台湾への中国人旅客が激減の事実を統計で検証 政権交代前後の影響を比較

2016年5月に馬英九総統から民進党の蔡英文総統に政権交代して以降、中国から台湾への中国人旅行客が減少したというニュースがありました。その後、更に中国の地方政府が台湾への観光旅行の許可件数に制限しているため(?)、中国からの観光客が激減したと報じられていました。

実際、どれくらいの減少なのかは、各ニュースや情報とも断片的な数値しか示されていない上に、誤報とも思われるデータの示し方をしているケースも見られるため、台湾政府の統計情報を元に、2016年の中国から台湾への旅行客の動向を検証してみました。

2016年の中国から台湾への旅客者数に関する統計情報

台湾政府(交通部観光局)が公開している情報によると、中国から台湾への旅客は、下記の2つに区分されています。

  • 華僑旅客(華僑旅行客) ← 中国人はこちらの区分
  • 外籍旅客(外国人旅行客)

2016年の中国から台湾への旅客者数

2016年の「中国から台湾への旅客者数」の概要は、以下の通りになります。

  • 合計  : 3,511,734人
  • 華僑  : 3,472,673人
  • 外国人 :      39,061人

上記の通り、中国大陸から台湾に入国した外国人も1%強ですが含まれています。そのため、敢えて中国人を示す「華僑旅客(華僑旅行客)」に絞って、政権交代前後の中国人旅行客の動向を検証してみようと思います。

2016年と2015年の中国人旅行客の年間来台者数の比較

  • 2016年  : 3,472,673人
  • 2015年  : 4,143,836人
  • 減少者数 :   671,163人

上記の通り、2015年と2016年の中国人の来台者数を比較すると、年間では671,163人減少したことになります。

政権交代前後での中国人旅客数の比較

 2015年2016年増減者数増減率
1月~4月 1,353,286 1,498,700 145,41410.7%
5月~12月 2,790,550 1,973,973 -816,577-29.3%
合計 4,143,836 3,472,673 -671,163-16.2%

上表の通り、台湾の政権が交代した5月を節目に、1月から4月までと5月から12月までの2つの期間に区分し、2015年と2016年の年間比較をすると、中国人旅行客の動向がよく分かります。

政権交代前の1月~4月までの4ヶ月間では、2016年の台湾への中国人旅客者数は、2015年の人数と比べると、145,414人の増加となっています。

一方、政権交代後の5月以降12月までの8ヶ月間の中国人旅客者数は816,577人の減少となっています。そして、年間ベースでの比較では、671,163人の減少という結果になりました。

同様に、増減率に注目してみると、1月から4月までの4ヶ月では10.7%の増加、5月から12月までの8ヶ月では29.3%の減少です。

この結果から推測されることは、もし政権交代していなければ、年間ベースでも10%程度は中国人旅客者数が増加していたとも考えられます。経済的には、機会の逸失とも思われます。政治と経済のバランスで難しいところですね。

まとめ

最後に、下表では2015年と2016年の各年度の月別に、中国から台湾への旅客者数の推移をまとめています。5月以降は中国人旅客者数が減少しているのがよく分かります。更に、もう一つ特徴的な動向は、2016年8月以降には中国人旅客者数が急減しています。

2016年7月に台湾で中国人の団体観光客を乗せたバスが火災になり、全ての乗客が死亡してしまうという事故が発生しました。その翌月から中国人の台湾への観光旅行客が激減したわけです。中国政府からすれば、これで台湾への経済的制裁とも捉えられる、台湾観光の制限に大義名分が出来たとも考えられます。

このような事情により、台湾の観光業界では中国人観光客の激減を受けて、経済的ダメージを受けているのが現状です。ところが、台湾への外国人旅行者数の総数は2016年も増加し続けています。

これは中国人旅行者数が減少した反面、その他の日本、韓国、東南アジア諸国からの旅行者数が増加し続けているためです。そのあたりの事情は、また別記事にしたいと思います。

関連記事:台湾を訪問した日本人の過去10年間の推移と目的別訪問者数

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