした。
私としては、全て勤務予定の台湾の大学から、台湾領事業務のスタッフの案内通りに滞りなくアクションを起こしてきました。そのため、もう打つ手がなくなったと同時に、大学で日本語を教える仕事はどうでもいいと感じ始めました。
1週間後に大学の新学期が始まる土壇場になって、このような状況になり、この時点で最も重要なことは、私が大学で勤務することよりも学生の学ぶ権利を奪わないことなのじゃないかなと思い始めました。
着任直前で手続き上のトラブルで就職断念!?
それと同時に、正式な手続きを踏んで進めてきたにもかかわらず、学位証書の文件認証がされないのかという点に疑問を感じていました。
今までにも、このような状況で学位証書の認証が必要な日本人もいたはずなのに、その方たちはどうしたのだろうとの疑問です。
そんな思いも後押しして、日本での領事業務を管轄している台湾政府外交部へ抗議の電話をすることにしました。
私の手続きに何も不備はないのにも関わらず、なぜ文件認証の手続きができないのか?をハッキリさせて、大学側にはその旨を伝えて、大学側にもそれ以外に対応方法がなければ、今回の採用案件は断ろうと思いました。
台湾外交部へその旨を伝えると、外交部スタッフは、すぐに日本の領事業務スタッフに事実確認の連絡を入れてくれました。
そして、数時間後、外交部の担当スタッフから連絡があり、今回のゴタゴタの決定的な要因を説明してくれると同時に、学位証書の文件認証が暫定的に認められることになりました。このゴタゴタ劇の要因は、私が採用される予定の台湾の大学側にありました。
つまり、学位証書の文件認証の手続きは今回、大学側の要請で私個人が進めることになったわけですが、実は私がすべきことは、最終学位を提示することに関しては、学位証書のコピーを台湾の大学側に提出するだけでした。
その後、その学位証書の真偽を確認する義務があるのは、採用をしようとしている台湾の大学が、私の母校へ連絡をして確認するか、台湾の大学の方で必要であれば、日本の大学の間に駐日台北経済文化代表処に入ってもらい認証の依頼をする必要があるとの説明を受けました。
学位証書の認証プロセスは?
つまり、上記のプロセスをまとめると、下記のようになります。
- 私(学位証書のコピー)
- 台湾の大学(学位証書の真偽を確認するため照会)
- 日本の大学(学位証書の真偽を通達)
- 台湾の大学に学位証書のコピー
ただし、必要な場合は、駐日台北経済文化代表処が台湾と日本の大学間に入ることも出来るようです。
日本の代表処にいる台湾政府教育局のスタッフが法律上どのような手続きが必要なのかを調べた結果、上記の手続きが正式な学位証書の文件認証のルートだという説明を受けました。
以上のことから、当初、台湾で勤務予定の大学からは私の手続きに問題があるとの対応をされました。ところが、実際には、その大学の該当担当者が、私に大学がすべき業務を丸投げしてきて、そのスタッフの職務怠慢だということがハッキリと証明されました。
最後に、台湾政府の教育局のスタッフは、次のようなことを言っていました。
このような場合は法律に照らし合わせて考えると、正式な手続きを踏んでいないため、該当する台湾の大学は、それ相応の処分の対象となる可能性がある。
上記のようなすったもんだがありましたが、何とか台湾で日本語教師として大学教員になる手続きはギリギリ間に合いました。
そして、同じように今後、大学教員になるかもしれない方のために情報をシェアしておくと、応募者は自ら学位証書の文件認証をする必要はなく、その手続きは採用する大学側の業務だということを伝えておきたいと思います。
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