台湾の大学での非常勤講師の契約形態などを大公開

台湾の大学で非常勤講師として勤務するようになり、もう少しで1年半程度が経過しようとしています。

そこで、常勤教員(専任教師)ではなく非常勤教員(兼任教師)として大学で教鞭をとる際の契約形態などについてレポートします。

具体的には、契約期間、担当科目、給料や報酬など、その他の契約に付随する諸手続きなどについて簡単にご紹介します。

 

大学との招聘期間・雇用期間は一般的には1年契約!?

1年半程度台湾の大学に勤務してみて、初めて気が付いたことは、大学との契約期間は、個人によっても異なるのか、採用される時期によっても異なるのか、は分かりませんが、私の場合を例にとりご説明します。

実は、採用された1年目の契約年数は、6ヵ月毎の更新契約の形態でした。つまり、8月~1月の半年間の雇用契約となっていました。そして、その後再度、2月~7月の半年間の契約を頂きました。そのため、当初は大学での契約期間は半年毎、つまり学期毎の契約をするものだと思っていました。

一般的に、どの大学でも同じだと思いますが、学期の授業が始まる直前に「招聘状」という契約書を受け取り、その書面に大学側と非常勤講師の双方の名前を署名することで契約が成立するようです。先日その招聘状を見返してみたら、9月から始まった今年度は、昨年の8月からの1年間の契約となっていました。

このことから分かることは、台湾の大学で非常勤講師として勤務する場合は、たぶん大学側(「学系」と呼ばれる学科)が、契約年数を決めているのだろうと思います。

初めて雇用されることになった昨年度は、経験のない新米教員が初めての勤務ということもあり、大学側も警戒して半年の契約にしたのだろうと思います。

基本的には、1年契約というのが一般的な契約期間なのではないかと推測できます。もちろん、有名な方や実績の豊富な先生の場合は複数年の契約になることもあるでしょう。

 

大学で担当する授業科目の配分はどのように決まるのか?

日本人が台湾の大学で非常勤講師として勤務する場合の大学での担当科目はどのように決められるのでしょうか?
私の勤務している大学では、事前に翌学期はどの曜日のどの時間帯ならば勤務できるかというアンケートが実施されます。翌学期が始まる前の学期の中間試験前後だったかと記憶しています。そのアンケートに自分が勤務できそうな曜日と時間を記入して学科事務室へ提出します。

一方で、学科事務局側では翌学期の授業スケジュールを作成するという行政事務を担当する専任教員の方がおり、主にその先生が非常勤講師の実績や属性などを勘案して、担当する授業の役割分担をしていく形になります。

この作業はなかなか大変な業務になりますね。1年~4年生までの全ての科目の授業配分を、それぞれの教員の出勤可能な曜日・時間と照らし合わせて決めていくことになります。偶には、先生同士で担当する科目やクラスの配分を巡って口論になったりすることもあるかもしれません。

そして、日本人にとって海外である台湾では多くの日本人の大学教員は、自分の専攻分野にかかわらず、日本語会話、日本語作文、発音や聞き取り、などの授業を担当することになることが多いようです。その一方で、台湾人の先生は、文法や閲読、翻訳などのその他専門的な科目を担当する場合が多いようです。

今学期も残り1ヶ月を切った頃より授業配分を担当する先生から来学期に担当する授業についての話しがありました。そこで、来学期の科目の依頼と交渉が始まります。

私のような新米日本語講師は、ほとんど言われるがままに大学側から依頼された科目を担当することになりますが、偶には自分の事情を話して別の科目に変更してもらうこともあります。

今学期も残り2週間余りとなった先日、来学期の授業スケジュールが決定しました。来学期も私は4科目を担当するように依頼されました。(後日詳しく書きます)

 

台湾の大学での非常勤講師の給料が引き上げられた!

台湾の大学での給料や報酬については、政府(立院教育及文化委員會)で決められているようです。一般的には、上記委員会の通達をベースに大学での非常勤講師の時給も決められているようです。

そして、先日、大学からの待遇などに関する通達を初めて受け取ったのですが、通勤手当も1週間単位で支給されていることを初めて知りました。基本的には、自宅が大学から遠ければ遠いほど通勤手当は高く支給されます。とはいっても、実費程度の僅かな金額ですが・・・。

また、台湾の全ての大学の非常勤講師を対象としているのか、私が勤務している大学だけなのかは不明ですが、今年から兼任教師の給料(時給)だけが大幅に引き上げられることになりました。

とはいっても、元々日本人にとっては、それ程高くない時給から引き上げられることになったため、大した金額ではないのですが、昨今の台湾の物価の上昇に比例して、時給が上げられたのかもしれません。

台湾の大学の時給について、興味のある方は下記の記事をご参照下さい。

≫≫ 台湾の大学教員(非常勤講師)の給料(時給)はいくらか?

 

新学期の開講後に始まる授業変更や授業運営のあれこれ

上記のように、翌学期の授業のスケジュールや担当する授業の科目などは前学期にもうすでに決められています。ところが、実際に新学期の授業が始まってみると、開講されない授業や新たに設定される授業が出てきたりします。そのため、新学期が始まった直前は非常に慌しくなるものです。

具体的には、大学1年~3年生までの科目は受講生が20人以上でなければ開講されません。そして、大学4年生の科目は受講人数が15人以上でなければ開講されません。このように、新学期が始まり学生の科目の登録状況により開講されたり未開講となる場合も出てきます。

そのため、学生に人気のない科目を担当する場合や授業の時間が朝一番や夕方からの科目を担当する場合は開講されなくなる可能性が高くなり、その場合はその学期に担当する授業が少なくなる場合もあります。

その結果、非常勤講師の場合は、その学期の給料も少なくなります。ただし、未開講の授業が出たとしても多くの場合は、急きょ他の科目を新設して、授業を配分するなどの対応をしてもらったりします。

最後に、担当する科目のカリキュラムはどうするのか?
これは科目により、大学の学科(学系)から授業内容を決められている場合と全て自分でカリキュラムなどを作成する場合に分かれます。

特に重要なことは授業で扱う教科書ですが、日本語学科の場合は1年生の必修科目はカリキュラムも授業で使う教科書も全て決められている場合が多いです。一方、大学3・4年生や専門科目の場合は、カリキュラムから教科書まで全て担当する教員に一任されることがほとんどです。

関連:台湾で常勤の大学教員になる条件とその方法

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