OLから日本語教師に転職する前に考えるべき重要な点とアドバイス

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OLとして働いていた方が日本語教師へ転職する場合に注意したい点や転職を決める前に考えておくべきことについて、台湾現地で日本語教師をする現場からレポートします。ここで、「OL」とした理由は、日本語教師をする男女比が圧倒的に女性が多いということと、実際に女性の方から、ちょくちょくメールを通して相談を受けることが多くなったためです。

実際にはOLに限らず、民間企業で働いている一般的な会社員(性別不問)の方が日本語教師へ転身される場合を想定して、実際の日本語教師の現場で私が感じたことや経験を基に、簡単にご紹介します。

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転職理由:だから私は日本語教師への転職を考える

私が今まで受けた相談の中から、いくつか日本語教師に転職をする動機や切っ掛けについて、どのようなパターンがあるか、いくつか挙げてみたいと思います。大きく分けると、「日本語教師にどうしてもなりたい!」と「OLの仕事が向いていないから日本語教師を目指したい!」という2つのパターンになると思います。あるいは、これら2つのパターンのどちらにも当てはまる複合要因です。つまり、具体的には、OLの日々の仕事に消耗してしまい、以前から気になっていた日本語教師を目指してみようというパターンです。

あるいは、家族(夫など)の海外出向で駐在員の妻として、家族ともども海外で暮らし始める方です。一般的には、出向期間は3年から長くても5年程度でしょう。その期間中、家族で生活するため、会社を退職して駐在員の妻として現地に赴くのに伴い、日本語教師を目指してみようという方も多くいることでしょう。

 

OLを辞める前に考えるべきこと

まず、以前から日本語教師という仕事に魅力を感じており、会社を退職してでも日本語教師になりたいという方は、非常に強い思い入れがあることでしょう。そのため、日本語教師を目指す上で大きな問題はないのかもしれません。一つだけ会社を退職する前に一度立ち止まって考えておきたいことは、「なぜOLとして民間企業に就職したのか?」ということでしょう。一度、就職前に立ち戻って、民間企業に就職して目指していた「こと」があるのであれば、その目的なり目標は達成できたのかどうか、やり切った充実感はあるのかどうか、という点でしょう。

OLとして働いていた民間企業での仕事での日々のストレスに疲弊して、OLを辞めて日本語教師を目指そうというパターンの方は、少し時間を置いて冷静になって考えてた方がよいかもしれません。というのも、私の経験から言えば、私も民間企業の会社員として働いていた時期がありましたが、その時期と比べると、圧倒的に日本語教師の仕事の方がストレスの圧力が強いと感じます。

ただし、これは各人の置かれている立場により、変わるかもしれませんので断言することはできません。東大出身のエリート女性社員が民間企業での業務のストレスが原因で尊い命を落としたというニュースを聞きましたが、人それぞれ置かれている立場が違いますから・・・。それでも、私の経験ではストレスを避けたいため、日本語教師を目指すという考えは理解できかねます。

駐在員の妻などの立場で家族に帯同で渡航するため、OLを辞めて日本語教師を目指してみようという方も多くいると思います。あるいは、主婦の傍ら空き時間を利用して日本語教師を目指してみようという方もいることでしょう。このパターンの方は、最も気軽に決断が出来ると思います。というのも、必ずしも生活するための資金を自分で稼ぐ必要がないためです。いわば、経済的自由を得た上で、自分がやりたいと思っている日本語教師を目指すことが出来るわけです。

 

日本語教師を目指す上で注意したいこと

給料

日本でも海外でも日本語教師の給料が安いというのは周知の事実でしょう。日本で新米日本語教師の給料は20万円未満というのが一般的ですので、手取り額にすると、15万円程度になるかもしれません。いくら民間企業で実務経験がある方でも、多くの日本語学校では日本語教育経験がなければ、1年目の新米扱いになります。

今まで民間企業のOLとして働いていた時には、朝から夕方の定時で帰宅して手取り20万円以上の月給を貰った上で、年二回のボーナスも手にしていた方がほとんどでしょう。いくら情熱があっても、実際に銀行通帳や源泉徴収票を比べてみた時には、ガックリと肩が落ちるかもしれません。

就職先

日本語教師になるためには、主に3つの方法があります。

  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 日本語教師養成講座420時間修了
  • 大学での日本語学科主または副専攻

日本語教師の経験が未経験の場合は、これらの実績を作った上で、各教育機関に応募することになります。ところが、日本語教師の募集案件は定期雇用があるわけではなく、秋がある場合にスポット募集をする場合がほとんどです。そのため、せっかく応募条件をクリアしていても、必ずしも募集案件の選択肢が多くあるわけではありません。そのため、条件のよい募集案件には実務経験豊富で有能な方が集まりやすくなる傾向が強くなります。その結果、OLを辞めて日本語教師を目指す実務経験ゼロの方は、募集案件に対して応募したとしても、最後尾に並ぶことになることでしょう。

また、日本語学校のような教育機関にも、ブラック企業は存在します。例えば、無条件で中国などの国から学生募集をして、学費を集めるような機関です。このような学校は、ガバナンスも低いため、避けるべきです。ところが、経験のない日本語教師の就職先は、このような機関になる場合も多くなります。つまり、何を言いたいかと言えば、未経験の日本語教師の就職先の選択肢は少なく、優良な学校は少なくなります。

仕事内容

日本語教師の仕事内容について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
外国人に対して言葉を教えるなんて「格好良い」、明るく、元気に、楽しい時間を共有しながら「充実感」がある、学生の日本語能力が向上して「やりがい」がある、・・・などでしょうか。実際に、そのような表の側面も多々あります。

一方で、日本語教師の仕事は表の部分のイメージだけが先行している感があります。実際には、授業前の教案作りは大変な労力と時間が掛かりますし、そもそも日本語や日本語の教え方を自分自身が知らなければ、教える事など出来ませんので、経験が浅い内は教師としての予習や授業の準備で非常に多くの手間と労力が必要になります。

また、学生数が多くなればなるほど、学生管理も大変になります。各学生の出席管理から始まり、学習理解度のチェックやアドバイス、学生との交流やコミュニケーション、宿題のチェックやテストの評価など、授業以外の仕事が非常に多いことはあまり知られていません。

労働時間

上記の通り、実は日本語教師の仕事は、担当する授業時間だけが労働時間ではなく、授業の準備時間や授業が終了した後の労働時間が多くなります。もう少し具体的には、経験が浅い私のような日本語教師は、授業で教える項目について理解するための予習が必要になり、教えるための教案作り、PPTなどの教材作りなどで、最初の内は実際の授業時間の2~3倍程度、時と場合により、それ以上の時間が必要になります。授業が終わった後には、学生管理や宿題のチェックなどで、更に時間が必要になります。

例えば、学生が20人いたとして、1人当たり3分の時間が掛かるとすれば、少なくても1時間(60分)は必要になります。つまり、1時間の授業をこなすのに、授業時間を含めれば、4時間から5時間程度の時間が必要になるという計算になります。これらのプロセスに少しづつ慣れてこれば、これらの時間を、10%、20%・・・と短縮していくというイメージです。

仕事の特殊性

日本語教師は、民間企業での業務とは全く異なる仕事になります。民間企業での仕事が組織の中で活動する仕事であるのに対して、日本語教師は一匹狼的な個人プレーとしての側面が多い仕事になります。そのため、自分の日本語教師としての実力が向上すれば、独走することもできますので、そうなれば「やりがい」があり充実した生活が出来るかもしれません。ただし、逆に、日本語教師としての仕事が上手く回転していかなかった場合は、その期間に費やした時間は、「空白期間」として見做されでしょう。つまり、日本語教師から再度、OLへの転職の際には足かせとなるため、仕事の潰しが利かない職種であることを知っておきましょう。

 

まとめ

日本語教師の給料について言えば、ただ単純に月給が安いだけではなく、授業以外の準備などの労働時間を勘案すると、OLとして民間企業で働いていた時の数分の一の時間単価で働くと言っても過言ではないでしょう。このように、日本語教師として働く場合は、ボランティアとして時間を提供するくらいの気持ちがあり、常に外国人の学生と楽しくコミュニケーションがとれ、学生の日本語能力の向上に並々ならぬ情熱がなければ長くは続かない仕事だと思います。

OLから日本語教師に転職する場合に重要な点とアドバイスを、最後にまとめておきます。

  • 労働時間をお金に換算しない
  • 給料が激減しても問題ないか熟考する
  • OL時代は「仕事」で日本語教師は「ボランティア」
  • 授業準備から学生管理まで首尾一貫して楽しめるか一考してみる
  • 日本語教師は仕事の潰しが利かないことを覚悟する

以上、民間企業に勤めていた方が日本語教師へ転職する場合、あるいは退職前に考慮すべき注意点を中心に紹介してみました。ほとんどネガティブなことばかりになってしまいましたが、適性があり能力がある方にとっては、日本語教師は魅力的な仕事になり得ますので、下記の記事もご参照下さい。
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