台湾の大学の日本語学科で日本語会話を教えて気が付いたこと

経験談

台湾にある某大学の日本語学科で日本語会話を教えていて気が付いたことをレポートします。この大学に赴任して約1年と数ヶ月が経過して、日本語を教え始めて2年目の新人日本語教師が文字通り右も左も分からず、突き進んむ中で感じたことを備忘録的にまとめておきます。

kyoshitu

 

私が日本語学科で教えて気が付いた5つの重要なこと

  1. 全般的に日本語学科の学生は語学習得には前向き
  2. 学生を学習意欲別に分類すると4つのタイプ
  3. 教師は学生に隙を見せてはいけない
  4. 教室内に自分の協力者を作ると教室運営がしやすい
  5. 学生が日本人日本語教師に期待していること

 

全般的に日本語学科の学生は語学習得には前向き

現在私が教えている科目の1つは日本語会話の授業で、受講者は全員日本語学科の学生です。前学期は日本語学科以外の学生のクラスも担当した経験と比較しながら、彼らの語学習得についての心構えや学習意欲をまとめておきます。

まず、現在の日本語学科の学生について、彼らが所属するのは日本語学科であるため日本語を習得するために大学に入学したと思われます。そのため、日本のこと(アニメ、ドラマ、ネット、文化など)について興味のある学生が多いためでしょうか、日本語を習得することに対して前向きな学生が多いように感じます。

一方、日本語学科以外の学生はどうか?
基本的に、日本や日本語についてあまり関心の高い学生が多いわけではないため、日本語には興味があるようなのですが、日本語を習得する努力をしたくないという空気を感じます。日本語に限らず外国語を習得するためには興味本位だけではなく、圧倒的な努力が必要になります。

結果、現在担当している日本語学科の学生の方が学習意欲が高いため、教えていても教室運営をしやすいですし、多くの学生が教えたことを日々習得しているのでやり甲斐もそれなりにあります。

 

学生を学習意欲別に分類すると4つのタイプ

日本語学科の学生は日本語を習得することに対して学習意欲が高いのですが、それでもやはり全員が全員、学習意欲が高いわけではありません。
そこで、私なりに学生を学習意欲別に分類してみようと思います。

A.非常に学習意欲が高く、積極的に授業に参加するタイプ
B.学習意欲が高く、真面目に授業に参加するタイプ
C.授業には積極的に参加するが、集中力が続かずサボるタイプ
D.学習意欲が低く、授業にはあまり参加しないタイプ

私の中では密かに上記のような4つのグループに分けて教室運営をしています。

まず、Aタイプの学生は多くの場合は教室の前の方に座っており、非常に積極的に授業に参加して、発話練習も大きな声でサボることなく授業を受けてくれています。このような学生が皆無な場合は非常に教室運営がしにくくなりますので、授業を担当する私としてはありがたい学生です。

そして、Bタイプの学生は、Aタイプの学生の後ろのあたり、つまり教室の真ん中付近に座っている場合が多いです。彼らも学習意欲は高く、授業には積極的に参加してくれますが、比較的おとなしい性格の学生が多く、大きな声で発話練習が出来なかったり、真面目にノートを取っている学生が多くように感じます。

Cタイプの学生は大きな声で発話練習にも参加してくれますが、落ち着きがなくおしゃべりをする学生が多いため、時には授業の妨げになることがあります。その意味では、彼らを上手く授業の方へ向かせられるかどうかが教室運営には重要で、授業のイニシアティブを取ることが出来るかは彼らの扱いに掛かっています。

Dタイプの学生はどの大学にもいると思いますが、全く学習意欲がない学生で、ちょくちょく授業を休んだり、出席していても寝てたり、隠れてスマホを弄ったりしています。特におしゃべりをして騒がしくなるわけでもないため、教室運営には支障をきたしませんが、悪い雰囲気が周囲の学生に伝播していく可能性もあるため、あまりにもこのタイプの学生の人数が多くなると、対策を考えなければいけませんが、今のところ少人数ですので目を瞑っています。

 

教師は学生に隙を見せてはいけない

大学生とは言え、まだ考え方は子供で、自ら進んで学習をするような学生は少ないため、教師が与えてあげないと学習を進めることが出来ません。そのため彼らの学習意欲を高め、動機付けをしてあげ、学習の道筋を付けて、導いてあげなければ、彼らは自ら日本語を習得しようとはしません。

そのため、教える立場の私が、ちょっとした隙を見せようものなら、途端に彼らは心を緩めて、学習という舞台から降りていってしまいます。具体的に言えば、ちょっとしたおしゃべり程度であれば、私は目を瞑って注意しないことが多いのですが、彼らのおしゃべりが周囲に影響を与えて次から次へと広まって行くことがあります。

こうなると、もう手がつけられないくらい教室はうるさくなってしまい、私の話している声も聞こえなくなり、授業どころではなくなります。そうならないために、ある一定の緊張感を持たせるための方法をいくつか準備していて、派手なおしゃべりを許さないための抑止をしています。このように、学生に隙を見せてしまうと、学習意欲の高い学生にも悪い影響を与えてしまうため注意しなければいけません。

 

教室内に自分の協力者を作ると教室運営がしやすい

日本語を教える立場でなくても、人前でプレゼンテーションをしたことがある方であれば分かるように、人前で話す場合はそのスペースを支配している聞き手を把握することは非常に重要です。例えば、私の場合は、私の言っていることが理解できるかどうか、あるいは会話練習の意図を理解しているかどうか、など学生の反応を知るためにキーとなる学生を何人か味方につけておきます。もちろん、クラス全体の雰囲気から学生の反応を把握することもしていますが・・・。

あるいは、私1人では表現し難い言葉を教えるために、どうしても1人か2人の協力者が必要な場合があります。例えば、形容詞を教える場面で、身長が高い低いを教える場合などは学生に協力してもらいます。このような場合、積極的に協力して教室の雰囲気を盛り上げてくれる学生がいると非常に助かります。

 

学生が日本人日本語教師に期待していること

最近気が付いたことですが、日本語会話の授業だけに当てはまることではないですが、日本語学科の学生は日本に興味を持っている学生が多くいますので、日本人の特徴や日本語の使い方の特徴を自分の視点で学生に伝えてあげると学生は興味を持って聞いてくれ、いろいろな質問が出てきて、クラスが盛り上がることがあります。

日本語学科には日本人と台湾人の教員がいますが、学生たちが日本人の教員に期待していることは、日本人の視点や考え方を盛り込んだ授業を期待しているのだということを改めて気付かされました。だれでも教科書の文字を唱えているだけの授業は詰まらないですからね。

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